■「徳治主義」・「仁政」
また別のトピックで論語だけで書きたかったんだけど、ちょい前に友人たちと論語の輪読会をやったのですね(→今は上海におる、友人のShin.K氏がブログに書いた感想も、感性を刺激される!)。
孔子が理想とした政治は、「徳治主義」・「仁政」というもの。
ちゃんとした徳(仁・義・礼・智・信)を備えたものが、「修己治人」(自分を磨き、徳のある人材を採用する)を信条にし、礼にしたがい政治をすれば、おのずから人はついてくるという発想。
ある意味理想主義とも言えるけど、
《自己を研鑽しましょう。自分を磨きましょう。そして徳を自分のものとしましょう。そうすれば、その徳が自然に他の人の染み出すように伝播して、政治もうまくいきますよー》というような発想。
戦国時代のような乱世だと、あまりに綺麗事に聞こえるかもしれない。
けれど、孔子が言っているのは、戦国時代・群雄割拠・下剋上の乱世であっても、こういう心を持って政治に励みましょうや。という感じだと思う。
そして、徳の中でも大事なのが『仁』。
『仁』とは、「素直に人を思いやる」とか、「他者に放射する無償の愛」のようなものが根底にある。
そして、『仁』もそう簡単なもんじゃなくて、何段階もステップアップしていく。
ホップ!ステップ!ジャンプ!
■『仁』
仁:レベル0→男女の愛・親子の愛みたいな、生まれつきある本能的・無意識の愛のこと。
仁:レベル1→「孝悌(こうてい)」:『親・目上・お年寄りに対する仁』のこと。
仁:レベル2→「恭敬(きょうけい)」:『友人・同僚を思いやる仁』のこと。
仁:レベル3→「忠恵(ちゅうけい)」:『人を生かす仁』のこと。部下とか後輩を育てて生かすこと。
仁:レベル4→「寛如(かんじょ)」:『人を許す仁』。慈悲のようなもの。
仁:レベル5→「忠恕(ちゅうじょ)」:忠(まこと)と思いやり。『救世の仁』のこと。これは人類救済とかで究極の仁ですね。釈迦とかキリストとか、そのレベル。これは僕ら凡人には無理だけど、何百年に一度のミラクル仁。
■日本の大臣のG7記者会見
昨日、当直中に見たニュースはほとんどお笑いコントだった。
へべれけに酔っぱらった?ような感じで中川財務省がG7記者会見をしてて、それがあまりに度を過ぎてひどくて、結局中川大臣は辞任した。
個人的に、『失敗したら辞任する』の流れは好きではなくて、『失敗したらなら、それを凌駕する仕事をして、そこでリカバーしてプラスマイナスゼロにした上で辞任する』の流れの方がいいんじゃないかと常々思ってるんだけど、まあ今回のG7記者会見はあまりにひどいわけで(you tubeでココとか、検索すると分かるんで、見てない人は見てみてください。ほとんどコントのようですが)
■善い風となること
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論語(顔淵第十二の十九)
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季康子問政於孔子、曰、如殺無道以就有道、何如、孔子對曰、子爲政、焉用殺、子欲善而民善矣、君子之徳風也、小人之徳草也、草上之風必偃、
========================
季康子、政を孔子に問いて曰わく、如(も)し無道を殺して以て有道に就かば、何如。
孔子対たえて曰わく、子、政を為すに、焉(な)んぞ殺を用いん。
子、善を欲すれば、民善ならん。
君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。
草、これに風を上(くわ)うれば、必らず偃(ふ)す。
========================
季康子が政治のことを孔子に訊ねて言った、
「国をうまく治める為に、無道の者(悪人)を殺して有道の者(善人)だけにしてしまってはどうだろうか?」
孔子は答えて言われた、
「あなた、政治をなさるのに、どうして殺す必要があるのです。
あなたが善くなさろうとされるなら、人民は感化されて自ら善道を行なうようになるでしょう。
