「カサブランカ」という映画を観ました。
昔、ジュリーの「カサブランカ・ダンディー」を聴いた時、
「ボーギー、ボーギー、あんたの時代は良かった
男がピカピカのキザでいられた」
と言う歌詞が気になっていました。
「キザ」
今や死語になってしまった感がある言葉です。
「男の美学」
「男気」
「男が男に惚れる」
「カサブランカ」は、恋愛映画ではあるけれど、観終わった後、私にはそれだけではない感動が残りました。
主人公リックのキザなところやクールなところと、女々しいまでに失恋の傷を引きずるところや、情熱的に恋するところ、なのにやせ我慢をして愛する人を突き放し、命懸けで逃避行させるところ、友情や正義感あふれる情に厚いところ…。
一人の男の弱さも強さも純粋さも表現し切っているハンフリー・ボガードは、さすがアカデミー賞の男優さんです。
イングリット・バーグマンは、「理想のアメリカ人」と言われる女優さんだけあって、オーラがありましたね。
美しく知的で情熱的なイルザを演じていました。
でも、バーグマンがアップのシーンの照明がハレーションを起こしているように見えるぐらい強過ぎるのでは?と思いました。
せっかく綺麗な人で、メイクだってバッチリ決めているだろうに、輪郭をあんなにぼやかす必要はないんじゃないかと思いました。
でも、ラストのラブシーンは、リックの目線で涙でぼやけて見えているのかなぁと思いました。
有名な「君の瞳に乾杯」と言うセリフがあるけれど、バーグマンの目をぼやかさずに撮ってもいいんじゃないかな?
きっと、もっとドキドキするくらい綺麗な瞳だと思うんだけどな。
リックもカッコ良かったけど、ルノー署長やイルザの夫のラズロもカッコ良かったです💖
まさに「男気」!
カッコいいとはまさにこういう言動がとれる人のことを言うのですね。
白黒映画なので色はないけれど、それだけに明暗や影の付け方は細部に渡って配慮されている映像でした。
そしてこの映画を盛り立てているのが音楽です。
挿入歌の「As Time Goes By」(時の過ぎ行くままに)と、劇中で歌われ、ラストシーンで流れるフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」
アメリカが第二次世界大戦に参戦した1942年に製作され、公開されたと言う時代背景。
それだけに、「As Time Goes By」は、国境を越え、時代を越え、世界中に愛されている名曲なんだと思いました。
最後に。
こういう昔の映画は子どもの頃は、おじさんおばさんが見る映画だと思っていました。
でも、自分の年齢がボギーやバーグマンが演じた年齢をはるかに越えた今、じっくり観ると、この年齢まで生きて来たからこそ分かるところがあります。
十代や二十代ではピンとこない、三十代、四十代ではでも無理だったかな…
名台詞がたくさんあります。
今だからこそ、監督が表現したかったことが分かるような年齢になったのだと思います。
歳を重ねるってステキなことだなあ~と、素直に思える映画でした。