現代歌人協会会報160。
「美しくなければ」
「美しくなければ芸術ではない」これが「星座α」の尾崎主筆から教わった最初のことだった。当時はまだ面識がなかったので「NHK歌壇」の誌上である。
それ以来、短歌の素材から除いているものがある。「生々しい肉体」「排泄物」「介護される高齢者のオムツ」などである。
「誰でも最後はオムツに世話になるから。」という人がいる。いやいや、歌材にされる立場に立つがよい。現に私の母は絶対にイヤダ、と言う。祖母は父方も母方もオムツの世話にはならなかった。
「母親のオムツ」が実はわれであったり、国家や地球であったりすることはありませんか、と言う人がいるが、そんな喩を使う必然性はない。必然性がないから無理がある。象徴派を自称するなら、吉田一穂の詩を読んだらどうか。心が透き通ると思うまで美しい。
美とはそもそも何か、人によって価値観が違う、自分の美的感覚を絶対視している・・・。
理屈は大概にして欲しいネ。