【業務連絡メモ】
《「一緒がいいならなぜ」を解く》①
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引退試合まで18日、みたいなせいか、思いがけない声が聴こえる。ホントはそれが「誰の声」か説明しないと伝わらない。でも、残り時間がないので、自分のためだけにメモ①。
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昨夜、中邨さんと長電話。「子どもに敵だと思われたくないよね」の対話を36年続けてきた「親」の一人。その電話を切ってから気づいたこと。
誰かの「親としての部分」と、二十年、三十年対話し続けることは、そんなにはない、よね。
子どもが「成人」すれば、「子ども」をメインに対話し続けることは、そうない。結婚とか、孫がかわいいという話題はあっても、「6歳の子の親」のままの対話をし続けることは、あまりない、よね。
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しかも子どもは、「ふつう学級と、3年高校浪人と、知的障害の重度訪問介護24時間の自立生活中」という「わが子」のこと、そして「どの子もわが子と同じ」という活動をしながら対話し続けてきたこと。
「子ども」のことなら「意見が合」うのに、「わが子」のことでは、親の数だけ「微妙にすれ違う」もの。それでも、結局、「わが子も人の子」でも「同じ」譲れない思いの重なりがある。
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青い芝の人たちは「親は敵だ」といった。また障害児の親は「ふつうに年を取れない」という本もある。「ぼけますからよろしくおねがします」という映画があり、「転んでも大怪我しないように」最大限配慮しながら、それでも「僕らは縛りません」という覚悟をし、「それでも絶対転びます。婆様の人生です。婆様に任せましょう」という介護事業所がある。
「転んでも縛らない介護」と「45分座っていなくても分けない教育」は、どうつながっているか?
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「一緒がいいならなぜ分けた」という言葉と、ずっと向き合い続けてきた。
子どもの命を守るための「入院」という形で子どもを「分ける」ことと、制度がないから学籍だけ別、でも中身は同じなら「同じ」は、どう違うのか? 「一緒がいいなら、学籍だけ、なぜ分けた?」にどう答えるか?
「8歳の私」が、この年までこだわってきたものがそこにある。
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「一緒がいいならなぜ分けた」
なぜ、「あのとき」分けたんだ?
いまから戻れる? 遅いよ。もう、あの時は、戻らない。それじゃ、あのとき「分けられて」「切れた」ものは元には戻らないんだ。
「一緒がいいなら、なぜ分けた」
謝るなら、そして、謝っても、「時を戻せない」なら、いま「戻る」だけじゃ、足りないんだよ。
あのとき切れたもの。あのときかけられた呪い。つながりに鍵をかける呪い。
「ここに居てはいけない」という「つながりに鍵をかける呪い」を解く、方法を教えてよ。
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言葉じゃダメだよ。(1車線の)言葉じゃ、分からないんだから。だから、分けられたんだろ。だったら、言葉じゃなくて、言葉でかけた「呪い」をとく新しい鍵をくれ。
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「一緒がいいと世界が言うのに、なぜこの星の、ここだけは、分け続けるのか」
「なぜ、千葉や広島や沖縄や四国では、親の仇のように定員内不合格という教育文化が守られ続けるのか」
「同じ島国なのに、北海道、東京、埼玉、神奈川、愛知、大阪、兵庫では、もうその呪いは効かなくなったのに」
その呪いをとく鍵を見つけたい。
※【写真:仲村伊織】