「愛は決して滅びない」 コリントの信徒への手紙一 13章1~13節
教会では、イースター(キリストの復活日)に「イースターおめでとう」と言ってお祝いをします。「おめでとう」と言うのは、イエスさんが復活されたからなのですが、イエスさんは自分のことを祝ってもらいたいと考えていたのでしょうか。荒野の誘惑を退けたイエスさんは、「私は死んだのに復活したぞ、奇跡だぞ、凄いだろ」と言うような人のようには思えません。
イエスさんは、復活を通して不思議な力や奇跡を示そうとしたのではありません。十字架で命を賭して「愛」を示されたのです。「愛」とは、赦しであり、救いです。けれども、「愛」と言うと、何だか弱くて頼りないもののように受け止められています。イエスさんは、復活を通して「愛」が弱くもなく、決して滅びないことを伝えているのです。
いずれにしても、権力や武力が世界に平和をもたらしたり、たとえ奇跡が起こっても世界に平和がもたらされることなどありません。それは、自明の理なのです。世界に真の平和をもたらすのは、一人ひとりの意思、「愛」です。今だけカネだけ自分だけという考えが闊歩する世の中にあって、「愛」が理解されるのは難しさを感じます。しかし、イエスさんが復活によって「愛」が決して滅びないことを示されたように、私たちも「愛」をあきらめずに世に宣べ伝え、やがて「愛」によって人々の心が変革され、世界に真の平和がもたらされるとき、互いに「イースターおめでとう」と言い合えるようになるのです。