8月29日、両国の江戸東京博物館で開催中の「思い出のマーニー×種田陽平展」に行って来ました。
昼間、引率で行ったのですが、19:00から種田陽平氏によるギャラリートークがあり、入場券の半券があれば再入場できると言うことで、夜、もう一度会場に行って来ました!
種田氏がおっしゃる主人公の杏奈の目線で構成された展示と言うことと、この展覧会は、キャラクターは説明には必要だけど、背景美術や、主として「湿っ地屋敷」を体感するというコンセプトでは、必見の展覧会でした。
映画の舞台美術家でもある種田氏の視点で描かれるマーニーの世界は、同じ建物や空間でも、季節や時間帯や天候によって、色遣いやコントラストが違うことや、細部に渡るでティールのこだわりなど、映画の中でもため息が出るほどでした。
その原画をじっくりと見入り、その空間を実際の空間として再現し、その中に入り込んでその空気感を体感できるなんて!
以前アリエッティ展でも、自分がアリエッティと同じ小人の大きさになって、アリエッティの世界を体感する展覧会に行きましたが、今度の展覧会も工夫がたくさんありました。
会場にいらっしゃったジブリのスタッフの方にも言いましたが、会場に展示してある背景画は額装して一枚の絵として展示してあり、そこにその絵を描いた背景マンの名前が記載されていたことに感動しました。
私も美大卒業後、アニメーションの背景マンとして何作かのアニメ作品の背景画を描いていました。
当時は、背景画の上にセル画を載せて撮影をした後は、何度も使う背景画以外はほとんど焼却処分されていました。
細部にこだわって描いた絵も、何時間もかかって描きあげた絵も、ベタ塗りのキャラクターのアップの背景として、TVに映るのは本の一瞬。
描きあげた瞬間、それは私の作品ではなく背景スタジオの商品として納品され、撮影後は焼却され、消して手元に戻ることはない。
当時、自分が描いた背景画を自分のカメラで撮っていると、先輩が、
「描いた絵は手元には残らないが、腕には書き上げた分、経験と実力が貯金できる。いっぱい腕に貯金をして、美術監督を目指せ。」
と言われました。
その後何年かして、私はアニメ制作の世界からは遠のいてしまいましたが、TVや映画で素晴らしい背景画を見るたびに、職業病のように、ストーリーやキャラクターよりも背景画ばかり観ているところがあります。
今回の展覧会を観て知ったのは、種田氏は、背景ボードを書くだけでなく、実際にその建物の模型屋設計図を描いて、監督の米田氏はそれを元にして絵コンテを描いたということです。
これは、通常のアニメの背景画制作ではあまりないことです。
種田氏は、この場所では登場人物は、どんな演技をするのか、どんなアングルだととのシーンや登場人物の心情に合っているのかを考えながら制作したとのこと。
これは、米田氏が絵コンテを描く上でも、原画、動画、彩色、背景マンにとっても、非常にわかりやすく、創作意欲が掻き立てられたことでしょう。
サイン会で、種田氏に、背景画に製作者の名前があったことと、杏奈のキャラクターではなく杏奈が書いたメモだけで背景画だけの部屋があったこと、壁紙に至るまで、映画の世界を忠実に3次元空間として再現されたことについて感動したことをお伝えしたところ、
「背景画を描いた人たちの名前を記載することは、今回特にこだわりました。」
とおっしゃっていました。
今まで、ただの場所や時間帯の説明用のBCだった背景画が、背景画も主人公の心情を語り映す重要な存在であるといことが見る人に伝わり、魅了する芸術であることを証明してくれました。
種田氏とは、奇しくも同じ母校武蔵美で同期生。面識はありませんでしたが、今回お話し出来、彼の真摯な創作意欲とその作品に直接触れることで、とても刺激を受け励まされました。
種田氏の益々のご活躍を期待しつつ、私も頑張ろうと思いました。
昼間、引率で行ったのですが、19:00から種田陽平氏によるギャラリートークがあり、入場券の半券があれば再入場できると言うことで、夜、もう一度会場に行って来ました!
種田氏がおっしゃる主人公の杏奈の目線で構成された展示と言うことと、この展覧会は、キャラクターは説明には必要だけど、背景美術や、主として「湿っ地屋敷」を体感するというコンセプトでは、必見の展覧会でした。
映画の舞台美術家でもある種田氏の視点で描かれるマーニーの世界は、同じ建物や空間でも、季節や時間帯や天候によって、色遣いやコントラストが違うことや、細部に渡るでティールのこだわりなど、映画の中でもため息が出るほどでした。
その原画をじっくりと見入り、その空間を実際の空間として再現し、その中に入り込んでその空気感を体感できるなんて!
以前アリエッティ展でも、自分がアリエッティと同じ小人の大きさになって、アリエッティの世界を体感する展覧会に行きましたが、今度の展覧会も工夫がたくさんありました。
会場にいらっしゃったジブリのスタッフの方にも言いましたが、会場に展示してある背景画は額装して一枚の絵として展示してあり、そこにその絵を描いた背景マンの名前が記載されていたことに感動しました。
私も美大卒業後、アニメーションの背景マンとして何作かのアニメ作品の背景画を描いていました。
当時は、背景画の上にセル画を載せて撮影をした後は、何度も使う背景画以外はほとんど焼却処分されていました。
細部にこだわって描いた絵も、何時間もかかって描きあげた絵も、ベタ塗りのキャラクターのアップの背景として、TVに映るのは本の一瞬。
描きあげた瞬間、それは私の作品ではなく背景スタジオの商品として納品され、撮影後は焼却され、消して手元に戻ることはない。
当時、自分が描いた背景画を自分のカメラで撮っていると、先輩が、
「描いた絵は手元には残らないが、腕には書き上げた分、経験と実力が貯金できる。いっぱい腕に貯金をして、美術監督を目指せ。」
と言われました。
その後何年かして、私はアニメ制作の世界からは遠のいてしまいましたが、TVや映画で素晴らしい背景画を見るたびに、職業病のように、ストーリーやキャラクターよりも背景画ばかり観ているところがあります。
今回の展覧会を観て知ったのは、種田氏は、背景ボードを書くだけでなく、実際にその建物の模型屋設計図を描いて、監督の米田氏はそれを元にして絵コンテを描いたということです。
これは、通常のアニメの背景画制作ではあまりないことです。
種田氏は、この場所では登場人物は、どんな演技をするのか、どんなアングルだととのシーンや登場人物の心情に合っているのかを考えながら制作したとのこと。
これは、米田氏が絵コンテを描く上でも、原画、動画、彩色、背景マンにとっても、非常にわかりやすく、創作意欲が掻き立てられたことでしょう。
サイン会で、種田氏に、背景画に製作者の名前があったことと、杏奈のキャラクターではなく杏奈が書いたメモだけで背景画だけの部屋があったこと、壁紙に至るまで、映画の世界を忠実に3次元空間として再現されたことについて感動したことをお伝えしたところ、
「背景画を描いた人たちの名前を記載することは、今回特にこだわりました。」
とおっしゃっていました。
今まで、ただの場所や時間帯の説明用のBCだった背景画が、背景画も主人公の心情を語り映す重要な存在であるといことが見る人に伝わり、魅了する芸術であることを証明してくれました。
種田氏とは、奇しくも同じ母校武蔵美で同期生。面識はありませんでしたが、今回お話し出来、彼の真摯な創作意欲とその作品に直接触れることで、とても刺激を受け励まされました。
種田氏の益々のご活躍を期待しつつ、私も頑張ろうと思いました。
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