岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

戦争を知らない者らの歌:尾崎左永子の短歌

2022年10月28日 01時27分28秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・戦争を知らざる者ら口を閉ぢよかの日悼むは己れを悼む
「尾崎左永子八十八歌」所収。2015年に開催された色紙展の展示作品。この時期までの代表作。

 「かの日の日付」は「捨象」されている。「8・15なのか戦争の日々なのか東京大空襲があった日なのか」。また「戦争を知らざる者らの人名」も「捨象」されている。佐藤佐太郎の言う「表現の限定」、作者の言う「言葉の削ぎ落し」。

 これを僕は勘違いしていた「戦争を知らないくせに『戦争反対』と言うな」と解釈していた、だがそれは大きな勘違いだった。作者な戦争に反対なのだ。東京大空襲で赤子の黒焦げ死体跨いで避難した経験からくる。何度も口頭で聞かされた。そういう重い意味のある「社会詠」だ。



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