「あんたはいつもそうなんだから」
「何が?」
「なにがじゃないわよ。
あんたはいつもそうやって、一歩引いてるっていうか、
みんなの中に入らないんだから…」
「そんなことないって。」
「そんなことなくないわよ、ったく。
あんたはそうやって、自分だけ、みんなと違うって顔してさ…」
去年の夏、田舎に帰って中学時代の仲間と呑んだときの会話です。
Rieさんは酒がはいると、必ず私にそう言いながらからみます。
「あんたはいつもそうなんだから…、自分だけ醒めた顔して…」
いつも私が酔わないことを責めるところから、からみはじめます。
そうして、「あんたは昔っからそうだった」という話になるのです。
私が酔わないというより、Rieさんが呑みすぎるのです。
「毎晩どれくらい呑むの」と聞くと、「2ℓ」とか「3ℓ」と、
リットルで答えるんだから。
普通は、ビンとか缶で何本って答えるだろうに(-。-;)
確かに私は、酒が入っても酔わないようにみえるようです。
でも、それは酒が強いからではなく、
親父が大酒呑みの暴れ者だったせいです。
親父が酒を呑んで暴れる度に、
幼かった私は布団の中や押入れの中でおびえていたせいか、
いまも無防備に酒に酔うことはできないのです。
Rieさんがからんでくるのは、
そのへんのことだと思ってきました。
ところが、去年、同じ場面でふと思ったのです。
「ねえ、Rieさん、昔っていつごろから?」
中学までの私は、かなりおバカなお調子者だったはずなのです。
台風で部活が中止になったとき、水泳部はぬれても関係ないからと、
台風の大雨のなかを仲間と外で遊んでいて怒られたり…。
掃除の時間に、机の上で鬼ごっこをして怒られたり…。
私があまりおバカなことをやらなくなって、落ち着いた?のは、
高校生になってからだと、自分では思っていたのです。
そこで改めて、Rieさんに聞いてみたのです。
「ねえ、Rieさんの昔っていつごろの話?
いつからそう見えてたの?」
「いつからじゃないわよ。昔っからあんたはそうなんだから」
「でもさ、Rieさんと同じクラスだったのは中2の時でしょ。
そのころはみんなと騒いでたじゃん」
「違わないわよ。あんたはいつもそうやって、
みんなの中に入らないでさ、
自分だけ賢いと思ってさ、あたしたちをバカにしてさ」
話はどんどんずれていく。
「バカになんかしてないって(>_<)」
こっちはまじめに聞いているのに、
すっかり酔っ払ったRieさんとは
それ以上話がかみあいませんでした。
でも、あのころ、私が気づいていなかった私を、
そんなふうに見ていた人がいたのは確かなようです。
私が本当に「みんな」から一歩離れていたとしたら、
その私は、「みんな」が何をするのか、
「みんな」がどう動くのか、
必死で観察していたのだと思います。
「みんな」とは違う自分が、
「みんな」からはぐれないように、
「みんな」を見失わないように
がんばっていたのかもしれません。
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