ワニなつノート

「障害による不利益な取り扱い」の解消を求める要望書




高校入試に係る
「障害による不利益な取り扱い」の
解消を求める要望書




昨日、提出した「要望書」です。

個人名など数か所、訂正してあります(o|o)



      ◇



2016年8月25日、○○氏よりAさんに対し、「Aさんは最重度の障害」、「A君が高校生になるのは無理」等の発言がありました。

県立高校が「定員内不合格」という判断をした日、教育庁内での発言です。

Aさんは4年前から高校入学を目指して受検を続けてきました。(中略)今回・・・もまた定員内不合格という校長判断でした。その結果を受けての、本人を前にしての発言です。

○○氏は「個人的な意見」と断りはしましたが、その場にはAさんの保護者も、来年度受験生の保護者も多数同席していました。

発言は、「Aさんは最重度の障害」という発言と合わせてのものであり、重度障害児者は・・公立高等学校への入学は想定していないようにも受け取れます。

さらに、○○氏は小中学生のころ、ご自分の意に反して障害児の「お世話係」を押し付けられた体験を話し、Aさんに対し「特別支援学校」への進学を進めました。



これらの発言は、1992年の「尼崎市立尼崎高校処分取り消し訴訟」において、「校長が高等学校の全過程履修可能性の判断において、専門医の意見や判断よりも医学書などから得た一般的知識を優先して履修可能性なしと判断したことは事実誤認による裁量権の逸脱である」としたこと、「設備の整った養護学校の方が望ましいという理由で不合格の判断をしたことは校長の裁量権の逸脱である」とされた判決の主旨をまったく理解していないことを示しています。

これら一連の発言は、1988年以来積み重ねてきた当会と貴教育委員会の話し合いの内容及び協力関係、信頼関係を損ねるものです。



2001年12月28日、貴教委との第5回話合いの席上、12名の受験生の声を聞いた福島指導課長は、「全体の意見、思い、要望等は学校の先生方に伝えていきたい」、「なかなか合格できない厳しい時代もあったが、今は協力の時代として、できるだけ学校で受けとめてほしいと指導課が足を運び、校長の理解が進んで、少しずつ合格するようになってきた」と話しました。


知的障害をもつ子どもの普通高校進学について、「新任の校長には何時間もかけて話をしている。そういう社会になってきているんだとお願いしている」と話し、障害への理解が進み「障害による不利益な取り扱い」がなくなることで、高校進学が実現していくという考えを示されました。

当時、5名の浪人生の受検についても、「10年間の蓄積があります。受入れの方向で努力していきたいと思っている」と話されました。

また別の場で、「これからは対立ではなく、県教委と高校現場と会の皆さんと協力して理解を進めていきたい」とも話されました。

以来、子どもたちはその言葉を信じて、定員内で不合格にされた時にも、あきらめず何度も受検し続けてきました。

その結果が現在までの117人の障害児の高校進学の実現です。



障害のある受験生本人を前にしての「重度の障害者」、「高校は無理」という発言は、「・・入学者選抜実施要項」等で「障害による不利益がないように」と、長年障害児者への理解を求めてきたことに反するものであり、こうした発言・障害者観こそが、障害児者の高校進学を阻む「障害による不利益な取り扱い」そのものであり、Aさんという一人の人間(障害者)に対する差別です。


当会も県教育委員会も、今まで「障害の種類や程度」によって高校で教育を受ける機会が制限されるという話を一度もしたことがありません。

私たちは今回の○○氏の発言に厳重に抗議するとともに、以下の説明、謝罪、確認を求めます。



            記


1. 当日話された、「最重度の障害」の定義を説明して下さい。


2. 「高校は無理」という発言の、何が「無理」なのかを説明して下さい。
    
県の公立高校は入学が無理な生徒を予め想定しているのか、Aさんが今回受検した・・高校校長の理解がないために「無理」なのか、県教育委員会が障害児の高校進学について高校に理解を求めることが「無理」なのか、「高校は無理」という発言の真意を説明して下さい。


3. 県教育委員会の高校入試に係る指導課の責任者が、障害のある受験生本人と保護者の前で「重度の障害」「高校は無理」という発言をすることは、「・・入学者選抜要項」に書かれている「障害による不利益な取り扱い」の最たるものであり、発言の撤回とAさん本人への謝罪を求めます。


4. 1988年から続いている当会と貴委員会の話し合いの経過を踏まえ、高校入学を希望する障害をもつ生徒に対し、当事者・会と県教育委員会と高等学校の三者が協力し合い、障害への理解を進め、高校で学びたいというすべての障害児者への配慮・施策を考え進めるという基本的な姿勢を再確認することを求めます。


5. 定員遵守の通知において、「可能な限り定員を確保すること」=「定員を遵守すること」は希望するすべての生徒に高校教育の機会を保障するためのものであり、障害のある生徒を除外するものでないことを通知文に明記して下さい。


6. 障害による差別をなくしAさんの高校進学を実現させて下さい。


以上
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