田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

好敵手を求めて

2016-08-26 02:18:40 | ヒゲの盤上の世界
8/16  【 熊日新聞の将棋欄 】
棋王戦の予選局を覗くと、まるでタイムマシンで昔に還ったような気がしました。
わあっー、懐かしい戦法だ。
今時、こんなクラシックな定跡が指されていたんだと、ヒゲは驚きました。

念のため、図までの手順を記しておきます。
  ▲ = 畠山 鎮 七段   △ = 先崎学八段

▲ 7六歩    △ 3四歩
▲ 2六歩    △ 8四歩
▲ 2五歩    △ 8五歩
▲ 7ハ金    △ 3二金
▲ 2四歩    △ 同歩
▲ 同飛車    △ 2三歩!!
▲ 3四飛車   △ 8ハ角成り
▲ 同銀     △ 2五角
     

タイムマシンのワープ先は … Back to the 1968年!熊本市黒髪。
ヒゲと同級生のK君は、S高の裏門から出て、熊本大学に向います。
そこの将棋部部室を見つけ、そーとドアを開けて入ると、色白の部長がヒゲを手招きします。
良い相手がやって来たと。
さっそく、理学部数学科の部長さんとの対局。
やがて将棋盤の周りに部員達が、このレアな闘いを観ようと集まってきました。
考えれば、不思議な対局です。
大学四年生と高校生が対等に向き合っています。
時代は、まだ上下関係に厳しい頃です。
しかも、高校生に至っては、史上最悪の受験戦争期の真っ最中のハズ。

盤上は、前述の手順にそって図まで。
実は、この局面がお目当てなんです。
当時の熊本将棋界も大山四間飛車全盛時代。
誰も、こんな横歩取り戦法みたいな、神経を使う定跡を指す者はいませんでした。
つまり、お互いに(!)目の前の相手は、宝くじ並みのめったに出会えない好敵手なんです。

先ずは、この 2五角 まで進み、これからが問題。
後少し進むと、微妙な優劣が生じます。
その優劣を拡大する為の感覚が、この横歩取り戦法では難しいのです。
具体的には、 と金 を作る工程から始まり、優勢から如何に勝勢に持っていくか?
だから、感覚を養成する為には、実戦のスパーリング・パートナーが欲しい訳です。
因みに、アマ棋界だけでなく、当時のプロの世界でもこの戦法は登場しませんでした。
その頃のヒゲの教科書! 芹沢八段の 『 横歩取り戦法 』(68年刊行)のはしがき。
        
【 振り飛車全盛のおりから、『横歩取り』もめったに見ることができなくなりました。
  後手が角道を止めれば、横歩を取れないからです。
  また、横歩取りは先手有利が定説です。
  それゆえに振り飛車が用いられるわけです。
  しかし、初心の方はともかく、中級以上の方であれば、
  常識として横歩取りとはどんな戦法か、ということを知っていなければなりません。
  表面にあらわれなくても、知っていて指さないのと、知らないから指さないのでは、
  おのずから深味と強さがちがうのです。 】
当時の将棋界、限られた戦法ばかりの現状に、苦々しい思いを持った筆者の気持ちが
行間ににじみ出ているようですネ。

さて、新聞棋戦は、その後、 ▲ 3二飛車成り   △ 同飛車!!?
ウワッー!
なんて、ヒゲ達オールドファンをワクワクさせる展開でしょう。
さすが先崎八段、不利と分かっている局面に踏み込む。 男だね~
こんなオトコと、ちょいと一杯飲みてぇもんだ。
「 場所? 」 
「 そうだな、あの頃のバーで良いだろう! もちろん、あの時の部長さんも御一緒に。 」
                  

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