上に立つ者の徳は喩えてみれば風のようなものであり、下にある人民の徳は草のようなものです。
善い風を吹きかければ善い方になびき、悪い風を吹きかければ悪い方になびくものです」
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■北極星を回る星のように
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論語(為政第二の一)
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子曰、爲政以徳、譬如北辰居其所、而衆星共之、
========================
子曰わく、政(まつりごと)を為すに徳を以てすれば、譬(たとえ)ば北辰其の所に居りて、衆星(しゅうせい)之(これ)に共(むか)うが如し。
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孔子が曰われた、「政治をするものが徳治を備えた上で政治を行えば、喩えば北極星を中心に天体が寸分の狂いなく回転運動をするように、役人みんなが仁政に励むようになるものでありますよ」と。
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■生生流転
政治も大変でしょう。経済も大変でしょう。もちろん、医療も大変ですよ。
でも、やはり孔子が言うような志を持って、政治はあってほしい。
それは、きっとみんなが願ってる。
三島由紀夫も《NHK あの人に会いたい》で、『人間は、自分のためだけに生きるほど強くない。大義のような、自分以外の他の何かに、命をかけたいと本質的に思っているものなのだ。』と言ってた気がします。
大変だってことは、不安定ってことですかね。不安定って言うのは常に変化して一定してないってことですかね。
でも、変化するのは至極に当然。
経済も常に右肩上がりで成長するわけではないことなんて、世界の歴史が何百回も何千回も証明しておるわけで。
無常なのですよね。常なるものはない。
常に『生生流転』する。
(⇒⇒⇒無常に関しては【竹内整一『「はかなさ」と日本人』】(2009-02-17)に書きました。)
だからこそ、この経済危機の状況は、生生流転の大きな時期でもあるし、大きい飛躍の瞬間でもあるのですよね。だから、日本の経済関係のお偉い先生には、そんな大義を持って、仁徳を持って政治をしてほしかったです。
ま、あのNEWSからそんなこと思って思わず書いちゃいました。
孔子兄さんの声に耳を傾けないといかんですね!
仁徳を持つように励まねば!
玉磨かざれば器を成さず、人学ばざれば道を知らず!
玉磨かざれば光なし!
また別のトピックで論語だけで書きたかったんだけど、ちょい前に友人たちと論語の輪読会をやったのですね(→今は上海におる、友人のShin.K氏がブログに書いた感想も、感性を刺激される!)。
孔子が理想とした政治は、「徳治主義」・「仁政」というもの。
ちゃんとした徳(仁・義・礼・智・信)を備えたものが、「修己治人」(自分を磨き、徳のある人材を採用する)を信条にし、礼にしたがい政治をすれば、おのずから人はついてくるという発想。
ある意味理想主義とも言えるけど、
《自己を研鑽しましょう。自分を磨きましょう。そして徳を自分のものとしましょう。そうすれば、その徳が自然に他の人の染み出すように伝播して、政治もうまくいきますよー》というような発想。
戦国時代のような乱世だと、あまりに綺麗事に聞こえるかもしれない。
けれど、孔子が言っているのは、戦国時代・群雄割拠・下剋上の乱世であっても、こういう心を持って政治に励みましょうや。という感じだと思う。
そして、徳の中でも大事なのが『仁』。
『仁』とは、「素直に人を思いやる」とか、「他者に放射する無償の愛」のようなものが根底にある。
そして、『仁』もそう簡単なもんじゃなくて、何段階もステップアップしていく。
ホップ!ステップ!ジャンプ!
