岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「現代短歌」2019年11月号に寄稿しました。「特集・旅の歌」

2019年10月14日 17時07分29秒 | 総合誌・雑誌の記事や特集から
「現代短歌」2019年11月号 「特集・旅の歌」。


 僕に依頼されたのは「西行や芭蕉に関する論文またはエッセイ」だった。西行、芭蕉と言えば「みちのく」。ここには古代、能因法師が訪れている。近代は、正岡子規も訪れており、斎藤茂吉の故郷でもある。

 そこでこの地をめぐった、歌人、俳人とその作品を紹介することとした。


 「短詩形文学を育んだ旅」

 冒頭だけ紹介する。


 1・「みちのく」の位置

 「みちのく」はフロンティア・未開の土地だった。

 古代の東北地方は、古くは「道奥田」(道奥国の誤植)のちに「陸奥国」と表記され、「みちのくのくに」「むつのくに」と呼ばれた。その「陸奥国」からは、のとに「出羽国」が分離する。

 それらの国は、平安中期に至っても中央の支配が及ばず、「蝦夷」(えみし)の支配する地域だった。「蝦夷」(えみし)は政治的、文化的概念で、人種的概念の「蝦夷」(えぞ)=アイヌとは異なる。辺境の地にあって中央の支配に服さない人々を「蝦夷」(えみし)と呼んだのだ。

 文化的異空間。それは現代の作家の多くが、海外に取材するののも似ている。日常からの離脱でもある。


 これが序章。以下三章にわたって、能因法師・西行・芭蕉・斉藤茂吉・正岡子規の順に論じた。紙数がなく、正岡子規については数行しか書けなかったが。

 これらの作者の「みちのく」の関係、短歌と俳句の感性の差異、和歌・短歌の表現の変遷は俯瞰できたと思う。



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