判決を受け、会見する安田好弘主任弁護人(右から2人目)ら元少年の弁護団=22日、広島弁護士会館で
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山口県光市の母子殺害事件の発生から九年。二十二日の広島高裁の差し戻し審で被告の元少年(27)に言い渡された死刑判決にも、被害者遺族の本村
洋さん(32)の表情は硬いままだった。待ちわびた遺族が判決を評価した一方で、弁護団は厳しく批判して上告。曲折をたどった裁判は、社会から大きな注目
を浴び、犯罪被害者の権利拡大に向けた動きにもつながったが、法廷の争いはまだ続く。
山口県光市の母子殺害事件の差し戻し控訴審で、犯行時十八歳の元少年を死刑とした判決を受け、遺族の本村さんは二十二日午後、広島市中区のホテル
で記者会見し、「万感の思いはあるが、喜びやうれしさではない。重い判決が出て、遺族がどうやって生きていくかが課題」と力を込めた。
「遺族が求めてきた死刑判決が出て、高裁に感謝している」。細身の体に汗を浮かべながら切り出した本村さんからは、訴え続けた極刑の判決にも癒やされない悲しみの深さがにじんだ。
それでも、「非常に長かったが、熟慮の結果ならば重みが増す」と評価した。
差し戻し審で展開された被告の主張について「翻したのが一番悔しい。事実を認めて、誠心誠意、反省の弁を述べてほしかった」と残念がる。刑罰の意義については「社会が安全で平和な環境をつくれるか考える契機にしなければならない」と力を込めた。
被告からは四通の謝罪の手紙が届いた。「罪を逃れるための可能性が高い。生涯、開封することはない」と述べ、「自らの命をもって堂々と罪を償ってほしい。苦悩を重ね、反省してほしい」。語気を強めた。
犯罪被害者の権利拡大を目指す活動の先頭にも立ち、法整備などにつながった。「妻と娘の命を無駄にできなかった。権利がない時代から、傍聴席が確保され、意見陳述できるようになった。過渡期に裁判があったのは、意義深い」と述べた。
「聞くに堪えない弁論や、許せない判決を聞いてきた遺影の二人も、今日は納得できたはず」。妻弥生さん=当時(23)、長女夕夏ちゃん=同十一カ月=が眠る北九州市の墓には「一つのけじめがついたよ」と報告するという。
弁護団は抗議『事実誤認で不合理』
「客観的事実に基づかない極めて不当な判決」。被告の新供述をほぼ「虚偽の弁解」と断じた判決に、広島市中区の弁護士会館で会見した弁護団は「真実でしか被告は反省できない」などと激しい抗議の声を上げた。
二十一人のうち十八人が出廷。安田好弘主任弁護人は「捜査段階の自白に信用性を置き、その後の供述は過去に自白をしていないとの理由だけで排斥し
た。証拠の評価法が基本的に間違い」と強調。死刑回避を図ったとする指摘には「被告は自分のやったことを有利不利を問わずに話した。被告の態度と心を見
誤った」とした。井上明彦弁護士は「こんな不合理な判決を出す裁判所がある限り、被告は争うことができない。事実を争っただけで反省の気持ちがないと断じ
られ、死刑になってしまう」と涙ぐんだ。
判決は一、二審と違う供述を安田弁護士らに始めた点を疑問視した。安田弁護士は「われわれより先に教戒師に話している。この事実を無視し供述を変えたとするのは前提が間違い」と反論した。
不可解ともとれる被告の発言は、弁護活動への批判も招いた。安田弁護士は「悩みながら活動をしており、全面的に正しいとは思っていない。判決で基本的な弁護が間違っていたとは思わないが、もっと証拠を立証するべきだった」と述べた。
「極めて不当な判決」母子殺害事件被告の弁護団が会見(読売新聞) - goo ニュース 山口県光市で1999年4月に起きた母子殺害事件で、殺人、
