8月8日(火)
実践授業報告会に参加。
全日かけて、市内の小中学校の先生方の実践授業の報告を聞いた。
読書を全校挙げて教育の柱としてとき組んでいる学校、
地域社会との連携を図り、「ふれあいボランティア」として、授業に積極的に関わってもらっている学校、
体力向上を目指し、体育の苦手な子にどう言葉かけをし、できないことをできるように励ましていくかを実践している先生、
職業体験を生かし、進路選択にどう反映させているかと提案
それぞれの発表は大変参考になり、勉強にもなった。
と同時に、その実践に対して、実際はたくさんの課題があることも分かった。
その中で、気になったのは読書の取り組みについて。
子どもたちの読書離れは深刻だ。でも、それを国語力(読解力)という側面だけで対応するのでは不十分だと思う。
もっと五感を使った想像力をくすぐる本との出会い作りが大切なのでは?
要は読みたいと思うきっかけ作りだ。
たとえば視覚から入る、聴覚から入ると言うことで、最初はアニメや、素話、人形劇で見せて、原作を読ませると言うのではどうか。
『ハリーポッター』や『指輪物語』、『ナルニア国物語』、今年は『ゲド戦記』など、長編のシリーズものでも、子どもたちは続きを知りたくて、原作を読みたくて、分厚い本を果敢に読んでいる。
私は幼稚園で人形劇を長年やってきたが、原作があるものは極力原作どおりに脚本を書いた。
『三匹のこぶた』『ヘンゼルとグレーテル』などは、子供向けミュージカルなどでは『毒消し』をされて、原作者の意図がまったく反映されていない。
上演後、ディズニーアニメと違う結末の『三匹のこぶた』に興味を持ち、原作を読んだ親子もいた。
「お兄さんたちは死んじゃって、狼は3男に食べられちゃうんだ~」とショックな子もいたし、その結末を知らない親もたくさんいた。
『三匹のこぶた』の一番面白いところは、3男と狼の知恵比べのくだりなのだが、そこをはしょって、レンガの家の頑丈さばかりを強調し、兄たちは殺されず、3匹仲良く狼を追い払うと言う面白くもなんともない脚色が横行しているのが現実だ。
当時の私を支えたのは、美智子皇后のスピーチ『子供の本を通しての平和 --子供時代の読書の思い出-- 』http://www.kunaicho.go.jp/okotoba/26ibby.htmlだった。
小さい頃から毒を抜いたものばかり見せるのではなく、読書の世界の中で、過酷な状況で悩み苦しんだ主人公たちが成長する姿や、古今東西こういうあんなことがあり、こんな暮らしがあるということを、読書すると言うことで疑似体験ができる。
こういう読書体験を積むことで、人とのコミュニケーションや、困難に立ち向かう勇気と知恵、挫折からの立ち直り方を学んでいくのだと思う。
小学校の図工で、『花咲き山』『八郎』『半日山』『かみなり娘』『猫山』、中学校美術の授業では『はっぱのフレディ』や『あらしの夜に』を読み聞かせ、感想画を描く授業をしたところ、子どもたちは図書室に自分で本を借りに行き、『あらしの夜に』のシリーズは全巻貸し出し中になった。読書感想画もなかなかのものが描けた。
『あらしの夜に』はちょうど直後にアニメが上映される頃だったので、アニメを見た生徒が、原作との違いや、アニメならではの表現の面白さなどを熱く語りに来た。
我が家で言えば、読書好きの息子が最初に自分から図書館で借りてきた本が『王様シリーズ』(寺村輝夫・作)だった。
きっかけは人形劇団プークの人形劇。
当時まだ4歳だったが、小学校入学までに寺村作品はほぼ読破していた。
本をシリーズで読む楽しさ、同じ作者のほかの本を読む楽しさをを覚えた彼は、その後、国内外の名作、名著、話題作に至るまで、かなりの読書量を更新していく。
我が家の末娘は、どういうわけか去年までは読書嫌いで、図書館から借りてくる本は、飼育や栽培の本、レシピ本ばかり。
物語は嫌いではないが、自分で読むのは面倒と言うタイプだった。
ところが、去年公開された『ハリーポッター・炎のゴブレット』を見に行く前に、「原作を読み終わったら映画に連れて行く」と言う条件を出したところ、最初はあの本の厚さに閉口していた娘が、物語の面白さにはまり、今では全巻読破の3回目に入り、すっかり「カルト」級になってしまった。
兄に比べればまだまだだが、本を読むスピードと集中力、理解力、語威力はこの1年間で相当ついたのではないだろうか。
長くなってしまったが、「活字離れ」を嘆いてばかりいるのではなく、まず、五感を刺激するところから「読書の世界」へ水先案内をする手立てを考えてみてはどうだろうか。
可愛いカード作りや、自分専用の図書カードと言うのはその後に効力を発揮してくると思う。
ここまで書いて、さて、自分はどうだろうと振り返ると、最近あまり本を読んでいない。下手をすると新聞を読まない日もある。
夏休み、私も心がけて本を読むことにしよう
。