新一年生の教室の世界(M-⑤)
《「ことばの遅れ」とは何か?》
私たちは、あたりまえに「ことばの遅れ」という言葉を使っている。
相談会に来る人も、就園・就学の迷いはあっても、
「ことばの遅れ」「コミュニケーションが苦手」という言葉は迷いなく使っている。
「発音がはっきりしない」、と言われる子。
「なに言ってるかわからない」、と言われる子。
専門家に「ことばの遅れがある」、と言われる子。
でも保育園に入ると、周りの子どもは、その子のことばをちゃんと聞き分けていたりする。
親や先生より、まだ3才、4才の子の方がちゃんと聞けている場面がある。
その子が何を言っているのか、大人よりも幼い子どもの方が「理解」が早いことがある。
それは珍しい話ではない。
「発音のはっきりしない子」を保育園に入れたことのある親なら、ほとんどの人が体験していること。
この「業界」では常識といってもいい。
それは小学校も同じ。
6才にもなると、「こいつ何言ってるかわかんねー」という子も多くなるが、やはりちゃんと聞き分ける子がいるのも確かなこと。
きっと、そこには確かな「理由」があるのだ。
新世界では、たえず《ことばの意味づくりと共有》が起こっているということだとおもう。
(つづく)
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