天童大人プロデュース「詩人の聲」1204回
岩田亨公演(16回目)
「われの肖像」7首
・カフェラテの泡の消えざるさまを見るわが煩悩もかくのごときか『運河』377号
「(語り)本日は御来場頂き有難うございます。前回は声が出ずに不本意な結果でした。今日はそのリベンジです。前回から一か月以上たちましたので、かなり作品に手を入れました。その作品群を読んでいこうと思います。」
「意思表示せん」5首
・戦争を厭う人らの集まりにわれも一人となりて連なる『うた新聞』2014年9月号
「狂詩曲」30首詠
この作品はアフガニスタン爆撃が始まったときに、怒りが収まらず、夢中で詠んだ旧作を全面的に改作したもの。今回はじめて聲に載せた。未発表だが、聲に載せて、表現の工夫の余地があるのが、分かった。
「社会詠44首」
・戦場に誤爆ありしと聞きし夜は大きな鏡にわが顔映す『オリオンの剣』
短歌を始めて最初の5年。僕は意識的に『短歌』の公募短歌館に応募した。社会詠、時事詠は、スローガン的になるので難しい。だが戦争を厭う気持ちは自然な感情で、抒情詩の素材となるとかねてから思っていた。失敗を覚悟で、200首ばかり、ペンネームで投稿した。そのうち約50首が入選した。社会詠の成功と失敗の見当がついたので、投稿をやめた。このうち約20首を『オリオンの剣』に収録した。
「墜落現場にて詠う」5首
未発表作品。僕の住む横浜市緑区に、1977年に米軍の空母艦載機が墜落し多数の死傷者が出た。家から近いこともあって、墜落現場の公園に、3年ほど毎月献花に通った。病気療養と、自動車の運転をやめたことで、今は献花をしていない。だが、戦争と平和の問題は身近な問題だと言うのが、僕の基本認識だ。難しいが、今後も作品化の努力をしたい。
「混沌」50首詠
これも旧作を改作して初めて聲に載せた。古代オリエント文明への憧憬が主題だが、西脇順三郎の「ギリシャ抒情詩」が念頭にある。これも聲に載せながら、完成させたいと思う。
「祈り」7首
歌壇で問題となっている「肉親の死の虚構は許容されるか」に応えた作品群。加藤治郎は「現代短歌では、虚構とする必然性がない」と主張しているが、僕は象徴詩の技法を用いれば可能だと思っている。単独の短歌7首とするか、5・7・5・7・7を7回繰り返した、定形詩とするか考えている。それによって、表現が多少変わってくる。
「島の娘(こ)」7首
・暮らしには難儀さまざまありたると島の乙女がうつむきて言う『星座』72号
物語詩の実験をしている。この作品群は、定形詩バージョンもあるが、今回は短歌バージョンを読んだ。ほかに「マタギの爺」という物語詩も作って、第11回公演で読んだ。
「無題」30首詠
未発表作品。これも旧作を改作したもの。過疎の村が主題だ。これも聲に載せて完成させたい。叙事詩となろうか。
「阿修羅」50首詠
ガンの手術を主題とした、未発表作品。これも聲に載せて完成させたい。
そのほかこの半年間で何度も聲に載せ、表現を見直してして来た作品を、70首読んだ。これはほぼ完成した。
次回は2月24日に、京橋のギャラリーユニマテにて、6:30開場、7:00開演。新作にさらに手を入れて読んでいきたい。
【ご来場頂いた皆さまにあらためて、感謝申しあげます。】