11月20日千秋楽の観劇記です。
~あらすじ~
TVトークショウの人気司会者リサ(瀬奈じゅん)は、スタイリストのフレッド(泉見洋平)やそのパートナーのコスタ(戸井勝海)たちクルーとともに仕事一筋、今日までプライベートもなく、キャリアアップに邁進してきた。そんな彼女の元に、老人ホームで暮らしている母マリア(浅丘ルリ子)が同じホームに住むオットー(村井国夫)と“駆け落ち”したとの知らせが届く。二人は『豪華客船に乗って、NYの自由の女神の下で結婚式を挙げる。』と宣言している。これは一大事!1週間のうちに連れ戻さないと、折角入ったホームへの再入居を断られてしまう!!オットーの息子アクセル(橋本さとし)とリサは、この緊急事態を解決するために二人が乗る客船を追いかけるが間に合わず、ヒステリックになったリサとアクセルは道中ケンカばかり。ようやく追いついたが、リサとマリアは会うなり大ゲンカ。しかし、価値観の違う母と向き合い、リサはようやく自分を見つめなおす。アクセルとも恋が芽生えていい感じ…。と、うまく行かないのが現実!リサの元に、念願のTV賞受賞のニュースが届く。授賞式はなんと今夜!急転直下の展開に、恋と仕事のどちらをとるか?リサは究極の選択を迫られる。全てはNY自由の女神のみぞ知る?! (公式サイトより)
いや~~楽しくて素敵な演目でした
ウィーン版を知る友人から良い演目だというのは聞いていたのですが、当初は心配していたんですよね~~じい、show bizを前面に押し出した、というか脈絡なく……いや、脈絡も意味もあるんだと思いますが
突然踊り出したり歌い始めたり、楽しければ何でもありなのが多いブロードウェイちっくな演目がどーにも苦手なんですわ。楽曲として楽しむには大好きなんだけど1つの演目として観劇するとなると……何だかねぇ
でも今回の演目はそういうのが全くなくて深いけどスッキリ楽しめる、心憎い絶妙な楽しさのある演目でホント良かったですぅ~~
ミーマイ以来
開演前にはロビーで塩ちゃんと数人の演奏者によるパフォーマンスあり。今回は客席参加があるわけではないので楽器紹介と劇中の曲紹介がメインという感じでした。世界で一番難しいと言われるホルン、、、いつも思うんだけど楽器の中に突っ込んでいる手はベタベタにならないのだろーかとおバカな疑問(笑)だって~~吹奏楽の演奏後のステージの床って……以下自粛
そうそう、某楽器の紹介の時に……やっぱり東宝オケだな~と思ったことが
それができないのはマズイでしょ~とちょっとね
ま、それは置いといて
今回の楽曲はウド・ユルゲンスの曲。ヨーロッパでは誰もがメロディーを知っているという有名な曲ばかりだそうで、日本では「別れの朝」や今回のナンバーにも使われている「メルシーシェリー」は良く知られているとか……多分フォーク世代かその上辺り???じいはお子ちゃまなので知らないけど、あ、、、ペドロ&カプリシャスは知ってる~
留学生の友人に「五番街のマリーへ」を教えてもらったわ。でも、全然知らない知らない曲のはずなのにどこかで聞いたことがある懐かしさがあって、一度耳にすると覚えてしまうようなツボりやすい旋律。心地よく感性に響かせやすい音運びの法則ってあるんだけど、そういう旋律を生み出せるのは天才だな~と思いましたね~~そしてそして!!曲の繋ぎ方や使い方がこれまた絶妙。売れっ子作詞家や作曲家の曲を使って盛り上がりを狙った他の演目がいくつかあるけど、不自然さやわざとらしさが目立って興ざめしてしまうことが多いのに、この演目はそういうのが全くなくて、良いタイミングで盛り上げてくれるんですよね~~ここで歌って踊るのは可笑しすぎ
と突っ込みたくなりつつも、ここで盛り上がらなくてどーするという説得力がなぜかあったりして
しかもピンポイントで喜怒哀楽がびしばし伝わってくるようになっているので心憎いな~と唸らされました。ホント、これは素晴らしかった!!
