無条件の肯定的態度と相互性・応答性のある暮らし (その4)
《相互性と応答性のある暮らし》
「コミュニケーション障害」という言葉の「悪意」。
それは、目の前の子どもに、
相互性と応答性が、ない、
という先入観を持たせること。
それが、当たり前、ふつう、の理解であって、
そうすることは、「意地悪」なこと「冷たい」ことではないと、
思い込ませる、効果がある。
◇
最初に紹介した「離れ小島と人類学者」のはなし。
そこには、相互性も応答性も、無条件の肯定的態度も、どれもなかった。
島の人々が、意地悪だったり、冷たい人間だったからではない。
相手が人間だと知らなかったから。
「人類学者」を見たことも聞いたことも、存在も知らなかったから。
【差別は障害があるから生まれるんじゃない。
「分ける」から差別が生まれる。】
◇
「相互性がない」相手に、相互性の対応は、しなくてよい。
「応答性がない」相手に、応答してなくもよい。
それよりも、「コミュニケーション障害」を治療してあげる。
専門的な訓練をしてあげる。
(ストーカーとは、相互性と応答性がない人のこと)
◇
「コミュニケーション障害」と言われる中身は、
たかだか「発語」が遅い、
「言葉」で伝えること苦手、
つかえる「単語」が少ない、
うまく伝えられないと怒る、かみつく、たたくという身体表現をする、ことでしかない。
生まれて数年の子どもにすれば、そだちゆく自然の内。
こうした「表現」のなかに、どれほどの「相互性と応答性」が豊かに存在していることか。
それに気づかないようにさせるのが、「コミュニケーション障害」とか「パニック」という言葉だ。
「発語」にだけ注意を向けさせることで、それ以外の「相互性と応答性」の世界から目をそらさせる。
◇
でも、《新一年生の新しい世界》は、まったく違う。
生まれて数年の子どもたちには、まだ「無条件の肯定的態度」があふれている。
子どもたちは、私たちが身につけた「社会的悪意」とは別の、新たな理解を見せてくれる。
「新たな理解」とは、共同で一緒に創りだされる理解である。
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