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致死などの罪に問われ、22日、広島高裁での差し戻し控訴審で死刑判決を受けた元会社員(27)の弁護団(21人)は、同日夕、広島市内で記者会見した。
判決後に元会社員と接見した弁護団は「記憶を忠実に語った被告の心を真っ正面からとらえない、極めて不当な判決だ」と批判した。
主任弁護人の安田好弘弁護士らは「(元会社員は)落ち着いていた。『あいまいな点や間違いがあるかもしれないが、(差し戻し控訴審で)語ってきたことが、自分にとっての真実』と語っていた」と述べた。
判決について弁護団は「差し戻し審前に最高裁が示した『死刑を回避する理由がない』とする判示にのみ込まれ、『死刑判決は慎重に下されるべき』という哲学に反している」と指摘、「今後、厳罰化がとめどなく加速するだろう。非常に危険な状態になった」とした。
変わるか、死刑の臨界点 光市母子殺害(朝日新聞) - goo ニュース
22日に言い渡された山口県光市の母子殺害事件の控訴審判決で、元少年に対する量刑は死刑に変わった。判決は、従来の死刑適用基準のあり方が変わってきたことを印象づける内容。約1年後に始まる裁判員制度のもとでは、死刑が増えるのではないかという見方も広がっている。
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光市母子殺害事件の差し戻し控訴審が開かれた広島高裁の法廷=22日午前、広島市中区、代表撮影
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■「ウソの弁解」
「彼は犯罪事実を認めて謝罪し、反省していた。それを翻したのが一番悔しい」。妻と幼い娘を奪われた本村洋さん(32)は判決後の記者会見で語った。「最後まで事実を認めて誠心誠意、反省の弁を述べてほしかった。そうしたら、もしかしたら死刑は回避されたかもしれない」
「犯した罪の深刻さと向き合うことを放棄し、死刑を免れようと懸命になっているだけ」。22日の広島高裁判決は、上告審で弁論期日が指定されて「死刑」
の可能性が高まった後で、起訴から6年半もたって全面的に争う姿勢に転じた元少年の態度をそう評価した。「反社会性の増進を物語っている」とまで言い切
り、「反省心を欠いている」と断じた。
また、判決は末尾部分で最高裁が2年前、審理を差し戻すにあたって「犯罪事実は揺るぎなく認められる」と述べたことに言及し、「今にし
て思えば、弁解をせず、真の謝罪のためには何をすべきかを考えるようにということを示唆したものと解される」と述べた。にもかかわらず「虚偽の弁解」を繰
り広げたことで「死刑回避のために酌むべき事情を見いだす術(すべ)もなくなった」というのが判決が示した論理だった。読み方によっては、上告審の途中で
ついた弁護団の「戦術」が不利な結果を導いたとも受け取れる。
しかし、弁護団は判決後もあくまで「真相」にこだわった。主任弁護人の安田好弘弁護士は記者会見で「犯罪事実が違っていては真の反省は
できない。死刑事件では反省の度合いより、犯行形態や結果の重大性が重視されてきた。反省すれば判断が変わったというのか。高裁の指摘は荒唐無稽(こうと
うむけい)だ」と批判。別の弁護士も「こんな判決が出るようでは、事実を争うことがリスクになってしまう」と語り、天を仰いだ。
大阪教育大付属池田小の児童殺傷事件(01年)で死刑が執行された宅間守・元死刑囚の主任弁護人として「情状弁護」に徹した戸谷茂樹弁
護士も「事実を争ったことが死刑とする絶好の理由とされた」という。「ただ、被告人の主張をなかったことにはできないのだから、弁護団を責めることはでき
ない」と話した。
■厳罰求める世論
今回の死刑判決は、来年5月に始まる裁判員制度にどんな影響を与えるのか。
