岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座α」26号:相聞5首

2021年10月10日 15時09分05秒 | 岩田亨の作品紹介
「星座α」26号:相聞5首

・不意に思う悲しい思いをしていないか女(おみな)の顔を思い出しつつ

 初句が6音の短歌を詠んだのは初めてだ。初句が7音のものはある。咄嗟に口からでたもので意図的なものではない。違和感がないのはそのためだろう。かえって6音で不安定な感情が表現できたかと思う。

・あといくど奈々子と会える日があるか胸に秘めつつ夜空をあおぐ

 奈々子はもちろん仮名。相手どういう関係かも問題ではない。「相聞」とは親しい人を思いやる歌だからだ。

・奈々子より思いもよらぬ返信に驚きながら心はふるう

 返信の内容を知りたいことだろうが、そこは捨象した。

・苦しみて別離の言葉告げし昼ブラックベリーの実が乾き居り

 これは説明の必要はなかろう。

・真夜中に目覚めて不意に思い出す昨日会いたりし汝(なれ)のタトゥーを

 タトゥーは入れ墨。ファッションで入れる若い人が増えた。僕が若いころのは考えも及ばなかった。


 今号は相聞はこの5首のみ、あとは心理詠。葛藤をうたった。葛藤と相聞。僕のなかでは分ちがたい創作の原点。




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