3月2日マチネの観劇記です。
今回は上手側のお席で観劇。ありがたいことに今まではずっとセンターブロックから観ていたのですが、少し横に寄ることで今までは見られなかった表情が確認できてまた違う感情が沸き起こったりして……あとはやっぱりじいの大好物!!!内野向坂の語る背中を堪能しました 表情が見えなくても背中だけでその表情が分かるところが凄すぎて……語られる言葉にならない言葉や空気感も特別でした。素晴らしい~~
ど真ん中で観ていると背中を向けられてしまうので逆に見えなかった表情、、、特に個人的に肝になっている6日~7日目の向坂の心の移り変わり。上手側に向いていることが多いので今回はその表情を堪能することができたのですが、今回やっとここら辺りの心模様が分かったような、分からないような???笑うことを知った向坂が敢えて笑いの要素を一切排除した台本を要求した本当の気持ちは何だろうって……馴れ合いや共感、歩み寄りの理解、そういうものを超えた真剣勝負を敢えて仕掛けたように感じたんですよね。それは椿を弾圧するのではなく尊重したゆえに出てきた言動であり、逃げ延びてほしいという“一瞬の隙”のような優しさの表れでもあり……同時に笑いを知っても向坂が変えられない自身の性分や譲れないものがあって、向坂が向坂である為に必要な挑戦?挑発??だったのではないかと考えてみたり……
6日目に椿が「向坂さんには本当のことを知っておいてもらいたいから」と言って告白した自分なりの権力との戦い方。権力に抗って筆を折る、上演中止を覚悟で敢えて抵抗して散る、、、一昔前の自分だったらコレがあるべき姿で正解だと思っていたでしょう 戦時下の流行歌や童謡唱歌、クラシック音楽然り、映画然り、、、それらを作った人の本音は何だったんだろうか考えたことも。。。ただ何か正解なのか、正解は単純に導き出せるものではないと思います。この種のテーマ、パンフに載っている辻田氏の寄稿が凄~く参考になるので人選GJ と思ったのですが……検閲官の言う通りに書き直して、でも更に面白いものにしてやろうという気概。劇中でも実際に前よりも素晴らしいものになっているところがね~~人間の強さと崇高さ、可能性を感じて心が奮い立ちました。
笑のない台本を求められて書いたのが笑いだらけの台本。椿は自分が戦争でいなくなることを前提に、絶対に上演されないことが分かっていたからこそ今まで一番面白い台本を書くことができた、そして自分の学んだ全てと生きた証を残すことができたのではないかと思いました。それを向坂に託したこと……椿は笑いのなかった向坂の人生に明かりを灯して豊かな方向に導いていく存在だったというのを表しているようで温かい気持ちに包まれながらも悲しくて切なくてね~~ 最後に台本に2人の名前を書く椿。その手が震えていて……椿は夜通しこの台本を書いていたと言っていたけど、もしかして台本を書いていなければ平常心でいられなかったのかもしれない そんなこんなを考えていくと何か悲しくて理不尽で……。濃密な7日間、、、宝物のような。。。
最後に 台本直しの中で椿が漏らした愚痴 役者は自分のセリフのことしか考えない、必然性がないからこのセリフは言えない・演じられない、、、何だか内野さんの良いものを作ろうとする姿勢の中でチラホラ漏れ聞こえてくるエピソードが頭を過ってニマニマ 台本直しに脂が乗ってトコトン拘るウザい人になってくる向坂!役者バカに通じるところもあるような、、、向坂のことが妙に愛おしくなってしまう場面なのよね~~ヌフッ