3月27日ソワレの観劇記です。(注!ネタバレあり)
初日を除いて平日ソワレの観劇はこの演目では初めて。前にフツーに働いていた頃は“敢えて”週末は避けて平日夜メインで通っていましたが、今は週末の方が確実に行けるので……ま、その気になれば平日の昼間に行けるのでどっちもどっちという感じなんですけどね

でも、今日は平日ソワレらしからぬ雰囲気

そこは笑うところじゃないでしょーと思うようなところで笑いが起きたりして違和感を感じることが多かったのがちょっと

ま、それもまた新鮮な捉え方でいいのかな~と良い方に考えることにしましたが……何だかねぇ

その分、冷静に突き放して観ていたような感覚はありました。どうしちゃったんだろう自分?と本気で心配するほど冷めきった目と心……と思いきや、これは大きな誤解

無意識のうちに思いっきりやられてたのね~~帰りの電車の中で気持ち悪くなるほど胸が詰まっちゃって



多分、凄く凄く自然だったんだと思うんです、、、登場人物の全てが。この演技だから、この仕草だから、このセリフだから、と決定的なものがなくて、普通に目の前に存在していて、それぞれの生き様や思いが交錯しながら積み重なっていって、それが絶え間なく心に響いてきていて、気がつくと心を侵食されていたような感じ

いや~~参りました
本日のお席は4列目センター下手側。じい的には物凄~~く理想的なお席

お気に入りの下手側、程々に近くて程々に遠くて……今回の舞台、最低でもここら辺まで下がらないとキツイかもしれないな~と実感しました

そして、、、まさかのまさか!ここでもスモークサーモンの気持ちが分かるとは

ドラム缶風呂の煙になってる水蒸気が来る来る~~この位置で凄いんだからもっと前の方にいったら更に凄いことになると思いました

思いっきり板の匂いでしたね~~ちょっと懐かしかったかも。そして、、、戸塚さんのタバコの煙もかなり匂ってきます。じいが特にタバコが

だから気にするのかもしれませんが……でもね~~ゲンキンというか愛の力は偉大というか、愛しの君の煙ならもっともっと浴びせてー

って、普段のじいを知る人たちが聞いたら耳を疑うと思いますが(苦笑)
公演はもう少しで終盤戦に突入

土曜日に観た時よりも更にセリフの緩急が自然になっている気がしました。勢いに任せて言っていたような部分が押すところは押して、引くところは引いてて聞いていてスッと受け止めやすくなっていたように思います。登場人物の会話も、アドリブまではいかなくても、お互いのキャッチボールのタイミングや雰囲気、流れで臨機応変にちょびっと変わっていたりすることがあって、それがセリフではなく普通の会話として成り立って台本のセリフという感じがしなかったんですよね~~とても心地よく味わえました

そうそう、戸塚さんはどんどん調子づいてる……って、もちろん良い意味で、ですよ~~饒舌っぷりに拍車がかかるし、歌は長いし

前半の頃には歌っていなかった部分も長めに歌ってるような???じい的には大歓迎ですよ~~久しぶりの内野さんの歌声だし
今回は新たに気づかされたことが多かったです←今更?って突っ込まないでくださいね

戸塚さん、真一、安藤さんがシロギフについて語った同じセリフを違う場面で朗読するところ……てっきり同じセリフだと思っていたら微妙に視点とニュアンスが違うような

厳密には覚えていないのでハッキリしたことは言えないのですが、語尾が違うような気がするんですよね~~幕が上がった冒頭で喋るのが安藤さん……彼女は終盤に「信じたのはシロギフの存在じゃなくてあなたたち(=戸塚さんと真一)だったから。みんなに教えて自慢してやるんだ~」と言うんだけど、そんな風に皆に伝えている言い方。ユカたちと蝶採り合戦

