岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

第16回与謝野晶子短歌文学賞入選作品(2)

2010年07月06日 23時59分59秒 | 岩田亨の作品紹介
・失望が脱力感になりゆくを抑えて赤き林檎をかじる・

 伊藤一彦選。

 これも感情を抑制した作品だ。実は半年ほど前に体調が最悪で歌が出来ない日が続いた。それでも詠み続けようと搾りだすように作ったもののひとつだ。

 「抑え」ることによって、かえって心情の屈折というか、無念さを言い表せ得たと思う。また「赤き林檎をかじる」と具体的動作でとめたのも成功したのだろう。

 佐太郎の作品を読んでいて気付いたのだが、病気なら病気・体調が悪ければ悪いなりに歌は詠えるものだと、このごろ思えるようになってきた。

 一時は、短歌を詠むのを断念しようと思ったほどだった。だからこの作品は僕にとって、一つの転機になりそうな予感のするものとなった。ひとつの発見だ。





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