※ この記事は4/7午前中限定公開です
やっと終わったと思ったことでしょうが、おまけとして、当時ポプラ社の編集者さんが寄せてくださった感想も嬉しかったので無断掲載します。
●2005年06月14日(第912回) スヌッペ
とうとう、梅雨入り。自転車通勤を旨とするすぬっぺには、厳しい季節となりました。
でも、紫陽花がきれいだから、まあいいかな。
さて、こうして春が過ぎ、梅雨がきて、何気ない一日というのが、どんどん降り積もっていきますが、私たちは決して、日常生活とか、平凡な日々というものを、つまらなく見送るべきではないのです!
……なんて、めずらしく息巻いているのは、他でもない、
○○(※注)さんの「卵の位置についての考察」を読ませていただいたからなのです。
これは、タイトルからもうかがえる通り、我々の生活におけるちょっとしたシーンを、意外な手さばきで切り取り、独特のこだわりをもって考察を加えている作品です。
・スーパーにおける、卵の配置問題
・回転寿司に入店するタイミングの問題
・レジ選び問題
などなど。
あぁ、そうそう。それは確かに、考察・熟考に値する議題だなあ!と思わずうなってしまうラインナップで、しかもテンポのよい読みやすい文章だったので、ほんとうに、一気に読めました。クックと笑いをこらえながら。
これからも、ぜひこのシリーズをやってほしいですね。個人的に、私も、この手の議題はかなり抱えているタイプなので、すごく共感しますし。○○さん、これからもがんばっていろいろ追究していってくださいね!!
●2005年06月21日(第917回) そのつど太郎
『卵の位置についての考察』については、すでに「すぬっぺ」が書いているが、やっぱり面白いなあ。○○さんのエッセイだ。
きょう○○さんにぜひ、どんどん書いてもらいたいと願いを込めて思い出話を書こうと思う。エッセイのネタの提供もかねて!
スーパーの卵の位置について考察するというのは、何より着眼点がいい。それだけで惹かれるものがある。要するにこの人、センスがいいのだ。で、わたしは「スーパー」で思い出したことがある。
学生時代、先に就職した先輩がいて、まあTさんと呼ぼう。その人がつとめたのは、ナショナルチェーンのスーパー。働き出して半年くらいしてあったら、すっかり社会人の顔になって、苦労話を聞かせてくれた。
「あのさあ、値段って、微妙なんだよ。微妙な差、たとえば1円の差とかに主婦は反応するわけ。1円安い豆腐を買うのに、200円のバス代払って買いにきたりする。そんでさあ、その豆腐でこないだ失敗しちゃってね。なにかというと、落っことしちゃったの。その日の目玉商品だったのに、ずらっと並べた山の3分の1くらいを崩して床に落としてしまった。びびったよ。で、どうしたと思う?」
「さあ、どうしたんですか。(なんか得意げだなあ)」
「あのね。ここがオレのすごいとこなんだけど。」
「なんですか?(けっきょく自慢かよ)」
「ぐちゃぐちゃになった豆腐をあつめて、ポップを立てた。なんて書いたと思う?」
「知りません。(はやく言え!)」
「麻婆豆腐専用の豆腐です!それで完売だよ、完売。すごいでしょう?」
なるほど。ちょっとすごいかも。でもほんとの話か?
わかんないけど、社会人になった先輩が偉く見えたのは確かだった。
そんなことを思い出しつつ、「微妙な値段」とか、生活の「微妙な判断」があつまるスーパーという場所は、おもしろいなあとそそられた。「卵の位置」なんて、ほんとうに面白いと思う。だからスーパーだけでネタを集めて書くというのも一案ではないだろうか。というご提案。
それで、もうひとつあえて言わせてもらうと、「考察」に加えて、「調べてみました」というのがあるともっと面白いかも。なぜなのか、さんざん考察したと、取材する。すると「やっぱり」かもしれないし、「なんだそんなことだったの!」という驚きの理由が出てきたりする。あるいはぜんぜん理由なんかなかったり。人間の「考察」そのものを対象化して面白がるために、「事実」をスパイスとしてきかせる。そんなエッセイがあったら、読んでみたいなあと思った。
いかがなものでしょうか? まあ思いつきですが。
でも、楽しいので、これからも期待してます!
●2005年07月28日(第943回) れんこん
la la la 回転寿司
どの寿司をつまみましょう
可憐な私に似合う寿司
ベロのようなマグロ
目玉おやじ集団のようなイクラ
私のお寿司は どれかしら
(○○作、「乙女ちっくな回転寿司の歌」より)
3度のご飯より寿司好き! なわたしの心をわしづかみにする作品に出会いました。回転寿司にひとりで挑む乙女の恥じらいと、店員との微妙なコミュニケーションの間合いを表現していると思います。わたしも、しばしば単独で寿司屋へ行きますが、周囲のひとに「ひとりで寿司とは、なんてわびしいやつ」と思われているのではないかと、必要以上に自意識過剰になってしまいます。
このほかにも、「入店のタイミングについての考察」や表題にもなっている「卵の位置についての考察」など、日常的的な行動に伴うタイミングの妙が紹介されています。一読すれば、「あるある、こういうこと」と思えるシーンが、見つかるのではないでしょうか。
今度寿司屋に入るときは、○○さんの「回転寿司の歌」を心の中で復唱すれば、きっとだいじょうぶ。そんな気がしてきました。
※注
○○はそのとき使っていたペンネームですが、このときコメント下さった方 (編集者さんではない) といろいろあって、ポプラ社のサイトにもご迷惑を掛けたので、この名前は封印しました。