FPと文学・エッセイ 〜是れ日々なり〜

ライフプラン、資産設計のほか、文学・社会・芸術・文化など気まぐれに日々、FPがつづるエッセイ。

『旭山動物園物語 ペンギンが空を飛ぶ』 ― なぜ人は動物を見に行くか

2009-02-17 00:42:12 | 芸能・映画・文化・スポーツ
 
映画は年1回くらいしか観に行きません。正月などに、何を観に行くというより、行ったその場で上映している中から選びます。この間は、夫婦で休日が一緒になったので、今年2本目の映画を観てきました。『旭山動物園物語 ペンギンが空を飛ぶ』。

旭山動物園については、テレビでドラマ化されたり、ドキュメントや新聞・雑誌などでも取り上げられたりして、今さら言うことはありません。映画は、内容がどうのというより、家庭で観る感じで退屈しませんでした。ところどころで、ちょっとほろりとする場面もあります。

映画の中で、ちょっと気になったことがありました。動物愛護団体の女性メンバー(前田愛)が園長(西田敏行)に、「動物を檻に閉じ込めておいて、動物が不幸だと思わないのか、動物を虐待しているのではないか」というような抗議をしています(この女性は獣医でもあり、結局、園長の考えに共鳴して動物園の飼育員になります)。

この問いは、いつでも繰り返されてきたことです。これについて答えることは難しい。映画では、別の新人飼育員が「自然界では、絶滅する動物もいる。こうして、自然界の脅威に晒されずに安心して生きていけるよう、人間の手によって飼っていくことも大事だ」という意味を言ってました。その通りです。ただ、「自然界の脅威」のみによって絶滅が急速に進んでいるのではなく、人間の欲望や横暴、自然環境の破壊から多くの絶滅種が増えていると言われています。

先ほどの問いに対しては、明確な答えが出ません。「動物を飼ったり、見たりすることで、動物の生態を知り、命の大切さを知る」―、というような教科書的な答えでいいでしょうか。ただ、多くの子どもや大人は、そういうことを考えて動物園に行くわけではありません。動物を見るのが楽しいからだし、面白い、可愛い、飽きないからです。だから、自分たちも動物を飼っているのです。理屈ではなく、感情からでしょう。人間と動物の心が交流できれば、こんな素晴らしいことはありません。ペットを飼っている人は、多くがそれを実感しているのだと思います。

中には、人間とはどうしても生態、行動を相容れない生き物がいます。そちらのほうが圧倒的に多いでしょう。それは仕方ないことです。それでも動物は芸術品だと思います。神が自然界に贈ってくれた一級の芸術品です。ひとつひとつの個体が、その姿かたち、色、模様、生態、能力、どうしてこんなに何千万種もの異なる生き物が造成されたのかと驚きです。美しいものだけでなく、醜いもの、恐ろしいもの、奇妙なもの、猛毒を持つもの、すべて興味深く、それが面白く、いい歳をしてよく動物園に行きます(子連れではなく、夫婦大人同士で)。

動物管理センターに捨てられる(処分するよう預けられていく)ペットの収容費用がかさむので、「ペット税」を導入する、なんて記事が昨年末に出ていました。何か間違っています。必要な費用なら負担しなければなりません。でもその前に、一度飼ったら、死ぬまで付き合うのが飼い主の義務です。個人的な気持ちとしては、ペットを理由なく勝手に処分することを、罰則として厳しく取り締まってもいいような気がします。(『ペットのいるライフプラン』)



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