あらすじはベタで1歩どころか10歩先まで読めるお約束的展開なのに心に響くツボを押さえてありました。ラストの演出は思いっきり古典仕様のミューな展開だし(笑)カップル2組、1組にウェディングを彷彿させる衣装にしといて、主役のもう1組のカップルを土壇場で結びつけてWでハッピーエンド
絶対にリサは戻ってくると思ってた~~ってこれはお約束の展開でしょ
思った通りにストーリーが進むのがかえって心地良いくらい!鼻につくような退屈さはなくて、フィクション的なんだけど身近に感じて、笑顔で泣けるような感じがとても良かったです
老若男女いろんな恋愛模様や父と息子or母と娘の同性の親子問題が描かれているのですが、じい的にはやっぱり母娘の関係がツボでしたね~~ってかドンピシャ直球ストライク過ぎでした(苦笑)冒頭でスタイリストのフレッドが「(母と娘で)気兼ねなく暮らせる相手を住むのもいいものよ」と言うシーンがあるんですけど、そこからあまりに身近すぎる話題で笑っちゃいましたわ。それに対するリサの言葉はあまりに自分とシンクロし過ぎて可笑しくなってしまいました。リサやマリアのセリフも、一言一言がそのまんま我が家の日常で繰り広げられています、はい
リサが「ママは強く一人でも生きていきなさいと言って育ててくれたじゃない」と言ったことに対してマリアは「決して強いだけの女性に仕事や自由と恋愛、どちらかを選ぶんじゃなくて両方選んで幸せを掴めるのよ」と言い聞かせる場面があるんですけど、もうぅ~~耳が痛かったです
じいはリサみたいなキャリアはないけど、自分らしく自由に生きたい、それだけじゃない相反するものも求めるその狭間にある心の機微というのは物凄~~~~くよく分かるんですよね
なので、マリアの一言一言が地雷だったりする部分があって(苦笑)言っている本人に悪気はないし、愛情の表れだし(実際に憎み合う言葉は相手に言ってなくて、むしろ「愛しているのよ」と言っているところに真の愛情が表されていると思う
)、こっちが勝手に悪い方に解釈して受け取っているだけだったりするのですが……実は観劇日の前の晩からこの種の“行き違い”の会話で我が家は不機嫌オーラ満載だったので殊更に響きました
それだけに、、、ラストでリサが迎えのヘリコプターに乗らないで授賞式よりもアクセルの方を選んだシーンでリサとマリアが和解するところはウルウル来ちゃいましたね~~
リサがアクセルに愛を告白する様子を見て、マリアがリサの後ろで感極まって結んだ両手を胸に当てて泣いているんですわ。その時の浅丘さんはさすが女優!というか、醸し出す空気感が本当に本当に素晴らしくて、ついつい自分の親と重ね合わせて胸がキュ~~ンとなってしまいました
ま、そうは言っても現実はね(笑) オットーとマリアの恋愛を見たリサが「もっと現実を見なさいよ、そんな夢みたいなことを言って!」とマリアに言ったセリフをそっくりそのまま投げかけたい部分もあるんですけどね
そういう風に気持ちいいハッピーエンドになれば苦労はしないし趣味に走ったりしてないわ~~なんちゃって
キャストの皆様、、、歌は正直突出して聞かせる人はいなかったかな
大きく外す人はいなかったけど、洋楽を念頭に置くともう少しパンチのある歌いこなし方が出来れば更に盛り上がれたんじゃないかな~~とは思いましたが、演目や役の雰囲気は十分に伝わっていたのではないかと……一部を除いて…ね
リサ役の瀬奈じゅんさん、、、やたらと縁がありますが(苦笑)男まさりのキャリアウーマンという役どころは今までの役の中で一番しっくりきてたような
でも、やっぱり一挙手一投足が男役なんですよね
普通のコンサートならヅカ出身でカッコイイ系なのね~で済ませることもできるけど舞台となると……ここまで男役が抜けないのはある意味凄い!と……決して皮肉ではありませんが←ホントか
