久々に、ハラハラさせられました。マオとヨナの対決です。
たかが、フィギュア・スケートと言うなかれ。この闘いぶりはたいしたものでした。まさに、技以上に心理の格闘技というべきでしょう。前回のオリンピックでは年齢が規定に達していなくて、優勝候補第一だった浅田真央が出場できなかった頃から、私は注目していました(と、私なんかが言わなくても、当時15歳? の真央はもう世界中で注目の的でした)。そして同じ年齢、同じ体格、同じ極東のアジア人であるキム・ヨナ。
素人目で見ても、キム・ヨナは素晴らしい。精巧な、可愛らしいサイボーグに見えます。失敗が見えてこないのです。それほど完成されていて、こわい気がします。素顔は可憐な少女ですが、失敗しない芸術作品というイメージがライバルとしてこわいのです。真央ももちろん素晴らしいですが、どこか繊細で、いつ壊れ、いつ崩れてしまうかというもろさが常に感じられ、それがハラハラさせるのです。
専門家が言うように、芸術点ではヨナのほうがやや上で、まともにやったら真央は勝てないでしょう。真央がヨナに勝った今年の世界選手権では、ヨナは腰痛を悪化させていてミスしました。真央がヨナに勝つには、ジャンプしかない。それも、トリプル・アクセル(3回転半ジャンプ)を2回跳ぶしか・・・。
とまあ、この辺までは解説者の受け売りですが、真央のすごいのは「ハイリスク・ハイリターン」を成し遂げたことです。氷上のジャンプは、あの細い刃で、滑る表面に着地すること自体が素人には奇跡に思えるのですが、難度の高い技に挑んで成功したことに拍手を送りたいと思います。しかも、「ハイリスク・ハイリターン」は、失敗の確率も高いのです。この失敗への恐怖心を克服した精神力に真央のすごさ、成長が見えます。
キム・ヨナは、地元韓国の大きな期待からくるプレッシャーによって、あの精巧な芸術的演技にミスが入ってしまいました。この精神的な重圧も相当だったのでしょう。ヨナは、韓国ではスーパースター、スーパーアイドルです。日本における真央の比ではないそうです。ヨナも心理的に格闘していたのです。
次の闘いはまったく分かりません。真央は失敗を恐れずに大技に挑んでいくでしょう。しかし、失敗は常に付いて回ります。今回の得点を分析すると、真央が3回転半を2回跳ぶというハイリスクを冒して成功しても、ヨナがミスなく堅実に滑っていれば、真央はヨナに勝てなかったとも言われています。しかし、リスク(挑戦)を取らなければ、大きなリターン(優勝)は得られないのです。世界選手権、オリンピック ―、ライバル キム・ヨナはどこまで完成度を高めていくのでしょうか。
二人とも、技で競技していましたが、それ以上に心理面で格闘しており、それが伝わってきました。まだ、二人とも18歳。数年前の可愛らしい少女から、最近の演技は大人の雰囲気があります。現在、世界でもずば抜けた二人の天才スケーターがアジアの隣国同士にいることに誇りに思えます。
最新の画像[もっと見る]
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます