5月20日、初日の観劇記です。ネタバレありなので未見の方は要注意です
~あらすじ~
1972年、ニューヨークのアイリッシュレストランではブラッディー・サンデー(注)の追悼集会が開かれていた。IRA(アイルランド共和軍)のNY支部リーダーのコステロ(内野聖陽)は対イギリスへの報復と組織強化への思いを熱く語る。彼らIRAの活動家たちの隠れ家は、マイケル(浦井健治)のアパートメント。しかし活動家といっても、彼らの日常はごく普通のNY市民であり、コステロのようにアメリカンドリームをつかんだ経済的成功者もいれば、マイケルのような消防士も、警察官もいた。アイルランドから彼らのもとにやって来たIRA兵士でお調子者のルエリ(成河)は、ある日バーで親しくなった女性をアパートに連れ込むが・・・。(注:1972年1月30日、イギリス軍が公民権運動デモ中の非武装のアイルランド市民を殺傷した歴史的事件)
(公式サイトより)
舞台セットはマイケルのアパート、ルエリとカレルマが密会する美術館(その密会がね~
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)、セント・パトリックス・デイのパレードの後のディナー会場の3つですが、ほとんどの場面はマイケルのアパートの部屋で展開されていきます。映像もいろいろ、、、実際に起きたIRA絡みの事件や米英会談、冷戦~終結等の歴史的場面が場面転換の時に映し出され……物心ついた時代以降のものはリアルで覚えていたけどそれ以前のものは、、、そういや学生時代に近現代史で出てきたなぁ~~っていうか出てきたことは覚えていても中身はすっかり忘れているという
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そこら辺は次回までに復習しておかないといけないかな~とは思いました(苦笑)そうそう、パンフあるいは配布されるチラシの中に入っている緑色の紙に大まかな歴史的背景や劇中に出てくるキーワード解説があるので、これに目を通しておくと便利
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じいもほぼ付け焼刃で詰め込んでみたり……
公演時間は休憩込み3時間ちょっとの2幕。ストプレなので2時間半位かな~と予想していたので少々予定外
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ソワレ観劇の場合は居住地によっては帰りの足を気をつけないと~という感じなのですが……公演自体はあっという間の3時間!長いとは感じませんでした。IRAという日本では馴染みの薄い組織が舞台ですが、冒頭から……そう、冒頭から内野さん演じるコステロが客席→ディナー客に見立てている
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に演説するシーンから始まるから思いっきり釘づけ!スカート、じゃなくてキルトの衣装なのは、それが愛しのお人であってもゴメンナサイなのですが(チャールズ皇太子が履いている映像とか見て昔から苦手だったのよ~~ゴツイおじさんがスカート履いてるとしか思えなくて
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)目の前にいるのはコステロそのもの
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言葉巧みだよな~~醸し出す空気感が凄いな~~でも冷静に本質を吟味しないといけないと理性が働きつつも???惹かれずにはいられない魅力
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こういうのがカリスマ性っていうのかなぁ~~悔しいけど(苦笑)劇中でその場に居合わせた客と同じく心をもっていかれてしまいました……完敗
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しかも、、、今回のお席は2列目
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いろんな意味で(爆!)初日には贅沢すぎるお席でとにかく近い!視線や空気感は飛び越えてしまう位置ですが間近にコステロ
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その危険な色気にクラクラ~
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久しぶりに魂がトチ狂いましたわ
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久しぶりに(笑)綺麗な風貌というのもあるけど、その存在感がとにかく凄くて……絶対に好きになってはいけない危険さと好きにならずにはいられないどうしようもない魅力。内野さんがインタビューでおっしゃっていたゴッドファーザー的な世界観というか、じい的に嫌いじゃないというか寧ろツボ直撃
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みたいな……こんな恋する気持ちは久しぶりかも~って「久しぶり」がしつこすぎかっ
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そうそう、冒頭と終盤のコステロ演説シーン、、、翻訳前の英語で聞いてみたかったなぁと妄想がいろいろと
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内野コステロの原書通りの英語、絶対に素敵だと思う
