2010年の韓国No.1のヒット作品『アジョシ』を観賞。
哀しい過去を抱えながら、世間から離れひっそりと質屋を営むテシク。1人っきりの彼の生活に入って来るのは隣家の少女ソミだけ。母親にも相手にされず貧しい暮らしをおくっているソミは友人もなく周りの大人からも疎まれているが、テシクはソミを拒まない。ソミの母親が犯罪組織から麻薬を横取りしたことからソミと母親が誘拐される。ソミを助けるため組織に乗りこむテシクだが、いろいろなワナが仕掛けられていて・・・という話。
少女を助けるために1人で犯罪組織に乗りこんでいくという展開からか、韓国版「レオン」と評してる人もいるみたいだけど、私はレオンと似てるとは思いませんでした。レオンは「愛を知らない男」が少女と心を通わせたことによって少女を救いにいくけれど、アジョシは「愛を無くした男」が主人公。かつて人を愛したことがある男だからこそ、愛に飢えている寂しい少女のために動き出せるのです。レオンは自分に愛を教えてくれた少女に対する殺し屋の愛情を描いてるのに対し、アジョシからは少女に対し「生きて人を愛してほしい、愛されてほしい」という父性愛を感じます。レオンもアジョシも、少女が1人で生きていく決意をしてラストを迎えるのだけど、アジョシの方が生きることへの想いが強く感じられました。
R15指定されてるだけあって、臓器売買や薬物斡旋といった物騒なシーンやアクションシーンは残虐で凄絶。血が飛び散る殺人シーンと美しいウォンビンのルックスのアンマッチさが、この映画の魅力ですね。ウォンビンの名前と顔は以前から知ってたけど、作品はあまり見たことがなかった私。「秋の童話」で見た時はアイドルのような甘過ぎるルックスが好みじゃないな・・・と思っていたんだよねぇ
。しかしですね、『アジョシ』を見てあまりの美しさにビックリ。しかも、ただキレイなだけではなくて、男性的な色気がバシバシ出てるんです。元特殊部隊要員という設定でかなり長い時間をかけて体作りをしたということだけど、ハンパじゃない肉体美、美しすぎる腹筋にウットリ
。そして映画後半、組織に乗りこんだウォンビンが銃やナイフ、拳で戦って血だらけになり心身共にボロボロになっている姿がとってもセクシー
。・・・と、ルックスばかりの話になってしまったけれど、もちろん演技力も素晴らしい。感情を感じさせない空っぽの瞳から、悲しみに溢れた瞳、そして怒りに満ちた瞳と、目の演技が印象的です。
「アジョシ」は「おじさん」という意味。映画の始まりから終わりまで「隣家のアジョシ」と「少女」という距離感は遠くなることも近付くことも無くそのまま。世間一般の「アジョシ」像からかけ離れているウォンビンだけど、ウォンビンが作りあげた「アジョシ」によって、この映画は成り立っています。
ストーリーもウォンビンの美しさも期待以上の作品でした。見てヨカッタです。