田園酔狂曲

二人三脚の想い出と共に!!

天ぷらへの誘い〜或る日のカウンター

2022-02-03 18:51:38 | 田園ものがたり
田園のカウンター係の浪ヤンは、2時に出勤していました。
ひとしきり掃除を済ませて、次は天ぷらの準備に忙しい。
先ずは、粉の用意。 “ ニップンの家庭用天ぷら粉 ” を。 
但し、この粉だけで揚げた天ぷらは、何て言うかガリガリ(?)と重曹くさい感じがする。
クリスピー大好きなアメリカ人相手なら良いかもしれませんが、日本人には微妙。
で、ヒゲは同量の薄力粉と合わせて、その日使う分をふるいに掛ける方式に。
ふるった粉は、直ぐに冷蔵庫へ。
              
次は、玉水の用意。
卵の黄身だけを水の入った水差しに溶き入れ、やはり冷蔵庫へ。
白身は、とりあえず冷凍庫に。
天ぷら粉も玉水も、冷やすのは当時の天ぷら理論から。
油の温度と天ぷらネタとの温度差が大きい方が、カラリと揚がると言う意見。

やがて2時半ごろに、N野酒店さんが納品にやってくる。
カウンターには、麒麟ビールを納める。
冷蔵庫は、ホシザキの3ドア・リーチインタイプ。
キリンを用意するのには、訳がある。
田園カウンターのお客様は、個性的な方が多いんです!? (笑)
         
浪ヤンはその後、厨房に入り、当日の予約献立を確認します。
メモを取り、野菜を揃えてカウンターに戻り、予約に応じた天ぷら野菜の
切り出しに掛かります。
その間にも、予約の電話が頻発に掛かって来るから忙しい。
エレベーターも、客がいない昼間から活躍します。
宅配業者が、運搬カートで日本酒を届けます。
全国各地の取り引き酒店さん達が、一升瓶10本入り木製ケースで送ったものです。
浪ヤンは、その酒を規定の場所に振り分ける作業があります。
重いので、結構大変だったことでしょう。
今は、6本用のプラ製のケースですが、当時は木製で10入りが当たり前でした。
     

続けて、天然活け魚専門の業者さんが、カウンターの生け簀に魚を移します。
天然の魚は、弱い種が多いから悩ましいものでした。
ヒゲは、カウンターに 『シャープ製のワープロ』を出して、メニューの段取り。
当時の熊本では、毎日の献立をワープロで打つなんて、はしりの時代でした。
銀座通りに在ったベスト電器で、持ち運びできる物を購入しました。
仕入れしたヒゲが入力するんですから、生々しい単品アラカルトメニューが仕上がります!

四時になると、浪ヤンは、スタッフ10人の賄い料理を準備始めます。
厨房の仕込み、ホール・座敷の掃除やセットが一段落し、戦いの前の腹ごしらえ食です。
サービス係の女性は5時の開店に合わせる為、ひとりずつ交代で和服に着替えます。
最初の彼女は、ついでに、打ち上がったメニューの原稿を持って行きます。
六階の更衣室が事務室の隣なので、着替えが終わる頃には、都合よくコピーが出来ています。

五時に合わせるのには、訳がありました。
神社の宮司さん達が、仕事を終えて直ぐに御神酒(オミキ)を上げるのがお好きだからです。
なにしろ、旧・栄通りの苦しい時代に、お世話になったこともあり、無碍に出来ません。 (笑)

                   ~ ~ ~ つ づ く ~ ~ ~

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コメント (2)
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