春霞図鐔 中川一匠
春霞図鐔 中川一匠
春の花と蝶を描いている。頗るわかり易い図柄だが、蝶が誘われてくるのは花の香りがあるからに違いない。春のおぼろな空気感と花の香りが、二つの技法によって表されている。一つは朧銀地という、淡い調子の金属が持つ風合いの活かし方であろう。微細な石目地で朧銀地が春の空気そのものを鑑賞者に伝えてくる。もう一つは微細な金の粒を流れるように木々の背後に梨子地象嵌しているところ。春霞であり、また花の香りをも暗示するぼかしの描法である。
春霞図鐔 中川一匠
春の花と蝶を描いている。頗るわかり易い図柄だが、蝶が誘われてくるのは花の香りがあるからに違いない。春のおぼろな空気感と花の香りが、二つの技法によって表されている。一つは朧銀地という、淡い調子の金属が持つ風合いの活かし方であろう。微細な石目地で朧銀地が春の空気そのものを鑑賞者に伝えてくる。もう一つは微細な金の粒を流れるように木々の背後に梨子地象嵌しているところ。春霞であり、また花の香りをも暗示するぼかしの描法である。