イリアス兵庫 １回目＆２回目

10月2日、禁断のマチソワまずは一戦目、いきまっす。

兵庫県立芸術文化センター、初めての劇場でしたがとっても綺麗。イリアスの公演をやった中ホールは演劇をメインにやること前提で作られているとか……なので、音楽をやるには音響的に幅が狭くて厳しいけど（でもミュー公演もやってるみたい）ストプレをやるにはバッチリの作りになっていました。新国立に似た感じもするけど、こっちの方が木の空間が凝縮されていて観やすいし、声の響きがとにかくいいんです木に反響する役者さんたちの声が心地良くてその分役者の力量が問われるけど……そこら辺は高橋さんの発声がちょっとでも役の雰囲気はますますくなっていたので2幕のアキレウス登場＠客席も、今回は中通路がないので上手の一番後ろから登場→そのまま舞台へ～なんだけど（走り込んでくる感じがこっちの方が出てました）後ろでセリフを言う時に側面の壁に反響して劇場全体がビリビリしびれましたわ～～

今回のお席は3列目。上手寄りのじい好みな視界確か5列目まではフラットだったでも全然観にくくないし、当然ながらめちゃめちゃ近いし、アキレウス様のお通りを近くで見られたし、幸せすぎるお席でした。しかも東京～新潟～兵庫、ちょっとぉ～～何なの、この進化／深化っぷりは最初は良すぎる音響への戸惑い……耳に届くまでの時間差に慣れなくて私自身がイリアスの世界に乗り切れていないのかな？と焦りましたが、どうやら気のせいだったみたい

アキレウスの怒りが深くなっていたんですわ。東京公演の頃はストレートに激昂する印象が強かったのが、ただ強く怒るだけじゃなくて、アガメムノンに対する軽蔑やアキレウス自身のプライドの誇示みたいなものも感じたのよね～～アガメムノンの仕打ちを非難しながら、あるいはオデュッセウスの説得を聞きながらうすら笑みというか、乾いた笑顔になる瞬間があるんですわ。そこには単なる怒りではない、もっともっと複雑な葛藤が存在しているようで……

じいの超超超～～イチ押し！殺されたパトロクロスを見つめる馬の目人間→馬→人間の移り変わり、、、まるでCG映像を見ているかのようなことを生の空間で生身の人間がやってくれるなんて～～毎回どーしてこんなことができるのか？と唸ってしまうわけですが……今回観てますます冴え渡っているのに圧倒されてしまいました最後に真正面を向いて階段を降りてくるところで、フッと人間に変わる様が際立ってきていて……しかもただの人間じゃなくて女神の血を引く英雄の存在感まさにアキレウスそのものなんですわあぁ～～愛が深まりますぅ

パトロクロス君、戦闘復帰を懇願するところでやっちゃいましたね～～セリフ間違い「アキレウスの鎧を貸してくれ」というセリフを「アキレウスの部隊を貸してくれ」って言っちゃいまして、一瞬二人の間にビミョーな間がじいも完璧に脳内再生できるわけではないので？？くらいで引っ掛かりつつスルーしたんだけど、ソワレで確認してやっぱりじいの方が正解～ま、止まることなく普通に次に流れていったのでだいじょーぶだったんですけどねそうそう、あと「ケイローンの槍は俺には重すぎる」というところで客席から笑いがこんなことは初めてだったのでビックリ～～いや、別にいいんだけど、じい的にはその後の「もう少しでお前になれたのに」に続く大事な言葉だから、、、じいのとは違うな～と

パトロクロスを代わりに出陣させたこと、、、東京で観た時に狡さを感じたことがあったんだけど、今回は怒りやプライドが邪魔する……だけではなくて戦いの虚しさや切なさを知っているが故に戦えない、でも戦えないから沸々とした思いを抱えていて、それを満たすためにパトロクロスに参戦を許した。まぁズルイってことにはなるけど、ただの狡さじゃなくてそれを無意識のうちにやってしまう人間の正直な部分が出ていたようにも感じて何だか愛おしくなってしまって……だからこそ悲しいし、アキレウスの慟哭に胸がえぐり出されるんですけどね～

