じいの徒然日記

内野聖陽さんにfall in loveしたじいのおバカな毎日を綴った日記

ロマンス

2007-09-09 19:06:06 | 観劇記
世田谷パブリックシアターにて、こまつ座&シスカンパニー公演「ロマンス」を観てきました。いや~~~難しい 実は途中で何度も脱落しそうになって…… 実力派揃いの役者陣に引っ張ってもらっておかげで最後まで頑張れました

あらすじは以下の通り。

全生涯を兄に捧げた妹がいた。兄は医者、そのそばで看護助手と薬剤師をつとめ、家政婦も、マネージャー役も兼ねていた。ときには兄を甘やかす母親にもなった。妹には一人の親友がいた。親友は魅力的なドイツ系の女優だった。妹は親友になんでも打ち明けていた。妹が怖れていたことはただ一つ、兄と親友とが結婚したりはしないかということ。二人とも結婚生活には向いていないのだ。だが、怖れていたことが現実になる。二人はこっそり結婚していた! 一度に兄と親友とに裏切られ、一度に兄と親友とを失ってしまった妹。妹、マリア・チェーホワは激怒した。でも親友、芸術座の女優オリガ・クニペックは、わたしたちのロマンスについてだれも口を出すべきではないと抗弁した。そして兄、アントン・チェーホフは頭を抱えながら、最後の戯曲『桜の園』に取りかかった。(こまつ座HPより)

ロシアの文豪チェーホフの生涯を描いている舞台なのですが、チェーホフが主役!というわけではなくて、彼を取り巻く人々の語り&視点によってストーリーが展開 なので、主役は場面によって変わるんですよ。妹のマリアや妻オリガだったり、あるいはチェーホフが担当していた患者だったり……彼ら/彼女らを通してチェーホフを見て感じているような感じでした。でも、これってきちんと演じられる役者さんが揃っているからこそ成せる業 今回は全員が複数の役を演じていたんですけど、全部同じに見えないところが凄い 引き込まれてましたわ

大竹しのぶさん、妻のオリガの他にチェーホフに金をむしんに来る患者役等も演じられていました。歌う場面は音の取り方が時々怪しい時がありましたけど、気持ちが高まってセリフが歌になった感じで自然な雰囲気だったのが良かったと思います 表情も表現もとっても豊かなのはさすがですね~~ ずるがしこそうな時もあれば可哀想な雰囲気出しまくり~な時もあって……でも、どんな時でも注目させてしまう可愛さ、お茶目さがあるのがいいですね~~

松たか子さん、弱気なチェーホフを叱咤激励するところの仕草はランディー夫人を髣髴させるような 強い語気の時に一本調子になるのは気になりましたけど、周りのすんごいメンバーと対等に渡り合ってるところは凄いと思いました。それに、チェーホフの妹って本当にこんな感じだったのでは? と思わせるような感覚になりました。

段田安則さん、この方の芸達者ぶりは素晴らしすぎます~~ 大学の医学部助教授役の時には落ち着いて何気に頼れる雰囲気だし、壮年チェーホフの時は気弱なんだけど創作意欲に目覚めると激しくてちょっぴり怪しい 行動になるところは笑えるし。。。最後、死期の近い晩年のチェーホフを主治医として診ることになるんですけど、弟子を包み込むような温かい雰囲気にはホロリ としました。

生瀬勝久さん、この方も芸達者 テレビで一癖も二癖もある個性的な役を演じられることが多くて、真面目orイヤミ~~な感じ→突然おちゃらけた言動になるという緩急の差が凄い芝居をよく見る気がするんですけど、今回も随所にこういう緩急のある仕草を、しかもナマで観れて感激でした。いや~~この落差がたまらないですわ。ホント、素晴らしい

井上芳雄クン、ストプレで会うのは初めて……か 実はこの舞台、井上クンを観るためにチケを取ったようなものでもあるんですけど。。。 歌&踊りは文句なし さすがでした~~発声の仕方が他の出演者と違うような やっぱり“一生懸命頑張ってます”感が気になることがあって……でも、第1幕でマリアに結婚を迫る資産家の青年役は無理なく演じていると思いました。何となくメタマクの元きよし@未來クンに似てたような あと、第2幕終盤の晩年チェーホフとの対決(役名は忘れたんですけど、チェーホフの戯曲の演出家?)シーンはよかった~~じいの席からは井上クンの背中しか見えなかったんでけど、緊張感はバシッと伝わってきました。素敵な役者さんに囲まれていい勉強になったんじゃないかな~~と勝手に親心なことを思ってしまいました。

木場勝己さん、初めて舞台でお会いしました。テレビでは一番新しい記憶だと金八先生で超ムカツキな校長役をされてましたけど 憎々しい役から優しい人の役までいろ~~んな面をお持ちの役者さんなんですよね~~今回の晩年チェーホフ役、一筋縄ではいかない厄介なジジイなんだけど、聞かん坊なカワイイ面もあって、自分の信念を語るところは凄い緊張感と強固な雰囲気を出されていて……本当に本当に良いものを見せてもらったって感じです

笑いが大事……自分はボードビルが書きたかったのにおセンチな芝居に仕立て上げられてしまうことを嘆いていたチェーホフ。幼い頃から見てきたどうしようもない悲惨な現実、解決されるに越したことはないけれど、どうにも良くならない、救われない時、人間は笑わずにはいられない、笑いが薬になることがあるということを実感していたんだろうなぁ~と思いました。人間を突き放して書いているように見えるけど、実は本質を捉えつつも憎んでいるわけではないと感じました。そこに「人間ってどうしようもない部分もあるけど愛しいよね」という気持ちにさせるモノを随所に織り込む井上脚本。。。100%温かい気持ちになる~~ということはありませんでしたが、「人間の姿」を見せつけられたような気がしました。

話の中で出てくるボードビルの歴史や当時の演劇事情、チェーホフの作品の中に出てくる有名な セリフが次々に出てきた……みたいなんですけど、じいにはさっぱり分からず 頭に入れて考えて噛み砕いて、という作業が追いつかないんですよ こういうところが井上作品なのか まぁ~~次々と印象的で素敵な言葉がポンポン飛び出してくるので、消化できずに気がついたら終演……ってことになってました。じい、トルストイ(第2幕後半で登場してて、やたら面白い“おっちゃん”でした)やドストエフスキーは読んだことがあったんですけど、チェーホフは読んだこともないし戯曲も観たことがなかったんですわ。やっぱり最低限の予習は大事なことを実感しました。こまつ座の舞台ってこんなに難しかったっけ???と思ったんですよね。でも、ふと考えてみると、今まで観た「箱根強羅ホテル」にしても「私はだれでしょう」にしても、後は未見だけど読んだことはある「紙屋町さくらホテル」にしても、その時代背景や現代まで議論されている問題点、大学等々で研究してたことにも重なるから、遊びまくり~の学生だったじいでも「それなりに」勉強はしてるわけで……だから、発せられる言葉の裏の裏の事情まで理解できるから本気で笑えたり泣けたり……いや~~、やっぱり舞台を観るための教養は大事ってことですね~~

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