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DVD「スキャナー・ダークリー」

2008-01-12 01:00:24 | 映画感想
実写アニメ。

古くから、ディズニーでは実際に俳優に演技させて撮影し、
それを上からなぞることでアニメ化して、
動きのリアルさを実現していた。
有名なところでは「ピノキオ」など。

最近ではモーション・ピクチャーで取り込んだデータを
CGキャラクタに張り付けて映像化する手法は
それほど珍しくもない。

アニメーションでいえば「ベクシル」や「アップルシード」
実写に登場するCGキャラが実はモーション・ピクチャーだったのは、
「LOTR」や「キング・コング」など。

しかし、それらはいずれもアクターと画面に現れるキャラは別物だった。

この映画では、アクターとキャラが完全に一致している。
キアヌ・リーブスはキアヌ・リーブスだし、
ウノラ・ライダーはウノラ・ライダーだ。

その意味では「ベオウルフ」に近いのかもしれない。
しかし、この映画はそれが全て(PCは使っているが)
アニメーターによる手書きだ。

そのまま実写映画として使えるほどの撮影をしておきながら、
わざわざその上からひとコマずつ書いてアニメ化するという、
気の遠くなるような手間のかかる手法をとっている。

それがまた、現実と非現実、幻覚と現実の入り混じった世界観を
醸し出している。

***

近未来、アメリカ合衆国、オレンジ郡(同名の郡はアメリカ国内に複数ある)
国中に物質D(サブスタンスD)と呼ばれる麻薬が蔓延していた。

潜入麻薬捜査官フレッドは、スクランブルスーツと呼ばれる
その表面が刻々と変わり人物を特定できなくする防護服に身を包み、
仲間内にもその素顔を完全には明かしていない。

彼の上司はハンク。
やはりスクランブルスーツに身を固め、その正体はフレッドも知らない。

フレッドは、実生活ではボブ・アークター(キアヌ・リーブス)として、
ヤク中のジム・パリス(ロバート・ダウニーJr.)
アーニー・ラックマン(ウッディ・ハレルソン)と同居生活を送っていた。

そして、コカイン中毒のドナ・ホーソーン(ウノナ・ライダー)から、
サブスタンスDを買い、密売組織の上層部をとらえようとしていた。

ある日、ハンクのもとにボブに関するタレこみがあった。
ボブが物質Dの密売の元締めだというのだ。

タレこんだのは、実はジム・パリス。

ハンクは、ボブの家に監視カメラをひそかに備え付け、
フレッドに録画とライブ映像を監視するように命令する。

図らずも、自分自身であるボブを監視することとなったフレッド、

潜入の過程で口にした物質Dに自分自身も中毒になりながら、
ちょっといかれたジムやアーニーと付き合い、
ドナと接近を図り、そして自分自身を監視する。

ハンクは、いよいよボブに対する疑いを深め、
ジムに証拠を手に入れるよう指示し、
一方でフレッドには監視を強めるよう命令する。

ところが、これらは全てハンクの仕掛けた罠だった。
ハンクはフレッドがボブであることを知っていて、
ジムを逮捕するため、フレッドを囮にしたのだった。

はたしてジムを逮捕することはできたが、
フレッドの中毒症状は悪化してしまい、
治療施設である「ニューパス」に送り込まれることになった。

しかし、それにもまたハンクの仕掛けた罠があったのだ。
はたして、その罠とは、フレッドの行く末は、、、、。

***

自身も麻薬中毒になり、常時監視されていると信じて疑わなかった、
SF作家、フィリップ・K・ディックの1977年発表の同名の小説の映画化。

彼の原作は、「ブレードランナー」「トータル・リコール」「クローン」
「マイノリティ・リポート」「ペイチェック」など、
多くがアレンジされ、映画化されている。

原作小説の邦題は「暗闇のスキャナー」
この「スキャナー」という語が、
今のスキャナーをイメージしているとは考えにくい、
詳しく調べるもの=監視装置、くらいの意味合いだろう。

「ダークリー」も「暗い」「暗闇の」という意味ではなく、
「秘密の」とか「隠れた」といった意味合いと思われる。

つまり「暗闇のスキャナー」と言うよりは
「隠しカメラ」「隠し監視装置」の意味が強いと思える。

そして、自分自身を監視するはめになったボブ(=フレッド)もまた、
監視する自分すら誰かに監視されている世界を表しているのかも。

この作品は原作に忠実に作られているらしいが、
ジャンキーのくだらない会話シーンがちりばめられ、
ストーリーを緻密さよりも異様な雰囲気に仕上げている。



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