岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

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追憶の夫(つま)の歌:尾崎左永子の短歌

2022年08月23日 17時00分00秒 | 尾崎左永子(長澤一作・川島喜代詩)の短歌を読む
・種子多きみかん食みつつ追憶のゆゑに優しき夫と思わん

「彩紅帖」所収。

 ここでの夫(つま)は離婚した元夫だろう。「追憶のゆゑ」とあるからだ。離婚は心身ともに疲弊する。僕の知り合いにも離婚に際して嘔吐した人がいる。

 苦しく、悔しい思いを抱えながら、追憶(過去の記憶)の中では、「優しいとそう思おう」と作者は言う。

「離婚」「元夫」「苦しい」「悔しい」は捨象されている。

 上の句の表現に追憶を嚙みしめている作者を思う。



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