「放射能は怖い」のウソ(服部禎男著)武田ランダムハウスジャパン、が面白い。先に紹介した「低量放射線は怖くない」(中村仁信著)遊タイム出版、に続く放射能に対する見方の変革を迫る専門家の貴重な意見が盛りだくさんで、こうした内容を踏まえず、原発を語ったり、ましてや政策を決定するようなことがあってはならないとさえ言い切りたい。原発の恐怖を煽る情報が氾濫する中で、専門的で科学的な質の高い知見から、異議を唱える内容であり、極めて重要な示唆に富んでいる。
著者は電力中央研究所元名誉特別顧問(燃料無交換超小型安全炉の発案など新型原子炉開発に実績があるらしい)でホルミシス臨床研究会(ホームページが興味深いがリンクが事前申告制とのことで、念のためリンクしない)理事で放射線ホルミシス研究とその国際的推進が評価されバンガード賞を受賞した原子力発電とDNAの修復の専門家。
以下、興味深い点を抜粋・要約すると(>部)・・・。
>チェルノブイリと福島では比較にならない。水素爆発で建屋が飛んだ福島に比べ、運転中の原子炉が爆発したチェルノブイリでは、放射能は50分の1程度というのが服部氏の見立て(53p)。また、事故の拡大も有り得ない(原爆のような核爆発はウランの性質上有り得ない/原子炉が停止しているのでチェルノブイリのような原子炉爆発も有り得ない/49p)。
全然事故の性質が違うということ。何処かの反原発学者はこういう事故の性質隠しという重大な情報に触れずに危機だけ煽るのだから、タチが悪い。時間が経てばこういう情報も出てくるから、せかす勢力もいるのだろう。
>有名なチェルノブイリでの甲状腺ガンも(ガン防止のための)ヨウ素の取り過ぎで逆に甲状腺が腫れてしまったケースがある。ドイツで行なわれたレントゲン100年記念祭シンポジウムで多くの専門家が甲状腺ガンなのかただの腫れなのか激論しており、チェルノブイリ事故を調べた国連科学委員長ヤオロースキー氏がこれを指して「インチキの甲状腺ガン」という論文を出している(58p)。
チェルノブイリ事故の影響も過大評価されている。冷戦の時代ということもあり、西側は事故の影響を過大に煽った可能性もあるのだろう。冷静で科学的な再検証が必要だ。ロシアの対応に問題があったことは事実と思うが。
>放射線がガンを引き起こすメカニズムから考えて、問題は瞬間的な線量率。原爆が3600万ミリシーベルト毎時で、原発が最大2ミリシーベルト毎時だとして、原爆は原発の1800万倍の影響があると考えられる(63p)。
人間は自然放射線を浴びながら暮らしており、損傷したDNAを修復するメカニズムが備わっている。あまりに多すぎる線量を浴びると、修復が追いつかなくなるが、低量の放射線を浴びても、修復されるので問題ない。
>カリウムは動植物にとって必要不可欠な元素だが、これは放射線(ベータ線)を出している。放射線を取り除いたカリウムでは細胞が停止してしまうという実験結果もある。(75p-76p)
誤解を恐れず言えば、人は内部被爆を必要としているということである。カリウムが動植物に必要不可欠なことも、カリウムには自然に放射線(ベータ線)を出していることも否定する人はいないだろう。
>放射能が怖くないと最初に言ったのはアメリカのラッキー氏。宇宙飛行士が2週間の間、地上の300倍の放射線を浴びることを調査したところ、寧ろ元気になって帰ってきたとのこと。これを放射線ホルミシス効果と名づけた。(85p)
具体的なデータも多い。これを無視した放射線の影響論は意味がない。運動は人体に極めて有害な活性酸素を作り出すが、適度な運動が健康にいいことは誰でも知っている。寝たきりが身体にいいはずがない。人間は身体を動かすように出来ているのであり、また放射線を浴びるように出来ているのだと理解している。
>健康にもっともいい放射線量は年100ミリシーベルト。ラッキー氏はウラン鉱石をベッドに敷き詰めて寝ているらしく、90歳を超えても若々しいとのこと(存命)。