最高裁が差し戻す判決を出したときに、「これまでの判例より厳しい」と感じた裁判官は多い。「少年事件であるため死刑をちゅうちょしてきた裁判官には、重大な影響を及ぼすだろう。あとは、裁判員がどう考えるかだ」とあるベテラン刑事裁判官は話す。
被告が少年であることは量刑にどう影響するか。最高裁の司法研修所が05年、国民にアンケートしたところ、約25%が「刑を重くする要
因」、約25%が「刑を軽くする要因」と答え、「どちらでもない」が約50%だった。裁判官は9割以上が「軽くする要因」と答え、その違いが浮き彫りに
なった。ただ、裁判員制度が始まると死刑判決が増えるかどうかは別の問題で、裁判官の間でも意見は分かれる。
厳罰を求める世論に加えて、「被害者参加制度」も今年中に始まる。犯罪被害者や遺族が法廷で検察官の隣に座り、被告や証人に直接問いた
だしたり、検察官とは別に「死刑を求めます」と独自に厳しい求刑ができたりするようになる。このため、「死刑が増えるのでは」との見方がある一方で、「や
はり究極の刑を科すことには慎重になる市民が多いのでは」との意見も少なくない。
別のベテラン裁判官はこう話す。「『どんな場合なら死刑になる』と立法で定めるならともかく、現行法では裁判員にとって分かりやすい基準をつくるのは難しい。結局は事件ごとに市民に真剣に悩んでもらい、それが将来、新たな基準をつくっていくことになるのだろう」
死刑を執行する立場の法務省も世論を強く意識する。ある幹部は「裁判員制度の導入が決まったころはかえって死刑判決が減るとの見方もあった。だが、最近の報道や世論を見ていると、どうも逆ではないかとも思う」と話した。
■分かれる判断
今回の判決を専門家はどう受け止めたのか。
菊田幸一・明大名誉教授(犯罪学)は「永山基準が拡大されたかたちになり、影響は大きい」と話す。
永山基準は83年に示された死刑適用の指標だ。(1)犯行の性質(2)犯行の態様(残虐性など)(3)結果の重大性、特に被害者の数(4)遺族の被害感情(5)犯行時の年齢――などの9項目を総合的に考慮してきた。
83年以降、被告が犯行時に未成年だった事件で死刑が確定したのは3件(1件は一部の犯行が成人後)で、いずれも殺害人数は4人だった。
元神戸家裁判事で弁護士の井垣康弘さんは「本来は永山基準に至らないケース。無期懲役になると思っていた」。永山基準では、殺害人数が4
人で殺害の機会もばらばらだったのに、今回は「2人」で「同一機会」だった点に注目する。「この判決が確定したら、永山基準はとっぱらわれ、死刑が増える
だろう」
死刑もやむを得ないという識者もいる。丸山雅夫・南山大法科大学院教授(少年法)は「『死刑を回避するのに十分な、とくに酌むべき事情』について、弁護側は立証できなかった」と指摘する。
後藤弘子・千葉大大学院教授(同)は「基準自体が変わったのでなく、基準にあるどの項目を重視するかが変わってきた」。(3)や(5)でなく、(2)や(4)を重くみた判決で、今後は無期懲役が減り、死刑が増える可能性があるとみる。
最高裁の裁判官でも、死刑についての判断は分かれる。
2人を射殺した被告をめぐり、今年2月、最高裁第一小法廷の裁判官5人のうち、3人が無期、2人が死刑を選んだ。才口千晴裁判官は「裁判員制度の実施を目前に、死刑と無期懲役との量刑基準を可能な限り明確にする必要がある」との意見を述べた。
【過去記事】保守記事.214 大丈夫か、この国?
保守記事.214-2 大丈夫か、この国?
保守記事.214-3 もう、低下している気がする。
保守記事.214-4 まったく。。。。
保守記事.214-5 聞いてない。。。。
保守記事.214-6 安直な、報復合戦。。。。。
保守記事.214-7 「死刑廃止論」は別なところでやってくれ!