「星座α」26号:相聞5首
・不意に思う悲しい思いをしていないか女(おみな)の顔を思い出しつつ
初句が6音の短歌を詠んだのは初めてだ。初句が7音のものはある。咄嗟に口からでたもので意図的なものではない。違和感がないのはそのためだろう。かえって6音で不安定な感情が表現できたかと思う。
・あといくど奈々子と会える日があるか胸に秘めつつ夜空をあおぐ
奈々子はもちろん仮名。相手どういう関係かも問題ではない。「相聞」とは親しい人を思いやる歌だからだ。
・奈々子より思いもよらぬ返信に驚きながら心はふるう
返信の内容を知りたいことだろうが、そこは捨象した。
・苦しみて別離の言葉告げし昼ブラックベリーの実が乾き居り
これは説明の必要はなかろう。
・真夜中に目覚めて不意に思い出す昨日会いたりし汝(なれ)のタトゥーを
タトゥーは入れ墨。ファッションで入れる若い人が増えた。僕が若いころのは考えも及ばなかった。
今号は相聞はこの5首のみ、あとは心理詠。葛藤をうたった。葛藤と相聞。僕のなかでは分ちがたい創作の原点。