年100ミリシーベルトが怖くないどころか、健康にベストというのだから、驚くべき意見に思えるが、毎時に直すと、0.0114ミリシーベルトだから、なるほどとも思える。
>火力発電はボイラーの爆発など事故が多く、事故の数・犠牲者ともに火力の方が断然多い。危険である。(109p)
ボイラーを扱うには資格試験も必要。日本の場合、地震・津波も考慮しなければならない。
>地熱は危険。火山性ガスは極めて危険で、マグマは大変な存在。(112p)
一概に地熱が悪いと思わないが、こうしたことを考慮する必要は当然あるだろう。
>プルトニウムは怖くない。実際、プルトニウムの危険性を最初に訴えた学者とその仲間は自説を撤回している。半減期が長い(2万4000年)=出す放射線が少ないということ。
ヨウ素が危険とされるが、半減期は短い(8日)。
今、除染が話題になっているが、健康に良い物を莫大なコストをかけて除去するのは馬鹿げている。実際問題、人類は1960年代核実験時代を経ても、高齢化社会をむかえ、皆ピンピンしている。広範囲な除染は全く必要がなく、国が責任を持って除染する範囲は、統計的に有意な被害が出る恐れがある地域に限った方が良い。これは現在の国のICRPの基準を採用しても可能である(閾値なしモデルでも100ミリシーベルト以下の被害は観測できない。子供が小さいことを考えるにしても、5分の1の20ミリシーベルトぐらいではないか。10分の1でも10ミリシーベルトである。
自分としては、中長期的に放射線の影響の合理的な基準が確立されることを期待している。皆健康になるし、お金も掛からないし、言うことないではないか(両方読めば大体分ると思うが、閾値ありモデルの方が証拠が多く、理論もシッカリしており、説得性に富んでいる。どちらが勝つかは見えているようなものではないか)。
野田政権は線量が明らかに高いところからスパッとやればどうか。民間の行動は規制できないが、正確な情報提供と学術論争の活性化の働きかけぐらいは出来るだろう。放射線の影響に関する科学的な理解が進めば、基準も問題なく緩和されるはずだ。今のままでは、健康にいいラドン温泉も自然放射線量の高い地域も立ち入り禁止にしなくてはならないということになる。
著者は電力中央研究所元名誉特別顧問(燃料無交換超小型安全炉の発案など新型原子炉開発に実績があるらしい)でホルミシス臨床研究会(ホームページが興味深いがリンクが事前申告制とのことで、念のためリンクしない)理事で放射線ホルミシス研究とその国際的推進が評価されバンガード賞を受賞した原子力発電とDNAの修復の専門家。
以下、興味深い点を抜粋・要約すると(>部)・・・。
>チェルノブイリと福島では比較にならない。水素爆発で建屋が飛んだ福島に比べ、運転中の原子炉が爆発したチェルノブイリでは、放射能は50分の1程度というのが服部氏の見立て(53p)。また、事故の拡大も有り得ない(原爆のような核爆発はウランの性質上有り得ない/原子炉が停止しているのでチェルノブイリのような原子炉爆発も有り得ない/49p)。
全然事故の性質が違うということ。何処かの反原発学者はこういう事故の性質隠しという重大な情報に触れずに危機だけ煽るのだから、タチが悪い。時間が経てばこういう情報も出てくるから、せかす勢力もいるのだろう。
>有名なチェルノブイリでの甲状腺ガンも(ガン防止のための)ヨウ素の取り過ぎで逆に甲状腺が腫れてしまったケースがある。ドイツで行なわれたレントゲン100年記念祭シンポジウムで多くの専門家が甲状腺ガンなのかただの腫れなのか激論しており、チェルノブイリ事故を調べた国連科学委員長ヤオロースキー氏がこれを指して「インチキの甲状腺ガン」という論文を出している(58p)。
チェルノブイリ事故の影響も過大評価されている。冷戦の時代ということもあり、西側は事故の影響を過大に煽った可能性もあるのだろう。冷静で科学的な再検証が必要だ。ロシアの対応に問題があったことは事実と思うが。