大御所2名マジに凄みが増していて観るのが大変でしたね～～木場さんのアガメムノン、、、特に派手な動きがあるわけではないけど、よくアキレウスを黙って見つめながら立っているシーンがあるんですよね～～その視線と背中が全てを見通しているようで怖くなることもあるほど！ちょいとヘタレな好色のエロジジイなキャラだけど、そんな「やんちゃ」だけじゃない、やっぱり王者の器や風格を持つ、統治者になるべき存在なんだなぁと納得させられるアガメムノンにバージョンアップしてました平さんのプリアモスは、どーしたの？というくらい激しくなってて……対話の場面は最初から髪を振り乱しての泣き叫びこちらもアキレウスへの説得の言葉は坦々と流れていくのに、その一言一言が真実を醸し出しているんです。じいは子供の立場で観てしまうけど、多分親ってそういうものなんだろうな～って。どんな姿形でもいいから子供の存在を確かめたい、子供の為ならできないという選択肢はない……自分が受けてきた愛も重ね合わせてしまいでもね～～プリアモスはそれだけではないんですよね。王としての顔がある。アキレウスに遺体を連れ帰るように「命令」され休戦の話をするところで一瞬にして雰囲気が変わるところ！これまた素晴らしくて圧倒されました

カサンドラの問いかけ、人はなぜ戦う？今回はアキレウスとヘクトルの違いが物凄～～く心に響いたんですわ。ヘクトルには家族がいてそれを守る為に戦っているという「理由」がある。ただ、そういう分かりやすいもっともな理由だけじゃなくて、戦う欲望を抑えられないという原始的な人間の性もあるところが深いんだけど……でも、アキレウスには孤独を感じるんですよね。家族愛云々ではなくて、家族の有無や他の人間関係にかかわらず、どんな境遇の人間でも一人ぼっちで自分の足で生きていかなければならない部分があるということを伝えている存在な気がして……プリアモスはそれに気づいた対話でアキレウスを崇め、距離感を確かめるように喋っていたのが、アキレウスが語った運命の話に「まさかゼウスの愛を受けているはずの英雄がこんなことを語るなんて！」という感じにプリアモスが変わっていっているように見えたんですわ。そのせいかな～～最後にアキレウスの横で泣き崩れるところで、プリアモスの手がアキレウスの肩にいっててさすって慰めているのでは？という動きが……でもね～～やっぱりプリアモスはヘクトルを迎えにきたわけで……ヘクトルの体を抱きしめて泣き叫ぶのを背後に感じて見守るアキレウス。その姿が突き刺さってね～～思わず、、、イリアスには描かれないアキレウスの最後を思って泣いてしまいましたわ

他にも……アキレウスには泣かされましたね～～パトロクロスを亡くした時の慟哭の声はますます感情が大きく含まれるようになっているし、船の上で姿を見せる時はアキレウスの戦いをやめられない人間の性が悲しくて切なくて愛おしくて……あと、、、これは泣いていないんだけど、1幕の竪琴をひくところで怒りを演奏するエネルギーに変えていたように見えたんですわ。じいも怒りにまかせて楽器を弾くことがあるので分かるんだけど、、、ただの戦闘拒否のやる気で趣味に生きる～な姿勢じゃない弾きっぷりがツボりました

カテコも盛り上がって……皆さん笑顔で応えていらっしゃいました。内野さんも久しぶりに客席から求められて～な感じじゃなくて自分から出た笑顔だったような……控えめではあったけど内野バイバイもなーんか無性に嬉しくなってしまいましたね～～依然として不安はいっぱいだし、心配で心配で胸が張り裂けそうだし、わだかまりもいっぱいだし……それでもやっぱり内野さんの笑顔に触れると幸せで満たされる。愛だわ～～やっぱり

そして2戦目。ソワレですが……

いや～～やっぱり疲れました1回1回全力で思いのやり取りをするとヘトヘトになるので。しかもソワレは4列目上手側の端っこに近いお席。もう～～フラットな分、人の頭をかきわけながら観ないといけない状態で観にくいの何のってしかもじいのお気に入り！馬の目のシーンでヘクトルに邪魔されるし(爆！)でも、プリアモスがヘクトルの体を抱きしめるところでアキレウスが真正面にしかもちょうど視線や言葉の空気がダイレクトに飛んでくる位置だからロックオン！目が離せなくなり……いや、目を逸らしてなるものか！アキレウスの心を全部受けてやる～～と必死に喰いつきましたよ目を見ているだけで言葉にならない思いが心に流れてくるんですよね～～それが堪らなく嬉しくて

あと、、、対話シーンはマチネより感情のぶつけ合いが凄かったです。マチネは平さんの方が圧倒的なオーラでプリアモスの思いを出していたけど、ソワレはそれに引きずられるように、じゃないな～～それに応えるように内野さんも凄くて……目はいつもに増してウルウル、涙のぶつけ合いの対話でした

ソワレは土曜の夜スペシャルポスターが100円！昨日は「1の市」と銘打って100円だったそうですが←友人から聞いて思わずダイエーか！と突っ込んだそして100円に弱いじいは……はい、ソッコーお買い上げでした