をやっている時に喋るのが真一……彼は父親が病気がちで外に出られなかった自分に聞かせてくれた話として語っていて、シロギフの存在を真っ直ぐに信じている言い方。そして最後に戸塚さん……幻想的な場面で現実なのか夢の中なのかは分からないけどシロギフを見つけに行く時に喋るこのセリフ、、、その先に見えるのは成功なのか失敗なのかは分からないけど前向きに現在進行形で捉えている言い方。それぞれが幻蝶=シロギフを信じるor信じないと明確に区分けすることは出来ないと思うんです。それぞれの心の中に交錯する思いがあって、それを抱えて生きていて……でも信じる思いだけは確か。その辺りの言葉の響きと雰囲気を味わえるな~と思いました
もう1つ気づいたのが、安藤さんの荷物持ちを賭けて蝶採り合戦をする場面。スローモーションの動きの中で4人が蝶を捕まえるのに必死な場面で流れている笑い声!子供の声と女性の声のようにじいには聞こえたんですよね~~子供の笑い声は真クンで時折聞こえる声は母親が叱っている声のような



これは戸塚さんが作り出したもので、彼自身が叶えられなかった夢/理想だったのかもしれないし、あるいは吉永さんが後に語った現実が違うことを表しているのかもしれないし(真クンが虫を怖がって無理やり戸塚さんが連れ出したというのは、実は真クンの本心は違っていたとか???)それは分からないけれど、本当に大切なものは簡単には見えなくて、迷いや誤解、切ない思いを抱えて生きる人間の哀しさと愛おしさが堪らなかったです


それと、、、終盤の幻想的なシロギフ発見の場面。どーしてユカが出てくるんだろうと凄く不思議だったんです。確かに真一にとっては春の女神だろうけど……

まさか夜の蝶に引っ掛けて出したわけでもないと思うし

ただ、ユカは戸塚さんと真一の関係を際立たせるのに鍵になる存在だと思うんです。ある意味「幻蝶的」というか

廃屋を出る決意をしたユカが真一に「ストリッパーの仕事は嫌じゃないよ。お父さんも悪い人じゃないよ」「私がいるのは眠っている世界で…」と語るところ、、、その一つ一つはユカを通して戸塚さんが真一に「現実に立ち向かって強く生きていけ」と言っていると同時に、戸塚さんも自分自身に言い聞かせているようにも思えて……でもそれは現実主義になれと言っているわけではなく、現実を受け止める強さと自分の信じるものを追い続ける強さを持てと言いつつ、それらもまた「幻蝶」のような存在でもあり……上手く説明できないのですが

2人が追っていたシロギフを見つけた場面にユカがいた意味が分かるような。。。
大谷さん演じる吉永さんの存在感が良いんですよね~~腐れ縁以上の繋がりというか絆というか

嫌いになりきれない、でも一筋縄ではいかない負の気持ちもあって、でも悪友的なところもあって、、、カワイイ男たちの笑えるけど笑えない滑稽な関係が面白くて素敵なんですよね~~シロギフの存在は信じていないように見えるけど、でも全否定はできないところが人間の哀しさ

じいも幻蝶が幻の存在だったとは言い切れないだろうな~~たとえ嘘から始まっていたとしても、もしかしたらいるかも知れなくて、その存在を信じたいと思っている人はたくさんいる。戸塚さんはもちろんだと思うし、安藤さんもそうだし、村木さんも実はそんな風に見えるし、吉永さんも多分それっぽい……真一だけは本気なのかな

シロギフが素人のインチキだと吉永が言った瞬間に真一の目の色が変わって表情が一気に変わったんですよね~~ま、ここで実はそのインチキと呼ばれた写真を撮影したのは真一の父親ということを暗示しているんだろうけど……そこには父親への思い(プラスマイナス両方を含めて)があったんだろうな~と。そしてそこに被さってくる戸塚さんの思い、、、胸が痛かったな~~
最後に真一が「(シロギフは)東側にいる」と自分の足で探し、自分の意見に従って前向きに生きようとする姿を見て、戸塚さんの残した思いに涙が溢れてきました



だからこそ!なんだろうけど、戸塚さんが楽しそうにしている場面が切なくて愛おしくて……戸塚さんの人生は幸せなものであったと思いたくなるというか、そう願わずにはいられないじいなのでした。。。