(上)
《シーン1》
大人が子どもに話しかける。
子どもは答えない。
大人が子どもに何か指示する。
子どもはそれを聞かずに、自分の意思で行動する。
大人が子どもに、いろいろ働きかけを試みる。
子どもは目もあわさずに、自分の興味のあるものを探す。
そこで大人は、子どもが「コミュニケーションできない」と判定する。
それを聞いた大人は、「やっぱりそうですか」と納得する。
《登場人物》
▼この場面で登場人物は二人いる。
それぞれに、自分の意思と価値観と行動規範を持っている。
A・「自分の意思」を持つ大人。
(専門家と言われたりもする)
「自分の価値観」に沿って検査(行動)する大人。
B・「自分の意思」を持つ子ども。
(発達障害と言われたりもする)
「自分の価値観」に従って行動(探検)する子ども。
《評価》
▼この場面で「評価」は二つある。
【評価A】
大人は自分の行動の目的に従って、自分の価値観で子どもを評価する。
「この子はコミュニケーション能力が低い」
「この子は対人関係能力が低い」
その他いろいろ。
【評価B】
子どもはその大人が好きではない、という自分の感情に素直に従う。
子どもはその大人を(まだ)信用できない、という判断に基づいてのみ行動する。
子どもの評価は、その行動と感情と表情にあらわれる。
《再現シーン1》
もう一度、振り返る。
大人が(大人の意思で)、子どもに話しかける。
子どもは(自分の意思で)、答えない。
大人が(子どもを試す目的で)、子どもに何か指示する。
子どもは(テストに興味も意味も感じないので)それを聞かずに、自分の判断で行動する。
大人が(客観的な記録を残すため)、子どもに各種の働きかけを試みる。
子どもは子どもの判断で目もあわさず、自分の価値観に基づいて自分の興味のあるものを探す。
《態度》
▼この場面で、態度は二つある。
【態度A】
大人は、「この子はコミュニケーションができない」という。
そして自分の判断が正しいと主張し、判断を親に押しつける。
【態度B】
子どもは、「コミュニケーションがへたな大人だな」という評価はしない。
ただ、自分の価値観、自分の判断で、行動する。
《問い》
▼ここで、私の問いは二つある。
【問1】「どっちが誠実な態度か?
私の答え。B
【問2】「どっちがかっこいいか?」
私の答え。B
(つづく)
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