岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

「星座α」22号:相聞10首(3)

2020年10月11日 23時06分24秒 | 岩田亨の作品紹介
「星座α」22号:相聞10首(3)

用意した相聞は50首。そのうち30首までを発表した。いわば第3回目。

・三日間の旅程は汝(なれ)に任せしが行く先々はわれの好みぞ

 それまでに静香と直接話したのは数えるほど。彼女が僕の好みを知っているはずがない。だが不思議なことに、訪問先は僕の好みだった。藁屋根の民家、日本庭園、歴史的建造物、新鮮な海産物が取引される市場。今考えても不思議だ。

・ツーショットの写真10枚撮りたりき道行く人にシャッター切らせて

 彼女は気さくに見知らぬ人たちに声をかけ、ツーショットの写真を撮ってもらった。僕には出来ぬ芸当。旅程は三日間だったが、そういう発見と驚きの三日間だった。


・噛む回数ばかり数えてすまないね胃のなきわれとの夕餉の席に

 胃がなく腸閉塞になりやすい僕が一番つらいのは食事をしながらの談笑。よく噛んで飲み込むまで話ができない。さぞ味気ない食事だったろう。「すまない」と思ったのは本心からだった。

・せっかくの和風御膳も量多く食べ残ししぞすまぬ静香よ

 食べられないものは彼女のお膳に黙って載せる約束だった。だがよく噛むためにすぐに満腹になる。かなり食べ残してしまった。

・バツイチとバツニが互いに寄り添いて生きてゆくのも悪くなからん

 中年の恋だったからこういうことは当然ある。それだけに互いの生きよう性格を互いに確かめあっていた。


 ドラマはまだ続く。あと二回発刊の「星座α」で発表予定。




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