4月22日ソワレの観劇記です。
今回は観劇予定の中でも一番の前方席~
ということで一挙手一投足見逃さないように!と必死に……今回に限らずいつでも真剣に観て…る(笑)やっと通常の客席で、しかも近くで、真正面から向き合ったという感じかな~~更に見えてきたものがあったような、また違った感覚に触れたような、充実した観劇になりました。若干
萌えすぎておかしくなったことは否定しません(苦笑)前の方に行くと八百屋×八百屋で奥→手前だけでなく上手→下手も傾斜があることをつくづく実感するのよね~~特に上手側でハムレットが下を向いている場面は見上げる感ありで(ちと前すぎると見にくいんだけど
)高い位置から浴びせられる視線がもうぅ
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もっともっと見下してーー
という変な妄想が
あ、“そういう趣味”はありませんので誤解なきよう
既存の「スタンダード」なハムレットの舞台は観たことがないので比較はできないのですが、しきりに言われている登場人物の人間くささ……それがとてもよく分かったような気がしました。ハムレットの苦悩にしても何か突っ込みたくなるというかもっと素直にドドーンと言えばいいじゃん!と思いながらもそうできないところが物凄~~くリアルに感じる。そして狂ったふりをしている中にも人間の本質や真実が見え隠れする。「ありとあらゆる悲しみの姿、形、表情も僕の気持ちを表してはいない。だが僕の中には見せ掛けを超えたものがある」というセリフが冒頭に出てくるけど、この作品に出てくる登場人物やセリフ……狂ったとされる言葉の中に真実があり、“まとも”とみなされる言葉の中には真実がない、でもその逆もまた然り。ハムレットが母・ガートルードに「僕が言った通りにするのです」「僕が言った以外のことをすればいい」おいうシーンは象徴的
どちらも真実であり本心であるけど一方でそうじゃない部分があるような気がして……毎回何かすご~~く心をかき乱されるんですよね
オフィーリアへの愛情も今回は手に取るように分かりました。特に劇中劇を観るシーン、、、ハムレットはオフィーリアの肩越しに観ているのですが、腰に回した手、背中から溢れる好きで好きで堪らないという雰囲気
後ろ姿が語っているのがもうぅ~~素晴らしい
しかも近くで膝乗せの表情を見せられたので萌えたわ~~罪すぎるっ
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でもね~~オフィーリアに対しては酷いことを言いながらもその裏に隠れた素直になれない部分というか女性に対する受け入れがたい面に悩みながらも愛したい苦悩みたいなものが垣間見られる。「尼僧院へ行け」という言葉に今回は愛情を感じましたね~~プラスとマイナスの感情が交錯していて酷いことを言えば言うほど愛情がヒシヒシと感じられて切なくなってしまいました
そしてレアティーズ、、、「どうして僕をこんな目に遭わせるんだ。僕は君を愛していたのに」とハムレット。公演が始まった当初は唐突感に戸惑ったんだけど(ライバル視?敵対視??して良い感情を抱いていないと勝手に思ってた
)今回はハムレットの苦悩、表と裏の感情、優れた知性ゆえの自己矛盾、、、心の内と更にその内側が犇めき合って叫んでいるように聞こえました。そしてその全てが自身の意図しないところで周りを巻き込んで不幸にしてしまう……苦しい
いや、あのね、レアティーズ一家の悲劇をつくづく噛み締めたんですよね~~1幕のある意味“仄々とした”家族3人のシーンは後に壊されてしまうことを知っているだけに観ていて胸が痛かったしその分レアティーズ絶命のシーンは響きましたね~~「気高いハムレット、お互いに許し合おう。僕と僕の父の死が君の罪になりませんように。君の死が僕の罪になりませんように」……復讐は何も生まないどころか自分自身に跳ね返ってくるということ、許し合うというのがどれだけ難しくて悲しいことなのかが伝わってきてもうぅ……
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しかし壌さん演じるポローニアスのくどさ全開の戒めは良い味だしてるわ~♪
クローディアス懺悔のシーンはハッとしました。これまた今更ですが(苦笑)通常の客席そして前方から見てやっと分かった!「悪党に給料を払って天国に送り込む」とハムレットが言った意味!!祈るクローディアスの背後に短剣を持ったハムレット、、、まともに正面からドドーンとこの構図を見た時にこれは復讐ではなく明らかにハムレットが殺人鬼のように見えてしまっていたんですわ。これならハムレットが躊躇うのも無理ないよな~~
でもクローディアスの祈れない不器用さ、善悪どちらも手にしようとする俗物性ってホント身近でリアルで何だか憎めない。ただ祈りの最後に「思いの伴わない言葉は天には届かない」と言い切ってしまうところはやっぱり悪党だよな~と感心……してはいけないのですが(苦笑)
おじさんズが熟成された雰囲気を楽しませてくれる墓掘りシーンですが、ふとハムレットはこの辺りから無意識のうちに実感として死の世界を意識している……いや、聡明なハムレットのことなのでそういうことは以前から思考の1つのテーマとしてあったんだろうけど、作品全体の流れ的には結末の予言、あるいは結末に向けての潮流を作っているように感じました。アレキサンダー大王でさえビール樽の栓になってしまう虚しさ……ちょいと日本的思考に通じるような
思わず浮かんだ平家物語
でもおじさんズが演じる墓掘りとして生きてきたある意味究極の立ち位置にいる老人たちのやり取りは長年生きてきた経験値があるからこそ生み出せるシュールさがあって面白味を感じるんですよね~~深くて本質を突いているのに華麗に笑い飛ばせてしまう懐の深さが素晴らしいなぁと……お気に入りシーンの1つです
