toshiの「読書日記」

忘備録を兼ねて読んだ本の感想などを書いています。個人的な感想なので不快に思われたりすることも有るかもしれませんがご容赦。

「事件持ち」 伊兼源太郎

2020年06月30日 | 読書日記
伊兼源太郎初体験だったけど、もっと読みたくなる作家でした。

連続殺人事件を追う警察と新聞社の物語。
でも、よくあるような刑事と記者が独自に、あるいは協力しながら…という展開では無く、(新聞記者と警察にそれぞれ個人の主人公らしき人は居るものの)あくまでもそれぞれの組織が独自に、そしてある場面では協力するというちょっと斬新(ある意味現実的)な設定になっている。
捜査の進展状況と取材内容を巡る記者と刑事の駆け引きが一番の読みどころ。
対立しあったり、協力し合ったりの微妙な関係で、下手な恋愛小説以上に面白い。
サイドストーリ的に記者同士の対立や協力もあってこちらも面白い。
また、主人公となる記者と刑事の成長物語にもなっている。

ミステリーとしても、なかなか良くできているが、登場人物が多くてちょっと混乱する。
冒頭に一覧表があればうれしい。

新聞社の物語では先日『北海タイムス物語』を読んだけど、前近代的な人物が何人も登場してリアリティが無いと思ったけれど、ここにも似たような人物が登場する。
著者はどちらも新聞社勤務の経験があるようだけど、もしかしたら本当に居るんでしょうか…?





角川書店
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「つながりません」 長岡弘樹

2020年06月30日 | 読書日記
連作短編集。
一話ずつ主人公は変わっていくけれど、微妙に話が繋がっていて、それぞれの話に脇役で登場する映画のスクリプター(記録係)の女性が主要な役割を果たす。

映画にはまるで興味が無いので良く分からないことが多いけれど、業界用語(「ジャーゴン」と言うらしい)はコンサートと共通するところが結構あることが分かった(笑)。

サブタイトルに「スクリプターの事件File」とあるけれど、事件と言うほどのことでも無いものもあって、単にスクリプターの真野韻(まのひびき)が優秀で鋭いというお話と言う感じ。
中にはこじつけみたいな話もあり、設定の良さを生かし切れていない感じでちょっと残念。

ところで第6章はどう解釈したら良いんだろう?
それぞれが独立した短編集の体裁だけど、各話は第〇章となっているし、最後の第7章まで行くと一つの長編として完結するようになっている。
良く有るパターンではあるけれど、取って付けた感じではなくそこは上手く纏められている。
第7章から推察すると、第6章は韻の仕組んだ完全犯罪ということなんだろうな。





角川春樹事務所
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする