岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座」50号記念号巻頭佳詠8首

2009年10月29日 19時54分17秒 | 岩田亨の作品紹介
「星座50号記念号」巻頭佳詠8首

 (< カテゴリー「運河の会」と「星座の会」 >もクリックして参照してください。)

・わが心日々拉げゆく思いにて朝刊夕刊ていねいに畳む

・誰かれを探すにあらず窓近き座席選んで日光を浴ぶ

・禍々しき事件の続く初なつに庭に咲きたるドクダミ摘まず

・常識的世界の及ばぬ無理数を拒めるわれを凡夫と呼ぶや

・死がそこにあらんほどまで闇深くことさら響くミミズクの声

・事務机に誰が置いたか紺色の賽を振りたり何するとなく

・空調の効きたる部屋にやすやすと絶滅危惧種の獣が眠る
        (51号の「前号の北斗七星」でとりあげられた。)

・あら草は何を恃みに生い茂る日差まぶしき六月十日



 尾崎左永子主筆の寸評は次のようなものだった。

「この処力量安定して次第に独自の歌境を作りつつある。或種の熱気を底に沈めつつ作品の重量感を増して来た。・・・」

とあった。「熱気を底に沈める」「重量感を増す」というのは本当に難しい。


 俳優の滝沢修は、白いドーランを顔に塗る前に、顔を真っ黒に塗ったそうである。

「この方が表情の深さと陰影が出るんだ。観客からは見えないがね。」

と言っていたのを不意に思いだした。




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