まずはじめに この子が ここに いる
この子がここにいる から すべてがはじまる
この子が ここに いなければ、この子と一緒に…は 始まらない
まずはじめに この子が ここに いる
その次に、子どもの数だけ ちがったものがたりが はじまる
ここにいる 子どもの数の自乗だけ ちがった関係が はじまる
◇
まずはじめに この子が ここに いる
その次に、「いなく」なるものがたりもある
その次に、「別れ」が訪れるものがたりもある
友だちが引っ越したり、長く入院してしまうこともある
再会できることもあれば、そうでないこともある
「次」には、いろんなものがたりがある
だけど、「この子が ここにいる」からはじまったものがたりから、「ここにいる」はなくならない。
◇
それとは別の、「まずはじめに この子が ここに いる」ことは難しいだろう、から始まるものがたりがある。
この子には ○○があるから
この子には ○○ができないから
だから、この子には、この子に合った場所がある
◇
私たちの本当の出会いを妨げているのは、「私たち-あの人たち」という心の壁です。
差別は、障害があるから生じるのではありません。
差別は「私たち-あの人たち」として、隔離し、分け続けてきたことで生じ、続いています。
「…のために」と言おうと、「…と共に」と言おうと、そのはじめに「私たち-あの人たち」という意識が抜きがたくあります。
昔のことを知らない子どもたちの心に、「わたしたち と あの子たち」というバリアを作るのは、「障害」ではありません。
「ここにいる子どもたち と ここにいてはいけない子どもたち」
「ここにいるこどもたち と ここではかわいそうな子どもたち」
そういう心の壁を、教えてきたのは「特殊教育」という制度であり、「特別支援教育」という制度です。
「特別支援」を必要とする子どもを「制度」として分けることが、「わたしたち」とはちがう「あの子たち」という心の壁を作ります。
実際は、「特別支援」が必要な子どもとそうでない子どもの二種類の子どもがいるのではありません。
すべての子どもには、精神的にも身体的意味でも大人がついていてあげることが必要です。
すべての子どもに、大人が敬意をもって接することが必要です。
すべての子どもに、権利を尊重することが必要です。
すべての子どもに、子どもの感情に対して寛容である大人が必要です。
すべての子どもに、子どもの行動から常に学ぶ用意のある大人が必要です。
子どもたちの本当の出会いのためには、分けない配慮、可能な限り分けなくてすむような配慮のあり方が必要です。
医療的ケアであれ、視覚的・聴覚的なケアであれ、誰もがその立場になれば必要とする配慮であり、ひとりひとり必要な配慮をするのだとすべての子どもに伝えることが必要です。
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