岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

報告「天童大人プロデュース:「詩人の聲」参戦7

2014年04月04日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
第1074回 詩人の聲 岩田亨公演 (7回目)

 4月2日  於)ギャルリー東京ユニマテ(京橋)

 「今回はよくいらっしゃいました。今日で、私の第三歌集の『剣の滴』を読み終わります。旧作を全部吐き出したことで、新しい地平線が見えて来たようです。

 ・朝露光る
 
 すずやかに光る青葉の重なりを見つつおのれの未来を思う

 ・外来種

 外来種の魚増えゆく湖に夕日の色はかくまで赤し

 ・モノクロ

 幻影はなべてモノクロ現実のものと異なる形象もあり

 ・ウイスキーボトル

 思い切り雪降り来るとの声聞いてウイスキーボトルを卓上に置く

 ・幼児期の記憶

 その腕の刺青(しせい)を常に怖れ居き幼児期の記憶の中の断片

 ・偽りの季節

 偽りの季節の中にあわれなりこの温室にラフレシア咲き

 ・竜舌蘭の花

 わが心鎮めゆくまでいさぎよし竜舌蘭の花の白きは

 ・伏流水

 吹き出ずる伏流水は滝となり風うごくとき虹があらわる

 ・恒河沙(こうかしゃ)

 ガンジスの川砂の漢語を恒河沙と聞いて遥けし旅の記憶は

 ・カップの重量

 手に持てる白きカップの重量を味わうように珈琲飲みぬ

 ・裏門坂

 手狭なる古き神社と距離へだて裏門坂という地名あり

 ・秘話

 秘話は秘話そのままにして捨て置かん偽ることもときに美し

 ・クレソン苦し

 眠れざる夜を過ごして起きる朝おもいきり噛むクレソン苦し

 ・正当と異端

 正当と異端の区別は何ならん二世紀まえのロシア史を読み」

 第三歌集「剣の滴」はここまで。あとは新作30首詠一本と50首詠二本を読んだ。旧作はやはりあらが目立つ。特に結句が浮き上がっているもの、主題のはっきりしないもの、漢語が馴染んでいないものなど。聲に出すと読み難い。改めて「聲の力」を実感した。

 新作30首詠。これは歌会で批評されたののを推敲し、「聲に載せる」ことで完成品となった。読んでいて聲が全く淀まない。新作50首詠の一本目も完成に近づいている。新作50首詠はまだまだ途上だ。

 次回からは歌集に未収録のものを、読んで第四歌集の収録歌を決めていく。プロジェクト参加7回目にして、自分の作品がかなり違ってきたのを実感している。作品の批評も違ってきている。

 プロデューサーの、天童大人からは、「10回公演までは必死で読むこと」「ゆっくり間をとって読むこと」などのアドバイスを受けた。





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