でもホワ~
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となっているだけではない作品なんですよね~~軽妙な会話や演出で物語にスッと入っていけるし、そこで繰り広げられる人間ドラマを十分に楽しめるんだけど、やっぱり難しくて重い
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コステロの演説、マイケルやルエリとコステロのIRA談義、トム・ビリーのアメリカンな話、フランクのアイルランド話、、、歴史&文化をネタにしたアイロニーだったりジョークだったりユーモアだったり……多分この部分がそうなんだろうなぁというのは分かるんだけど感覚以前に事実そのものが理解できないので本当の意味では入り込めないんですよね~~レーガン、JFK、キッシンジャー、サッチャー、さすがに名前や有名な出来事は分かるけど……うーむ
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開演前にパンフを読んだ時に、マイケルのIRA入隊でコステロの面談審査をしているところでマイケルが最後に「僕と家族、祖先はプロテスタントなんですけど」と告白して寒~い空気が流れるのですが、コステロの機転でOKになる場面があるんですよね~~アイルランドにおけるプロテスタントvsカトリックの長い歴史があるわけですが……イマイチ実感した納得ができなくて頭の中は?が駆け巡り
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そんなに身構えなくてもいいとアチコチのインタで出てきたけど、やっぱり気になる性質なので自分が気持ち悪いわ~(苦笑)アイルランドの歴史的背景に至っては分からないことが多すぎ
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次の観劇までに学生時代の記憶を鮮明にしとかなくちゃ
キャストは素晴らしい役者さんばかり
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浦井くん演じるマイケル、、、まさかブリーフ姿を拝めるとは思いませんでした
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良い作品で経験を重ねて大きくなったなぁ~と思いつつ、コステロを殺すべくピストルを手に取るところで思わずどこぞやの皇太子を思い出し(爆!)コステロに憧れ、理想を描き、時に現実の厳しさに直面し、成長
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していく……ある意味自分たちに一番近い存在???良くも悪くも常識的で情熱的で残忍で、無意識な無責任さみたいなものもあって……彼の目を通したIRA、時代、そこに絡む人々はそのまま自分が見ているフレームに重なり合うものを感じましたね~~ところどころ心にグサッと
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それは見て見ぬふりをしている部分や気づかなかった部分なのかなぁ~と……今後の観劇で自問自答していきたいところです。
黒田大輔さんが演じているトム・ビリー、、、IRAのメンバーでNY市警。こういうのが警察官って世も終わりだなぁ~という感じの悪徳警官
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怒鳴ってばかりで若干嫌気がさしてくるキャラクターではあるのですが、終盤でマイケルに言う「俺が人殺しするのを平気だと思っているのか?」というセリフにトム・ビリーという存在、目に見える暴力の後ろに隠された真実を語っているように思いました。でもね~~カテコとのギャップは凄いデス
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最後に黒田さんが退場するのですが、その時の満面の笑みといったら
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劇中が劇中なだけに思わずクスッと笑わずにはいられません(笑)
女性陣も大健闘!プエルトリコ系の女性・カレルマを演じた町田マリーさん!素は小柄なのになぜか大きく見えてしまう……風貌云々というよりは存在感がそうさせている感じかな。凄かったです~~
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明星さん演じるエリザベス・ライアン。出番は少ししかないけどカッコイイ女性でしたね~~最後は可哀想だったけど
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コステロとの知的バトルは痺れましたね~~あの緊張感は堪らないっ!こういう風にやり合う女性、じいは大好き
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突かれたくない部分をズバッと突っ込んでしまうので消される運命になってしまったのかなぁ~~そう思うと何だか切ないわ
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少しの出番と言えば小林勝也さん。武闘派のIRA幹部・フランクを演じていらっしゃいましたが、1場しか出演はないのにさすがの存在感、間合い、空気感に圧倒されました。内野コステロとの肉迫したやり取り、、、観ている方も熱くなって力が入りました!!!
