「0点でも高校の研究」 あるいは「なっちの研究」(001)
《プロローグ》
ふつう学級・普通高校の12年間、彼らは自分の身に起こる現実、「見るべきもの」をすべて自分で体験してきた。
どんな時も味方がいるという感覚を失わず、自分の身に起こること、自分の身体が感じることを体験してきた。
怒られることもあるが、自分のすべてを否定されるわけじゃない。助けが必要なときには、助けを求めていいのだという、人への信頼を築く機会として、多くの失敗を体験することができた。
彼らの姿は、もともと協力しあうことは子どもの自然であり、脅されたり怒られないと感じれば、誰もが自分を表現する言葉でつながり、力を発揮することができることを、私たちに教えてくれた。
私たちは、子どもの成長をじゃませず、必要なときだけ、状況に応じて手を貸し、知恵をかせばいいのだった。
もちろん、高校を卒業しても相変わらず、周囲との行き違いや困り事は起こる。
でも、彼らにとって、12年間、自分の居場所を守りきってくれた人たちへの信頼は揺るぎない。
そしてまた、その人たちの信頼に応えることができた自分への信頼もまた揺るぎない。
その「自分への信頼」とは、「個の能力」で得た「自信」とは次元が違うものだ。
彼らには、新しい事態を前にするとき、そこで何が起こっているのか、この先に何が起こるのかを、ちゃんと待つ姿勢と、乗り切ることへの信頼がある。
子どものころ、「問題行動」として語られてきた中身は、彼らにしてみれば「問題提起」だった。
子ども一人が「直さ」なければいけないことではなく、子どもだけが行動を「修正」することで「解決」するものではなかったのだ。
それは彼らが生き延びるために必要な手段やつながりを、私たち大人も共に悩み考えるために必要な課題であり、その機会を提供できることこそ、彼らの強みでもあった。
高校を卒業した彼らの姿をみていると、12年間という時を共に経験することができて、お互いによかったと、心からおもう。
その姿を、丁寧に書いてみたいのだけれど…。
無理かなぁ(-.-)
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