Sakana no Sanaka

沖縄本島テキスト系ダイバーの一考察

雅称は末摘花(ウスクレナイウミウシ)

2022-04-12 20:50:30 | ウミウシ

先週末から夏日が続いているやんばるです。

今日もときどきの曇り空が心地よく感じる日差しでした。

6月並の気温なのだとか…。

弱い風は少し湿っていて、それもまた心地よかったり。

まだ数日こんな日が続きそうな感じです…。

風は南東のち北東。晴れ、ときどき曇。

■■

『なつかしき 色ともなしに なににこの 末摘花を 袖にふりけむ』

源氏物語の主人公、光源氏が作中で詠んだ歌です。

「あれ? 俺なんでこの赤鼻の姫といたしちゃったのかなぁ…」

超訳すとこんな感じの歌。

亡き常陸宮の姫君(つまり皇族の姫君)の噂を聞いた18歳の光源氏は、『零落した悲劇の姫君』という幻想に憧れ、求愛し逢瀬を果たします。

ところがそのあとで姫君の顔を見た光源氏はびっくり…。というのも件の姫君は先の赤い大きく垂れ下がった鼻の、まあ有り体に言えば『不美人』だったのです。

というのが、源氏物語第6帖、『末摘花の巻』のあらすじ。

一見家柄以外に何の取り柄もないようで、でもとても純真な心の持ち主であるこの姫君の一途な思いに、結局光源氏は感動してしまいます。

そして光源氏と晩年まで添い遂げる妻の一人となります。

美男美女揃いの源氏物語の中では異色のキャラクターですが、こういうキャラクターが平穏な晩年を迎えられるところも、源氏物語の面白いところだと思えたり…。

『末摘花』とは光源氏がこの姫君につけたあだ名。

末摘花は紅(くれない)の雅称。紅とはベニバナ(紅花)の異名。

つまり『紅い花』と『紅い鼻』をかけたわけです…。

■■

紅色をくれない色と読むのは古い読み方で、近世以降はべに色と読むのだとか…

〈イロウミウシ科アデヤカイロウミウシ属ウスクレナイウミウシ Goniobranchus sp. 22年2月14日 沖縄島安和〉

薄紅(うすくれない)は、ややくすんだ紅色。

薄さの程度は、桃色に近い色から赤みの強い色まで幅広いのだそう。

画像はまだ幼い個体。

雅な色を纏ったウミウシです。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする