どうもニュースを聞いていると本質を見失いそうになる。
中国の今回の防空識別圏の設定、それに伴う日米の反応とその違い、
また韓国も防空識別圏を拡大するなど、一連の報道を聞いていると
この地域の緊張が一気に高まったような印象を受けるし、
とんでもないことだとの論調が多い気がする。
しかし、そもそも防空識別圏って何?
複数の国家の防空識別圏が重なると何がどういけないの?
*
独立国家が自国の領土、領海、領空を守ることは当然のことで、
領土への侵入はもとより、領海の侵犯、領空の侵犯に対し防衛行動をとる。
領土/領海/領空に入られてから防衛行動あるいはその準備を始めていたのでは遅いので、
領土/領海/領空に近づきつつあるものがあれば、その動きを監視するのは当然と言える。
日本のように周りを海に囲まれた国家ではいきなり領土侵犯はなく領海/領空侵犯がまずある。
そこで、領海の周辺に監視域を設け、領海への侵犯の可能性がある艦船に対しては、
監視、あるいは注意喚起を行う。これが「接続水域」
最近は領海侵犯関連で話題が多いが、本来は領海外の近辺で行われる犯罪行為、
例えば密輸とか密入国などと言った事案の取り締まりが目的だったらしい。
この水域でどこまで沿岸国の権限を認めるかについては議論があるようだが、
国際法上、領海の外側12海里、沿岸から24海里までが接続水域。
この外側、沿岸から200カイリまでが排他的経済水域(EEZ)として認められている。
EEZは領海ではなく、自由航行が認められる代わりに漁業や資源の権利を認めるもの。
一方、領空はどうだろう。
領空は領海の上の空間を言い、地上から何kmの明確な定義はないものの、
100km位までと言うのが通常の認識のようだ。
領海の外側に警戒海域としての接続水域が存在するように、
領空の外側にも警戒すべき空域が存在する。
領空は沿岸(正確には基線)からわずか12海里(約22.2km)
仮に自衛隊のF15Jが巡航速度(約1100km/h)で飛行しても70秒ちょっと
最大速度(約3000km/h)であれば30秒足らずで通過する。
領空外を飛行していた不審機が急にスピードを上げ領空を侵犯、
領土に向かって飛行し始めると同時に迎撃機を発進していては間に合わない。
そこで接続水域よりもずっと広い範囲を常時監視、不審機に対応する必要が出てくる。
これが防空識別圏(ADIZ)と呼ばれる空域。
実際には防空識別圏に進入すると思われる時点でスクランブルするらしいが、
防空識別圏内を飛行する航空機に対しては警戒監視行動をとることになる。
そこで防空識別圏を通る航空機の飛行計画を把握し
不審機じゃないことを事前に知っておくことは防空上便利なので、
各航空会社にもお願いして飛行計画を出してもらうことになる。
ただ、前述のように防空識別圏は領空の外で国家主権の範囲外であり、
かつ国際法上の規定もないらしい。
だから飛行計画を出してないからと言って、警戒監視するのはともかく、
その行動を指示し、従わない場合は武力に打って出るなどはとんでもないことで、
それを堂々と言ってのけるところに非常識と言われる所以がある。
さて、防空識別圏の重なりについて、
日本の場合、太平洋側の防空識別圏の範囲は他国もないことから問題はないが、
大陸側は周辺諸国との調整によって重ならないよう設定されているのが実態のようだ。
仮に防空識別圏が重なれば、ここに入った第3者は双方の国からスクランブルを受け、
かつスクランブルした航空機はお互い相手国の防空識別圏に入るという不安定な状態となる。
お前出てけ、お前こそ出てけとなるわけだ。
船舶同士や船舶と航空機の場合でも不測の事態は起こりうるわけだが、
航空機(戦闘機)同士の場合、その緊迫感や危険度は一気に増す。
相手国が安易に射撃管制用のレーダーを照射する(国際法上は攻撃とみなされる)ような
危険な行動をとるようであれば、不測の事態は十分起こりうる。
逆に言えば識別圏の重なった空域ではお互いが暗黙を含む了解の上で防衛行動を取れば、
特に問題は起こらないわけで、現に韓国の防空識別圏拡大に伴う日本との重なりについて
日本政府は問題ないとの見解を示している(連絡し合い、十分に意思疎通しているとの見解)
で、あるからこそアメリカは中国と日本との間に緊急連絡が取れるシステムを作るよう
要請しているわけで、国際法上の根拠のないものを撤回するもしないもないのではないか。
とはいえ、政府の意思を無視して軍部が暴走することは通常ありえないが、
そう言い切れない国があるとすれば、それが緊張を高めることは間違いない。
中国の今回の防空識別圏の設定、それに伴う日米の反応とその違い、
また韓国も防空識別圏を拡大するなど、一連の報道を聞いていると
この地域の緊張が一気に高まったような印象を受けるし、
とんでもないことだとの論調が多い気がする。
しかし、そもそも防空識別圏って何?
複数の国家の防空識別圏が重なると何がどういけないの?
*
独立国家が自国の領土、領海、領空を守ることは当然のことで、
領土への侵入はもとより、領海の侵犯、領空の侵犯に対し防衛行動をとる。
領土/領海/領空に入られてから防衛行動あるいはその準備を始めていたのでは遅いので、
領土/領海/領空に近づきつつあるものがあれば、その動きを監視するのは当然と言える。
日本のように周りを海に囲まれた国家ではいきなり領土侵犯はなく領海/領空侵犯がまずある。
そこで、領海の周辺に監視域を設け、領海への侵犯の可能性がある艦船に対しては、
監視、あるいは注意喚起を行う。これが「接続水域」
最近は領海侵犯関連で話題が多いが、本来は領海外の近辺で行われる犯罪行為、
例えば密輸とか密入国などと言った事案の取り締まりが目的だったらしい。
この水域でどこまで沿岸国の権限を認めるかについては議論があるようだが、
国際法上、領海の外側12海里、沿岸から24海里までが接続水域。
この外側、沿岸から200カイリまでが排他的経済水域(EEZ)として認められている。
EEZは領海ではなく、自由航行が認められる代わりに漁業や資源の権利を認めるもの。
一方、領空はどうだろう。
領空は領海の上の空間を言い、地上から何kmの明確な定義はないものの、
100km位までと言うのが通常の認識のようだ。
領海の外側に警戒海域としての接続水域が存在するように、
領空の外側にも警戒すべき空域が存在する。
領空は沿岸(正確には基線)からわずか12海里(約22.2km)
仮に自衛隊のF15Jが巡航速度(約1100km/h)で飛行しても70秒ちょっと
最大速度(約3000km/h)であれば30秒足らずで通過する。
領空外を飛行していた不審機が急にスピードを上げ領空を侵犯、
領土に向かって飛行し始めると同時に迎撃機を発進していては間に合わない。
そこで接続水域よりもずっと広い範囲を常時監視、不審機に対応する必要が出てくる。
これが防空識別圏(ADIZ)と呼ばれる空域。
実際には防空識別圏に進入すると思われる時点でスクランブルするらしいが、
防空識別圏内を飛行する航空機に対しては警戒監視行動をとることになる。
そこで防空識別圏を通る航空機の飛行計画を把握し
不審機じゃないことを事前に知っておくことは防空上便利なので、
各航空会社にもお願いして飛行計画を出してもらうことになる。
ただ、前述のように防空識別圏は領空の外で国家主権の範囲外であり、
かつ国際法上の規定もないらしい。
だから飛行計画を出してないからと言って、警戒監視するのはともかく、
その行動を指示し、従わない場合は武力に打って出るなどはとんでもないことで、
それを堂々と言ってのけるところに非常識と言われる所以がある。
さて、防空識別圏の重なりについて、
日本の場合、太平洋側の防空識別圏の範囲は他国もないことから問題はないが、
大陸側は周辺諸国との調整によって重ならないよう設定されているのが実態のようだ。
仮に防空識別圏が重なれば、ここに入った第3者は双方の国からスクランブルを受け、
かつスクランブルした航空機はお互い相手国の防空識別圏に入るという不安定な状態となる。
お前出てけ、お前こそ出てけとなるわけだ。
船舶同士や船舶と航空機の場合でも不測の事態は起こりうるわけだが、
航空機(戦闘機)同士の場合、その緊迫感や危険度は一気に増す。
相手国が安易に射撃管制用のレーダーを照射する(国際法上は攻撃とみなされる)ような
危険な行動をとるようであれば、不測の事態は十分起こりうる。
逆に言えば識別圏の重なった空域ではお互いが暗黙を含む了解の上で防衛行動を取れば、
特に問題は起こらないわけで、現に韓国の防空識別圏拡大に伴う日本との重なりについて
日本政府は問題ないとの見解を示している(連絡し合い、十分に意思疎通しているとの見解)
で、あるからこそアメリカは中国と日本との間に緊急連絡が取れるシステムを作るよう
要請しているわけで、国際法上の根拠のないものを撤回するもしないもないのではないか。
とはいえ、政府の意思を無視して軍部が暴走することは通常ありえないが、
そう言い切れない国があるとすれば、それが緊張を高めることは間違いない。
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