■『仁』
仁:レベル0→男女の愛・親子の愛みたいな、生まれつきある本能的・無意識の愛のこと。
仁:レベル1→「孝悌(こうてい)」:『親・目上・お年寄りに対する仁』のこと。
仁:レベル2→「恭敬(きょうけい)」:『友人・同僚を思いやる仁』のこと。
仁:レベル3→「忠恵(ちゅうけい)」:『人を生かす仁』のこと。部下とか後輩を育てて生かすこと。
仁:レベル4→「寛如(かんじょ)」:『人を許す仁』。慈悲のようなもの。
仁:レベル5→「忠恕(ちゅうじょ)」:忠(まこと)と思いやり。『救世の仁』のこと。これは人類救済とかで究極の仁ですね。釈迦とかキリストとか、そのレベル。これは僕ら凡人には無理だけど、何百年に一度のミラクル仁。
■日本の大臣のG7記者会見
昨日、当直中に見たニュースはほとんどお笑いコントだった。
へべれけに酔っぱらった?ような感じで中川財務省がG7記者会見をしてて、それがあまりに度を過ぎてひどくて、結局中川大臣は辞任した。
個人的に、『失敗したら辞任する』の流れは好きではなくて、『失敗したらなら、それを凌駕する仕事をして、そこでリカバーしてプラスマイナスゼロにした上で辞任する』の流れの方がいいんじゃないかと常々思ってるんだけど、まあ今回のG7記者会見はあまりにひどいわけで(you tubeでココとか、検索すると分かるんで、見てない人は見てみてください。ほとんどコントのようですが)
■善い風となること
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論語(顔淵第十二の十九)
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季康子問政於孔子、曰、如殺無道以就有道、何如、孔子對曰、子爲政、焉用殺、子欲善而民善矣、君子之徳風也、小人之徳草也、草上之風必偃、
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季康子、政を孔子に問いて曰わく、如(も)し無道を殺して以て有道に就かば、何如。
孔子対たえて曰わく、子、政を為すに、焉(な)んぞ殺を用いん。
子、善を欲すれば、民善ならん。
君子の徳は風なり、小人の徳は草なり。
草、これに風を上(くわ)うれば、必らず偃(ふ)す。
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季康子が政治のことを孔子に訊ねて言った、
「国をうまく治める為に、無道の者(悪人)を殺して有道の者(善人)だけにしてしまってはどうだろうか?」
孔子は答えて言われた、
「あなた、政治をなさるのに、どうして殺す必要があるのです。
あなたが善くなさろうとされるなら、人民は感化されて自ら善道を行なうようになるでしょう。
上に立つ者の徳は喩えてみれば風のようなものであり、下にある人民の徳は草のようなものです。
善い風を吹きかければ善い方になびき、悪い風を吹きかければ悪い方になびくものです」
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■北極星を回る星のように
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論語(為政第二の一)
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子曰、爲政以徳、譬如北辰居其所、而衆星共之、
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子曰わく、政(まつりごと)を為すに徳を以てすれば、譬(たとえ)ば北辰其の所に居りて、衆星(しゅうせい)之(これ)に共(むか)うが如し。
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孔子が曰われた、「政治をするものが徳治を備えた上で政治を行えば、喩えば北極星を中心に天体が寸分の狂いなく回転運動をするように、役人みんなが仁政に励むようになるものでありますよ」と。
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■生生流転
政治も大変でしょう。経済も大変でしょう。もちろん、医療も大変ですよ。
でも、やはり孔子が言うような志を持って、政治はあってほしい。
それは、きっとみんなが願ってる。
三島由紀夫も《NHK あの人に会いたい》で、『人間は、自分のためだけに生きるほど強くない。大義のような、自分以外の他の何かに、命をかけたいと本質的に思っているものなのだ。』と言ってた気がします。
大変だってことは、不安定ってことですかね。不安定って言うのは常に変化して一定してないってことですかね。
でも、変化するのは至極に当然。
経済も常に右肩上がりで成長するわけではないことなんて、世界の歴史が何百回も何千回も証明しておるわけで。
無常なのですよね。常なるものはない。
常に『生生流転』する。
(⇒⇒⇒無常に関しては【竹内整一『「はかなさ」と日本人』】(2009-02-17)に書きました。)
だからこそ、この経済危機の状況は、生生流転の大きな時期でもあるし、大きい飛躍の瞬間でもあるのですよね。だから、日本の経済関係のお偉い先生には、そんな大義を持って、仁徳を持って政治をしてほしかったです。
ま、あのNEWSからそんなこと思って思わず書いちゃいました。
孔子兄さんの声に耳を傾けないといかんですね!
仁徳を持つように励まねば!
玉磨かざれば器を成さず、人学ばざれば道を知らず!
玉磨かざれば光なし!