岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

報告「天童大人プロデュース:詩人の聲」:参戦(23)

2015年08月06日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
「天童大人プロデュース:詩人の聲」1291回 岩田亨の聲(23回目)



「(語り)こんばんわ。岩田亨です。今回は第四歌集集録予定の作品のうち、歌集の主題にかかわるもの、実験作、最後に確認をしたいもの、これを読み、初心を忘れないために、第一歌集『夜の林檎』から抄出した作品群を読んで行きたいと思います。先ず新作を読みます。」

「運河385号」より

・防波堤をこえる波あり釣り人の姿の見えぬ風つよき日に

・鎮めかねし怒りあれども沈黙を守りて時を送らんわれは(他4首)

「星座74号」より

・乾きたる更地に寒き風が吹く開発途上の街の一隅

・こだわりを振りほどき得ぬ顔をして話居るべし受話器の向こう(他六首)


「議事堂周辺:七首詠」

・群衆の声々ひびくビル街の列を離れてにぎり飯食う

          (「うた新聞」に発表したものに国会議事堂包囲のものを加えたもの)

「ISによる人質殺害事件の追悼集会で詠んだ作品七首」


・人質の殺されしこと聞きてのち心凍れりわが生日は
     
           (「星座α10号」に発表。)

「火祭り」「靴紐」十四首詠


・海外への派兵の結締なされたる今日多喜二忌の案内届く

           (「短歌」誌上で試みた社会詠の実験作)

「マタギの爺」八首詠

・障子戸に自在鉤の影うつり居り猟師の小屋の囲炉裏近くに

             (「星座」に発表し物語詩の実験)


「島の娘」八首詠

・未発表作品。短歌形式で「星座」に発表したものに手をいれ、八首で定形詩としたもの

「聲の力」七首詠

・未発表作品。作品批評会に出して吟味したものを集めた。歌集のタイトルの所以となるだろう。

「祈り」七首詠

・未発表作品。「短歌に肉親の死の虚構を入れてよいか」の論争に応えて、母の死の虚構を入れた。

「夕焼け」「白蛇伝説」「執着」など約100首。

・「運河」に発表したものを中心に、何度も聲に載せ改作し、練り上げて行ったもの。思い切って削除した作品も多い。


「ナルシス」約100首

・ナルシスの末裔という水仙を活ける器にガラスを選ぶ

・一人居の部屋に帰りてあてどなく夜の林檎を音たてて食む

 (第一歌集『夜の林檎』の作品だが、聲に出すことによって、三分の二は捨てた。だがこの日聲に出し、さらに捨てるものがみつかった。


【今回の公演で第四歌集の収録作品がほぼ形になった。次回は最終原稿のつもりで、全編を読んでみたい。来場の方より「素晴らしい」ライブだったと言われた。だが聲の出し方にはまだ課題が多い。】


 次回は9月9日。ギャルリー東京ユニマテにて18:30開場、19:00開演。予約問い合わせ、090-3696-7098 北十字舎(天童)





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