去年の春、木下商事の試飲会で初めて口にした甲州。それまでは補糖しなければワインにする事が出来ないと、勝手に決め込んでいましたが。ふっくらとしていて、ボデイがしっかりしているので、発酵の際に補糖はしていないと感じました。
アルコール度数が低いのでドライブ感が希薄でしたが、それが幸いして危うげで優雅な立ち振る舞い。その時、羽化したばかりの陽炎が逆光浴びて揺らめいている情景が浮かんできました。今まで、これほど繊細で危うげな液体を口腔の中に含んだ記憶が無いので、とても戸惑ったワインでした。
今年の試飲会では広報を担当している当人と話が出来。テクニカルデーターについては、公開されていないデーターも希望があれば開示していると返答を頂きました。過去の出来事ですが、ブドウ畑を見に行くと天然酵母でアルコール発酵をしていると聞いていたのに、葉っぱに粉っぽい痕が在ったり、ある60kの粉の入った袋が堆く積まれていたり。多少なりヨーロッパのワイン造りを知っている者としては、感覚のずれを感じていました。テクニカルデーターを見たからといって、おおよその事しか解らないのですが。何となくでも、方向性が見えてくる安心感があると思っています。
シャトー酒折の甲州バレルは2,3年後が楽しみなワインだと思っています。エイジングする事で、少し肉付きが良くなり、隠れていた香りの要素が違った形で現れてくれそうな予感がしています。
さて、料理との相性を考えると、壊れそうなくらい繊細なワインなので、素材の良さを楽しむ工夫をされた料理。これしかないと思います。