・あたたかき秋の日差しが降りたりき二人で祭りを見たりしかの日は
・今宵また地酒を飲みて過ごしおりやや辛口の越後の酒を
・夕暮れの汝(なれ)の家より帰りゆく散りし桜の敷積む道を
・湧きあがる雲には秋があると言う汝(なれ)の瞳は青く輝く
・敷道を踏みしめ歩む真昼間に奈美の言葉を思いいずるも
相聞5首である。二首目は心理詠だが、一首目の人を思って詠んだ。三首目は北原白秋の「君かへす朝の敷道さくさきと雪よ林檎の香のごとく降れ」を意識して読んだ。「アララギ系」なら、こう詠むぞと勢いづいて。
一首目から四首目までは「星座α」に発表、五首目は『短歌』10月号に発表。「相聞」と「心理詠」に没頭した一年だった。