ルエリを演じたソンハさんの芸達者ぶりには脱帽
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冒頭は田舎モノのアイルランド人で訛りも半端ないのが、ニューヨークでの生活を通してどんどん洗練されていく。2幕では建築士になってすっかり都会的になっていますが、着ている洋服の話でHUGO BOSSが出てきた時は思わず爆笑。コレは内野的ネタの仕込みと考えていいのかな
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オアシス的存在みたいな感じで場を和ませてくれる役どころなんだけど決してお笑い担当だけではないんですよね~~1幕最後にエリザベスが粛清されることになって嘆くマイケルを抱きしめて「おら、IRAのメンバーではいたいけど人殺しは嫌なんだぁ~」というんですよね~~おちゃらけて見えて実は本質を見ている……まだこの時点では本能的、感覚的な部分で理解しているのかなぁという感じなのですが、やっぱり1本筋が通ったキャラクターなのかなと……その分だけ恐怖も感じるんだけど
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場面を引き締め時代の移り変わりの空気感を自然に持ってくるソンハさんの演技力に圧倒されました。
そしてそして、、、愛しの←ヲイッ
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内野コステロ
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今回は最初から最後まで綺麗なお衣装で……と、それに萌えたわけではありません
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人の理性を狂わさずにはいられない、虜にさせてしまうカリスマ性と圧倒的な存在感。素の寸法では浦井くんよりも身長は低いはす……です…よ……ね
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それなのにコステロの醸し出す空気感だけではるかに大きな風貌の男のように見えました。実際を圧倒する力、、、凄すぎますぅ~~
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初日ということでセリフに関しては多少の言い直しやぎこちなさはありましたが……っていうか思わず突っ込みたくなる間違いが
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1幕冒頭のマイケルへの面接審査で「IRAの男と結婚する女はいない」と言うべきところで「IRAの男と結婚する男」って言っちゃったのよね~~額の汗を豪快に拭いながら「男じゃなくて女で(笑)」と訂正が入ってました
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とにかく何をしてもかっちょいいというか出てくるたびに萌え萌え
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酔っぱらうオジサン姿でさえ愛おしいという観る側を壊してしまうイイ男っぷり!でも明らかに危険な男なんですよね~~油断して近しくなろうとすると火傷どころか殺されてしまう、まさにヤクザな部分があって、、、でも好きにならずにはいられない←アホ
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1幕後半で酔っぱらいながら隙を見せるようなダメンズ姿でマイケルのアパートに転がり込むんだけど、ある瞬間から180度転換して真顔でエリザベスの粛清を命じる……背筋が凍りつきましたね~~でもそれさえも惹かれてしまう危険な魅力がっっっ
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2幕では時代が変わり、IRAの在り方も変わっていき、コステロ自身も理想、本音、現実の狭間で迷いもがく……最後は裏切り者としてコステロもまた消されてしまうんだけど、そこに至るまでの心情と心の経緯がまだ自分の中で咀嚼しきれていない感じなんですよね~~近すぎて
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萌え
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の方が強すぎたことは反省します(苦笑)とにかくコステロの巨大さにまだまだ飲み込まれている感じですね~~弱い部分を理解しながらも、捨てきれない野心やプライドの方に目を向けてしまう……同性の男の人には共感できそうな部分なんじゃないかなぁと思うのですが、、、何はともあれかっこよすぎたわ~~罪ね
そうそう、終演後に舞台の傍にいってみたら柿羊羹みたいなブヨプヨした素材に何かが包まれていて輪ゴムで留めてあるものを発見!よくよく見たら多分仕込み用の血糊っぽい???思わず指で押さえつけそうになりましたが潰さなくて良かった~~
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そういえば2幕でフランクがカバンをマイケルの頭に被せて殴るところで、マイケルの血の付き方が不自然だったのよね。カバンを取った時の顔が結構綺麗で、あれだけ殴られたのに何故?と思っていたらいつのまにか血だらけになっていて??だったので。もしかしてポロッと予定外に落ちちゃったか?