*ウサギのお部屋*

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最新日記は数日後に非公開にします。

モンゴメリ「エミリー・ブックス」(1923・1925・1927)

2022年08月20日 | 
 
エミリー3部作「Emily of New Moon」「Emily Climbs」「Emily's Quest」
あの論文(「赤毛のアンから黒髪のエミリーへ」)を読んでから改めて読んでみたの巻。
というか、それでなくても毎年読んでいる。多分中二くらいに出会ってからずっと。読まない年もあったけど、それでも13歳から何年経った? 最低30回は読んでるのかい?
いつも、図書館の本の合間に、いつ読もうかなーと思ってる。
いつもいつも、同じ言葉に励まされたり、また、新しい発見があったりする。同じ箇所で泣いて、同じ箇所でやきもきする(笑)

改めて、エミリーの母親の名前が「ジュリエット」っていうのは、絶対に偶然なわけないなと、今さらやっと分かった。ずっと気になってはいたんだよね。だって、ジュリエットといえばロミジュリだもんね。
シェイクスピアの引用も多々している著者が、意図的に母親の名をジュリエットにしたと考えるのが自然。母方の実家の者たちに結婚を反対されて父と駆け落ちした母。
これって、ロミジュリの、悲劇的なラストが厭で、厭というか、ハッピーエンドが正しいという信念を持っていたというか、そうあるべきという意味で、ロミとジュリが反対されても駆け落ちして結ばれたという話にしたいって著者が願ってて、ここでそう書いた。とかいう感じなのかな?

あとは、出てくる人物の名前もやっぱりスコットランド系だったりするのかな。
霊媒、千里眼のくだりも、スコットランドの先祖の話が出てきていたね。
隣人にアイルランド系でカトリック信者を入れてきているのが、アンと違うところの一つかな。
この作品には直接関係ないけど、ここで厳格なエリザベス伯母を書いた後で、アンシリーズで小さなエリザベスを書くなんて、振り幅がすごいなって(笑)そのくらい普通の名前ってことなのかな。

転校してきて、よそ者だし金持ちの子だしっていじめられてるときに、あんたは何ができるの? って詰め寄って聞かれて、反射的に「詩が書ける」って答えて、その途端、書ける! ってなったエピソードが、最近聞いた引き寄せの話と一緒だった。
できると思ってやるともうできている。っていう話。
それを100年前に書いてるのがすごいって思った。やっぱりモンゴメリは最高だ。

論文で知ったのは、「真夏の夜の夢」と「ジェーン・エア」の暗示している部分。少し気にしてみよう。
「真夏の夜の夢」は、幼友達の男女4人で夏休みに劇をやるっていう遊びでチラっと出てきただけ。これは、論文の解説によれば、4人の四角関係を暗示。確かに、エミリーとテディはお互いに好きで、でもこじれて、ペリーはエミリーに結婚を申し込んで、一方イルゼはずっとペリーのことが好きで、でもテディとイルゼが婚約して・・・みたいな感じでしたね。
「ジェーン・エア」は、ディーンがエミリーに会った日に、その思い出? 記念? の花をその本に挟んだという何気ない場面のみ。自分の願望だったのかな。ディーン=年上の男性であり、ジェーン・エアは同年代と年上の男性との間で揺れ動く、最終的に年上の男性を選ぶという話。読んだけど全然覚えてないや(笑)

愛国についてもやっていたな。
お隣であっても、同じ言語を使っていても、それは別の国なのだね。アメリカへ行かないでカナダで活動するということの大切さについて。
まあそりゃそうか。日本からお隣の国に行こうなんて、全く思わないよね(笑)
自分の国で、自分のアイデンティティで勝負するということ。

いつも同じところで感動する(いい気持ちになったり、嫌な気持ちになったり、全て感動です)のだけど。
やっぱり、いつも、最後の一文は、完結して嬉しい気持ちともう続きが読めない寂しい気持ちの混ざった感じになる。

しかし、そういえばだけど、
嫌じゃないのかなって思った。
エミリーの元婚約者に、住む家を無償で(多分)譲ってもらうということは、嫌じゃないのかな? そしてそこに普通に住めるのかな? そりゃあ、自分のほうが先にその家に一緒に忍び込んだし、自分のほうが先に大人になったらここで一緒に暮らそうって言ったんだけどさ。
無償譲渡はちょっと・・・ってなって、お金を払うって言ったかもしれないな。とか、今回はそんなことを新しく思いました。
そんなことまで書いたら野暮だもんね(笑)

また来年同じ本でレビューを書きますよ。