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工事進行基準(その2) 個別原価計算-工賃の積み上げ

2008-01-23 11:00:02 | IT
一つずつが仕様が異なる受注生産品の場合、
「個別原価計算」を用いるのがよい、とは前回書いた。

それでは個別原価計算について、考えていきたい。

大量生産品の場合、開発が終わり、大量生産のラインに乗れば、
一つ当たりの製品にどの原材料をどれくらい使い、
どれくらいの工数をかけて、製品ができてくるかと言うのがわかってくる。

そのために、歩留まりや作業効率を含めて、
製品1台あたりの原材料と工賃の単価を決める(予定する)ことができる。

1台あたり個別にどの鉄板を何キロ使ったとか、何分作業をしたとかを
測らなくても全体の原材料費や作業費から割り戻して
個別製品の原価を設定することができるのだ。
これは「総合原価計算」と言う仕組みで計算される。

これに対し、製品ごとに使う原材料の種類も量も大きく異なり、
掛かる工数もそれぞれである場合は
「製品一つ当たり」と言う計算自体が成立しない。

そこで個別の製品ごとに経費、これを直接費と言うが、
それを計算する必要が出てくる。
これが「個別原価計算」である。

この場合はその製品に使用した原材料や工賃を逐一計算していくことになるが、
細かくやればきりがないともいえる。

今回話題が受託システム開発なので、
その経費の大半を占める人件費について考える。

もちろん、人件費以外の直接経費も発生するが、
その場合は、品目も金額もはっきりしているので、
それはその作業、作番に直接計上すればいい。
俗に直課する、などという。

話を人件費、工賃に戻そう。
例えば、Aさんがその製品の製造に1時間費やしたとする。

その場合の工賃はいくらか、というと、
実際にAさんに払う賃金の1時間分では済まない。

作業したのは確かに1時間だが、例えば工具の手入れとか、
準備作業とか後片付けとか、事務処理もあるし、
その製品を作るのとは直接関係ない作業がある。

製品を直接作っていないからと言って
これらの作業に金を払わないわけではない。

例えば、簡単のために割り切りやすい数字で書くが、
Aさんの給与を32万円、1か月の所定勤務時間を160時間とすると、
単純計算では、時給2000円の計算だが、
さっき書いたように
一つずつの製品製造に直接従事しない時間があるので、
製品の製造にかかる時間を全体の80%だったとすると、
製品製造にかかる費用は時給2500円としないと割が合わない。

準備作業や工具の手入れを按分して時給に上乗せしていると考えてもいい。

つまり、Aさんの給与32万円は、時間当たり2500円で
月に128時間、原価計上すべき製品の製造に費やされ、
32時間は原価の計上できない作業に費やされるとみるのだ。

実際にはもう少し複雑な計算になるが、この場合の2500円を
予定率、予定賃率、賃率、予定加工費、加工費、などと呼ぶ。

つまり、Aさんに所定の賃金を払うために、
製品の製造にはAさんの賃金分としての原価が、
1時間当たり2500円の経費がかかるということだ。

もちろん本来は、直接支払われる賃金分だけでなく、
会社が負担する厚生年金やその他の社会保険料なんかも計算に入れる。
また、残業代やボーナス、通勤費なども加算する。

だから賃率だけ見ると「俺こんなに給料もらってねえよ」と言うことになる。
また、厳密にいえば、それぞれ給与も賞与も通勤費もその他手当も違うわけだが、
それをいちいち計算して個人個人で賃率を変えるのも大変だし不便。

そこで、各人をたとえば資格等級とか技術ランクとか、
社内規則によるランクでグループ化して、
それぞれをランク係数などと呼ぶ係数を掛ける。

例えば、会社の資格が1級職、2級職などとなっているとしよう。
1級職は主任クラス、4級職は新人クラスだとしよう。

そこで、たとえば3級職を計数1.0として、
4級職は、例えば、0.8、2級職は、1.5、1級職は2.0などとしておく。

これで賃率が2500円だとすると、
4級職の1時間は2千円に相当し、1級職は5千円に相当するというわけ。

各人が毎日どの作業に何時間費やしたかを記録し、集計する。
この記録のための様式を「作業票」なんて呼んだりもする。

このようにあらかじめ計算していろいろな数値を決めておく必要があるし、
それを記録集計して原価を積み上げていくシステムも必要となる。

もしあなたが作業票を書いているとしたら、
それはその作番の原価として積み上げられていることを意味している。

***

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