>放射線がガンを引き起こすメカニズムから考えて、問題は瞬間的な線量率。原爆が3600万ミリシーベルト毎時で、原発が最大2ミリシーベルト毎時だとして、原爆は原発の1800万倍の影響があると考えられる(63p)。
人間は自然放射線を浴びながら暮らしており、損傷したDNAを修復するメカニズムが備わっている。あまりに多すぎる線量を浴びると、修復が追いつかなくなるが、低量の放射線を浴びても、修復されるので問題ない。
>カリウムは動植物にとって必要不可欠な元素だが、これは放射線(ベータ線)を出している。放射線を取り除いたカリウムでは細胞が停止してしまうという実験結果もある。(75p-76p)
誤解を恐れず言えば、人は内部被爆を必要としているということである。カリウムが動植物に必要不可欠なことも、カリウムには自然に放射線(ベータ線)を出していることも否定する人はいないだろう。
>放射能が怖くないと最初に言ったのはアメリカのラッキー氏。宇宙飛行士が2週間の間、地上の300倍の放射線を浴びることを調査したところ、寧ろ元気になって帰ってきたとのこと。これを放射線ホルミシス効果と名づけた。(85p)
具体的なデータも多い。これを無視した放射線の影響論は意味がない。運動は人体に極めて有害な活性酸素を作り出すが、適度な運動が健康にいいことは誰でも知っている。寝たきりが身体にいいはずがない。人間は身体を動かすように出来ているのであり、また放射線を浴びるように出来ているのだと理解している。
>健康にもっともいい放射線量は年100ミリシーベルト。ラッキー氏はウラン鉱石をベッドに敷き詰めて寝ているらしく、90歳を超えても若々しいとのこと(存命)。
年100ミリシーベルトが怖くないどころか、健康にベストというのだから、驚くべき意見に思えるが、毎時に直すと、0.0114ミリシーベルトだから、なるほどとも思える。
>火力発電はボイラーの爆発など事故が多く、事故の数・犠牲者ともに火力の方が断然多い。危険である。(109p)
ボイラーを扱うには資格試験も必要。日本の場合、地震・津波も考慮しなければならない。
>地熱は危険。火山性ガスは極めて危険で、マグマは大変な存在。(112p)
一概に地熱が悪いと思わないが、こうしたことを考慮する必要は当然あるだろう。
>プルトニウムは怖くない。実際、プルトニウムの危険性を最初に訴えた学者とその仲間は自説を撤回している。半減期が長い(2万4000年)=出す放射線が少ないということ。
ヨウ素が危険とされるが、半減期は短い(8日)。
今、除染が話題になっているが、健康に良い物を莫大なコストをかけて除去するのは馬鹿げている。実際問題、人類は1960年代核実験時代を経ても、高齢化社会をむかえ、皆ピンピンしている。広範囲な除染は全く必要がなく、国が責任を持って除染する範囲は、統計的に有意な被害が出る恐れがある地域に限った方が良い。これは現在の国のICRPの基準を採用しても可能である(閾値なしモデルでも100ミリシーベルト以下の被害は観測できない。子供が小さいことを考えるにしても、5分の1の20ミリシーベルトぐらいではないか。10分の1でも10ミリシーベルトである。
自分としては、中長期的に放射線の影響の合理的な基準が確立されることを期待している。皆健康になるし、お金も掛からないし、言うことないではないか(両方読めば大体分ると思うが、閾値ありモデルの方が証拠が多く、理論もシッカリしており、説得性に富んでいる。どちらが勝つかは見えているようなものではないか)。
野田政権は線量が明らかに高いところからスパッとやればどうか。民間の行動は規制できないが、正確な情報提供と学術論争の活性化の働きかけぐらいは出来るだろう。放射線の影響に関する科学的な理解が進めば、基準も問題なく緩和されるはずだ。今のままでは、健康にいいラドン温泉も自然放射線量の高い地域も立ち入り禁止にしなくてはならないということになる。