逐一どーにも気になってしまって、そうなってくるとリサの演じ方もちょっと違うのではないだろうかと思う気持ちも湧き出てきたりするんですよね
宝塚の舞台でやる分には何の問題もないけど、喋り方、歌い方、仕草、やっぱり何かが違うっっ
アクセル@さとしさん!似合ってましたね~~申し訳ないけど三銃士のアトス役よりキャラが嵌っていたと思います
可愛くてめんどくさくて都合の良いかっこよさがあるダメ男、ホント似合いますわ←褒めてます!笑いの神が降りてきてもアクセルみたいな役なら嫌じゃないですね~~実際に降りてきてたし
じいは楽のみ1回でリピしていないのでアドリブと台本の境は分からないんですけど、明らか瀬奈さんが素で笑っていたやり取りがあちこちで
武岡さん演じる客室係は引きずられてセリフを噛んでいじられてました。それとマリアとオットーが乗った船を追いかけるところで着ていたジャケットを脱いで振る場面の後……そのジャケットを着ようとして腕が抜けなくて焦ってるし
あと、、、リサ
アクセルの枕投げ……まぁ微笑ましいというよりも逐一めんどくてバカじゃん!と突き放しつつ生温かい目で見ていたのですが、最近の公演では避けてたらしき枕がさとしアクセルの頭に思いっきり直撃
客席から「さとしさん頑張れ」というエールが
長髪にひげの容貌、じいの好みなのかな~~現実には完全にアウトだけど、お芝居でこの手の扮装で
した男は数知れず(笑) 今回もクラクラ~っと
面倒でおバカな男なのに時折見せる切ない表情や包容力満点の叱り方がたまらないんですよね~~特に1幕でいきなりリサにキスをした後にビンタされて、怒って逃げるリサの後ろ姿を見つめる目にドキッとしてしまいました
何歳になっても恋愛は現役!村井パパ演じるオットーと浅丘ルリ子さん演じるマリアのカップルは大人の芳醇な雰囲気が漂っていました。しかも、その中に可愛らしさがあるところがいいな~と思いました
特に浅丘さん……初ミュージカルということだったのですが、まぁ歌は正直……かなりマイクが調整してあるなぁと
でも芝居部分と醸し出す雰囲気はスターという言葉が存在していた時代の女優さんだな~と思いましたね~~今の時代はそういう存在感の女優ってなかなかいないと思うので。ま、歌えて演じられるベテランの人が演じられてもいい役だとは思いますが、それだと出せない初々しい雰囲気というか、良い意味で現実離れしたフィクションの存在感で可愛らしさが出せていたのは浅丘さんならでわだったと思うので良かったんじゃないかな~と
ゲイのカップル……ってか海外の作品では必ずと言っていいほど出てきません
お姉キャラのお洒落さん。今回はその役回りがイズミン君演じるフレッドでした。イズミン君、久しぶり~☆もしやレミゼ以来かも~~
相変わらず
キラキラ
していて苦手なタイプなのに舞台上では惚れてしまいますね~~
演じられる役の幅広さ、今回も魅せていただきました。足を負傷して大変だったとのことですが、それを感じさせない見事な演じっぷりでした
そんなフレッドを優しく包むコスタを演じたのが戸井さん。CDやコンサートで歌は聴いていたのですが、生の舞台で観るのは初めて。思っていた通りの良い声で包み込むような大人の雰囲気、、、これぞ安心して飛び込めそうな大人の男
とこれまたクラクラ~と
じいの浮気の虫が動きまくりです(苦笑)
子役は石川新太クン、いつぞやはちびルドでしたよね~~今回はアクセルの息子・フロリアンを見事に演じていました
ダメ親父を操縦しながらも時折見せる等身大の子供らしさと突っ込みのタイミングの良さ!2幕でアクセルがオットーに昔から父親の愛を求めていたことを告白する時に、ふと思ったんですよね~~アクセルの抱いてきた思いはそのまま今のフロリアンの気持ちじゃないかな?って。そこをちゃんと拾う構成に心憎さを感じましたが、ただ明るいだけじゃない部分が垣間見られたところも良かったですね~~