涙涙のラストシーン、今回は王冠が舞台上に留まってて良かったわ(笑)クローディアス自身が王冠を外して床にポトリと大人しめに落としていたけどコレがデフォルトなのでしょうか
でも彼の最期は自分の方から毒が仕込まれた竹棒を刺しているんですよね~~キャラクター的にも宗教的にも自殺ではないと思うのですが何だか不思議。ハムレットに理不尽にも殺されるという形を選んだのか、ゆえにハムレットの方はガートルードの後を追うように毒薬を飲ませたのか、、、うーむ、次の観劇の時に気にしてみよう。。。
ところで、、、今回の観劇で変に……というか無意味に(苦笑)引っかかったことがあったんですよね~~“全てが終わって”ホレイショーが残されフォーティンブラスたちが現れる場面。イギリスからの使者の報告を聞いて「彼らの死は国王の命令ではありません」とホレイショーがフォーティンブラスに言った場面。もちろん普通に考えて国王はクローディアスなんだけど、このセリフだけを聞くと国王って誰?という疑問が湧いてきて……実際はハムレットの企てで学友たちは死ぬことになったんだけど、ハムレットは国王になれなかったから「国王の命令ではない」と受け取れなくもない??とかね
もちろん深読みし過ぎというか誤解で松岡版の原作を読んで今回の台本では出てこない前後を確認して納得
でもここだけではないんですよね~~一度舞台を観てもう一度原作に立ち返ってみると出てこないセリフが結構ある。もちろん一言一句違えずに最初から最後まで原作通りに上演するのは無理な話だしジョン演出の意図を解するには逆に不必要なことなのかもしれないけど、国王云々アレコレ考えながら原作を読んでいるとフォーティンブラスの「運命を抱きしめたい」というセリフが原作では「幸運を抱きしめたい」になっていることに気づいたんですよね~~何かムズムズしたので手を出してはいけないと禁止していた(笑)原書を
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「For me, with sorrow I embrace my fortune」でfortuneは確かに運命とも幸運とも訳せる。何となくプラスのイメージが強いけどwhat happens to you→the good or bad things that happen in life…らしい。そうなるとハムレットの死からフォーティンブラスの即位でいろいろ勘ぐってしまいたくなるような
武人ハムレットの意味とかね……深入りは止めよう!あとは沈黙
今回は観劇予定の中でも一番の前方席~
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既存の「スタンダード」なハムレットの舞台は観たことがないので比較はできないのですが、しきりに言われている登場人物の人間くささ……それがとてもよく分かったような気がしました。ハムレットの苦悩にしても何か突っ込みたくなるというかもっと素直にドドーンと言えばいいじゃん!と思いながらもそうできないところが物凄~~くリアルに感じる。そして狂ったふりをしている中にも人間の本質や真実が見え隠れする。「ありとあらゆる悲しみの姿、形、表情も僕の気持ちを表してはいない。だが僕の中には見せ掛けを超えたものがある」というセリフが冒頭に出てくるけど、この作品に出てくる登場人物やセリフ……狂ったとされる言葉の中に真実があり、“まとも”とみなされる言葉の中には真実がない、でもその逆もまた然り。ハムレットが母・ガートルードに「僕が言った通りにするのです」「僕が言った以外のことをすればいい」おいうシーンは象徴的
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オフィーリアへの愛情も今回は手に取るように分かりました。特に劇中劇を観るシーン、、、ハムレットはオフィーリアの肩越しに観ているのですが、腰に回した手、背中から溢れる好きで好きで堪らないという雰囲気
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おじさんズが熟成された雰囲気を楽しませてくれる墓掘りシーンですが、ふとハムレットはこの辺りから無意識のうちに実感として死の世界を意識している……いや、聡明なハムレットのことなのでそういうことは以前から思考の1つのテーマとしてあったんだろうけど、作品全体の流れ的には結末の予言、あるいは結末に向けての潮流を作っているように感じました。アレキサンダー大王でさえビール樽の栓になってしまう虚しさ……ちょいと日本的思考に通じるような
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涙涙のラストシーン、今回は王冠が舞台上に留まってて良かったわ(笑)クローディアス自身が王冠を外して床にポトリと大人しめに落としていたけどコレがデフォルトなのでしょうか
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ところで、、、今回の観劇で変に……というか無意味に(苦笑)引っかかったことがあったんですよね~~“全てが終わって”ホレイショーが残されフォーティンブラスたちが現れる場面。イギリスからの使者の報告を聞いて「彼らの死は国王の命令ではありません」とホレイショーがフォーティンブラスに言った場面。もちろん普通に考えて国王はクローディアスなんだけど、このセリフだけを聞くと国王って誰?という疑問が湧いてきて……実際はハムレットの企てで学友たちは死ぬことになったんだけど、ハムレットは国王になれなかったから「国王の命令ではない」と受け取れなくもない??とかね
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