岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

今年のさくらの歌:尾崎左永子の短歌

2022年09月30日 19時27分54秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・父が逝き母が逝きやがてわれも逝く地上の今年のさくら耀(かがよ)ふ

「春雪ふたたび」所収。

 境涯詠である。「父が亡くなり、母が亡くなり、やがては作者も死を迎える」
そこを心に留めて「地上にさくらが耀(かがよ)ふ」のを見た。

 地名、時間、日付は捨象されている。「表現の限定」「言葉の削ぎ落し」がここでも効いている。

 そして、下の句の具体が作者の心情を象徴している。

 「表現の限定」「象徴性」を佐藤佐太郎から引き継ぎ、「しみじみと、そして鋭い切り口の作品だ。




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