岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

応援のわれの姿を一目見て走る時の間 児は追い越さる

2010年01月18日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
「夜の林檎」所収。「星座」の「選者の欄」にコメントつきで初めて紹介された作品。そのコメントは「小さき人の姿をよく捉えています。」だった。

 とある小学校の運動会。1年生の40メートル徒競走でのこと。「00ちゃん頑張れ!」と声をかけた。走っている最中である。その子はまっすぐ前を向いて走っていればいいのに、チラリとこちらを見た。その途端追い越されたのである。

 声を懸けなければよかったと思ったものだが、実は僕にも経験がある。スタート後しばらくは先頭だったので、チラリと横を見た。

 その瞬間追い越された。たまたま僕の父が見にきていたのだが、「よそ見するから追い越されるんだ」とあとになってからかわれた。その記憶と重なって作品となった。


 子どもの言動はときに大人をハッとさせ、思わぬところに気づかせてくれる。それを心にとめるかどうかも、身のまわりでの小さな発見である。




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